Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

2014年、日本武道館へ向けて──
音楽を通じて発せられる夢を見ることの大切さ、それに立ち向かう勇気

2012.10.03

結成30周年を迎える2014年、ロックの殿堂である日本武道館でのライヴを実現させようという夢のプロジェクトを始動させたPERSONZ。今年はいつになく精力的なライヴ活動を展開している彼らが、今月20日にバンドにとって聖地と呼ばれる新宿ロフト、1月12日に赤坂ブリッツの昼夜公演を決行する。いずれも2年後の武道館へ向けての前哨戦と言うべきライヴであり、とりわけ前者の新宿ロフトでのライヴはここでしか聴けないレアなレパートリーが数多く披露されるというとても希少価値の高い内容だ。
JILL(vo)と渡邉貢(b)に直撃したこのインタビューでは、夢へ向かって努力する中で得られる喜びと楽しさが率直に語られている。今置かれている状況は確かに思わしくないのかもしれない。それでも彼らは砂を掴んで立ち上がろうとする。なぜならば、目標達成への過程で掬い取ったかすかな希望が明日への大きな糧となり、それがバンドの成長へと繋がることを信じているからだ。28年ものキャリアを積んだバンドが今なお成長することを貪欲に望み、夢に向かって奔走する姿にはなにがしかの感じ入るものがあるはずである。夢を見ることの大切さ、それに立ち向かう勇気。あなたの日常生活がバンドとは無縁でも、自分の身に置き換えられる部分が多々あるのではないだろうか。
「Dreams Come True As Long As You Believe」──福音をもたらすためには、まず自分自身を信じること。どれだけ強い雨風に吹かれようとも、PERSONZは今も臆することなく「Singin' In The Rain」の中でそう唄い続けている。(interview:椎名宗之)

心が求める音を止めるべきではない

──昨年は年間を通じてシングル曲を毎月制作するプロジェクト『LIMITED SINGLES12』があったり、今年は『DREAMERS ONLY SPECIAL 2012』と銘打ったツアーの“STAGE 01”と“STAGE 02”合わせて24本ものライヴを敢行したりと、近年のPERSONZはいつになくアクティヴな印象を受けますね。

JILL:『DREAMERS ONLY SPECIAL 2012』の前に『2012 LIMITED SINGLES12 COMPLETE TOUR』で11本のライヴをやったから、今年はもう35本やっているんですよ。去年やった『2011+20 TOUR』は震災の影響で延期になってしまったライヴもあって、その振替公演を7月にやったんです。それ以降、『MANIAC TOUR』の“LOFT SPECIAL”と“7DAYS SPECIAL”があったり、拍車が掛かって止まらない状態なんですよね(笑)。

──JILLさんのブログを拝見すると、今回の『DREAMERS ONLY SPECIAL 2012』では各地で強い手応えを感じているのが窺えますね。

JILL:久々に行った所もあったし、初めて行った所が2ヶ所あったんですよ。

──皆さんのようなキャリアを積んだバンドでも初めて訪れる所があるんですね。

:松江と苫小牧は今回が初めてでした。

JILL:そういう所は大都市に比べてお客さんの反応も熱いんですよね。大都市のお客さんはいろんなライヴを見慣れているから、割とクールって言うか。

:僕らが一番ツアーをやっていた頃は移動インフラがまだ整っていなくて、たとえば山陰地方のほうへはなかなか行けなかったんです。四国のほうも最近は高速道路が出来て便利になりましたけど、僕らがデビューする前後の頃はまだ高速がなかったし、仕方なく国道439号線をひた走るしかなかったですからね。

──『DREAMERS ONLY SPECIAL 2012』は、結成30周年にあたる2014年に日本武道館でのライヴを実現しようという夢のプロジェクト『DREAMERS ONLY SPECIAL 2014』に端を発しているんですよね。

JILL:震災の直後にやったツアーがきっかけですね。それまではとにかく騒いでライヴを楽しもうっていうお客さんが多かったけど、震災後はとても複雑な表情を浮かべてライヴを観ている人が多かったんです。震災で知り合いを亡くした人もいただろうし、被災地のライヴハウス周辺はまだ全然瓦礫が片付いていない状態で、私たちも心が引き裂かれそうな思いだったんですよ。

──節電もしなくちゃいけなかったし、ライヴを自粛するべきだという声もありましたからね。

JILL:でも、こんな時だからこそ心が求める音を止めるべきではないと思った。そういう非常事態における音楽の在り方を自分たちなりに考えたし、自分たちだっていつ同じような災難に遭うかも分からない。そのためにも、バンドとして何か目標を立てるべきだと思ったんですよね。それで、ちょうど3年後が結成30周年になることに気づいて、3年あれば何かしらの目標が達成できるんじゃないかと思い立ったんです。東京でやるライヴも以前に比べて規模が小さくなったけれど、目標を立てることで少しでも実現に近づけるんじゃないかと思って。最初は冗談みたいな話だったけど、少しずつメンバー間でその思いを共有するようになったんです。何より、「3年後に武道館でライヴをやりたい」と宣言したらお客さんが一番盛り上がってくれたのが嬉しかったですね。

──至ってシンプルで明快な目標ですからね、「武道館でライヴをやりたい」というのは。

JILL:ただ、今の私たちにはとてつもなく大きな会場ですからね。私たちが武道館で2デイズをやっていた頃(1990年4月23日・24日に行なわれた『DREAMERS ONLY SPECIAL』、1991年5月14日・15日に行なわれた『PRECIOUS? TOUR』)は、武道館のステイタスが今よりずっと大きかった。今は一般的に知名度の低いバンドでもけっこう頻繁に武道館でやるから、武道館でライヴをやることの意義がどれほどのものか分からないですけどね。でも、このままただ漠然とバンドを続けるのもどうかと思うし、メンバーの平均年齢も50歳を過ぎたし、この先いつ誰かがくたばってもおかしくないですからね(笑)。だからこそ、今ここで武道館という目標を立てるべきだと思ったんです。今までそういう目標を立てたことなんて一度もなかったし、せいぜいインディーズの頃にメジャー・デビューしようって思ったことくらいでしたから。

──メジャー・デビュー(1987年9月)後のPERSONZは、瞬く間に武道館まで登り詰めた印象がありますけど。

JILL:でも、周りのバンドもみんな武道館まで割と早かったんじゃないかな。気がつけば、みんな武道館でやっていたもんね。

──とは言え、デビューから10年をかけて武道館でのライヴを実現させた、皆さんの先輩にあたるARBのようなケースもありますよね。

JILL:ただ、ARBもバンド・ブームの追い風を受けて武道館でやれた部分もあるじゃないですか。あの時代は地道にバンドを続けて武道館にたどり着いたと言うよりも、ブームに乗っていきなり武道館でライヴをやるバンドが多かった気がしますね。

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LIVE INFOライブ情報

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PERSONZ MANIA Vol.03
〜PERSONZ秋の大感謝祭2012  2014年に武道館へ行こう! 決起集会!(まずはBLITZね!)〜

2012年10月20日(土)新宿LOFT
OPEN 17:30/START 18:00
前売 ¥4,500(ドリンク代別¥500)
Pコード:180-389/Lコード:71121
問い合わせ:新宿LOFT 03-5272-0382

PERSONZ DREAMERS ONLY SPECIAL 2013
〜SUPER START!!! 2013年、PERSONZ 赤坂BLITZライブ! 武道館への夢の第一歩!〜

2013年1月12日(土)赤坂BLITZ
■Version:BLUE(昼公演)
OPEN 14:00/START 14:30
■Version:RED(夜公演)
OPEN 18:00/START 18:30
前売 ¥5,250/当日 ¥5,750(全席指定/「Version:BLUE」「Version:RED」各回とも)
*別途ドリンク代¥500必要
*6歳未満のお客様のご入場はお断り致します
問い合わせ:赤坂BLITZ 03-3584-8811

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