学生の頃から音速ラインを聴いていたというWHITE ASHと、兼ねてから彼らの音楽やスタイルに関心を持っていた音速ラインのガチンコ2マンライブを東京、と郡山で開催する記念に実現した今回の対談。
この対談をしてから開催された9月6日の下北沢シェルターでの公演は大成功を収め、9月14日の郡山HIPSHOT公演も彼らの記憶に残るイベントになるだろうなと思うと胸が熱くなる。先輩、後輩を飛び越えたお互いの「リスペクト」を感じとって欲しい。(interview:樋口寛子/新宿ロフト)
まさか共演が実現するとは!(山さん)
──今回のイベントは、音速ラインがWHITE ASHと対バンしたいと言っていることを知って、そのイベントなら私も見たいと思い企画を立ち上げたんです。そもそもお互いを知ったきっかけってどんなだったんですか?
藤井敬之(音速ライン):僕は「二畳半レコード」(*藤井がふくしまFMで担当しているレギュラー番組)のエンディグテーマで知りました。
大久保 剛(音速ライン):僕は頂いた音源を聴いて「かっこいいな」と思いました。
藤井:やたらPVがかっこ良かったよね。
── WHITE ASHのみなさんはどうですか?
のび太(WHITE ASH):僕は昔、音速ラインをコピーしていたんです。だからこうして一緒にライブが出来る事が信じられない。
山さん(WHITE ASH):僕は実家が福島で、夕方の『ゴジてれシャトル』という番組で音速ラインが取り上げられていたのを見ていたから不思議な感じです。
──こうして対談や共演を果たしますが、どんな心境ですか?
山さん:音速ラインがWHITE ASHと対バンしたいと話してくださった時の番組を見て、メンバー全員テンションあがりましたよ。まさか実現するとはという感じです。(興奮気味に話す山さん)
のび太:山さんの目の輝きったら(笑)。今までに見た事がないですよ。
──では、お互いの第一印象を聞かせてください。
のび太:表裏がなくて優しそうな人達だなとは思っていて、実際会ったら本当に優しくて。
山さん:自分たちの音源を渡したい! と思い、昨年のCOUNTDOWN JAPANに出演した時に挨拶をしに行かせてもらって。
── WHITE ASHのみんなは社交的な印象があります。
のび太:僕は話してみたい人がいたら積極的に行くタイプですね。昨年末は初めて正式にフェスに出演させてもらったんですけど、次、いつ来れるか分からないと思ったんです。それで、話してみたいと思った人には自分からアタックするようにしています。挨拶しに行くのは僕が代表して行くことが多いんですが、音速ラインの時は、山さんが率先して「行く!」って言ってました。
山さん:やはりのびちゃんが特攻隊長ですね。見た目が見た目なので、相手も受け入れやすいのかもしれませんし(笑)。
藤井:人によく話しかけられるでしょ?
のび太:そうなんです! 藤井さんを見た時に優しそうな話しかけやすい雰囲気があったので、自分で言うもの何ですが、同じ匂いを感じました(笑)。この見た目だと街を歩いていても、話し掛ける相手としてハードルが低いんでしょうね(苦笑)。
──剛君はアルコールが入ると基本的にウェルカム状態だよね。
大久保:だいたい人と話す時は酔っぱらっている時が多いかも(笑)。
藤井:人類みな兄弟みたいになるよね(笑)。
音速ラインを聴いた時に日本のメロディって良いなと思った(のび太)
──次は音楽の話について触れたいのですが、WHITE ASHの音楽は邦楽も聴いているけど洋楽のヘビーリスナーかなと感じたのですが、実際はどうですか?
のび太:僕らは洋楽が好きですが、邦楽の良さはメロディだと思っています。洋楽はかっこ良いけど、メロディはどちらかと言えば単調な印象があって、それをカバーしているのがギターリフだったりする。邦楽はちゃんとAメロ、Bメロがあって、サビで広がりのあるメロディラインがあって。僕はギターリフは洋楽の方が好きだけど、メロディは邦楽の方が好きで、自分たちの曲に対してもそこでバランスを取っていますね。音速ラインのメロディは本当にすごいと思いますよ!
藤井:褒められるのが慣れない(笑)。
のび太:洋楽にハマっていた時期にUKロックをよく聴いていて、音速ラインを聴いた時に日本のメロディってすごく良いなと思ったんです。それを藤井さんの声で聴くとより切なくなって、これは洋楽にはない感覚だなと思い、すごく勉強になりました。
藤井:和のメロディって日本人にしか書けないからね。洋楽みたいなサウンドに和のメロディを乗せるってなかなか難しいよね。確実に8割方はダサくなる(笑)。
──藤井さんも洋楽、邦楽共にバランス良く聴いている印象があります。
藤井:若い頃は洋楽ばっかり聴いていた。洋楽は、英語が分からなくても響くじゃない? だから日本語じゃなくても別に良いかなと思っていた時期もあるんだけど、言葉を伝えたくなってくると日本語でやりたくなる。俺はフリッパーズやスパイラルライフが好きで聴いていたけど、あの人達は日本語を乗せるのがすごく上手いよね。それを手本にやりはじめた。英語が話せたら英語でやっていた可能性もあるけど、伝わりやすくて日本語しか出来ないのならそっちの方がいいなと思い、今に至るのよ。
のび太:僕も完全に響き重視なんです。英詞の曲を聴いて良い曲だなと思えるのは、脳内で日本語に変換した意味を良いって思ってるんじゃなくて。その言葉の響きとメロディと曲の雰囲気が良いからだと思うんです。だからその感じで僕らもやっています。最近は日本語の曲も作ったりしているんですけど…、山さん:僕らの音に日本語を乗せるのはとにかく難しいよね(笑)。
のび太:英語風の雰囲気だと言葉数多く歌えますから。
山さん:サビが日本語で、他の部分は今まで通りにしたのが今の僕らの日本語の曲ですね。
藤井:そのバランスが良いよね。
のび太:日本のロックバンドなので日本語の方がわかりやすいかなって。
──お客さんと一緒に歌ったり出来ますしね。
のび太:日本語の強さはそこですよ!
山さん:人のライブを見ていて、お客さんが口ずさんでいるのを見ると羨ましいなと思う感覚はあるよね。
藤井:それが英語で出来ているのはやっぱりOASISだよ。みんな歌っているもんね。
のび太:ビートルズやOASISは、イギリスでのライブでお客さんが一緒に歌うのはわかるんですよ。母国語だから。でも日本でOASISがやってもお客さんが歌えるってすごいと思います。
藤井:難しい英語で歌っていないんだよね。WHITE ASHも単語の響きがしっかりしているから現状があると思うし。
── WHITE ASHの魅力の1つはメロディがキャッチーですよね。
藤井:そう! メロディが覚えられる。
のび太:口ずさめるというのは意識しています。あんまり洋楽は聴かないけど、WHITE ASHは聴けるみたいな人もいてくれたりするので、それはすごく嬉しいです。
藤井:メロディの感じとのび太君のキャラが合っているんだろうね。
──となると、今回の公演は、ある意味メロディ対決でもありますね(笑)。シェルター公演の他に郡山公演がありますが、山さんは凱旋ライブは初めてですか?
山さん:初めてです。親戚がバスで来るかもしれない(笑)。
のび太:ステージからの眺めがすごいだろうね。授業参観的な(笑)。
藤井:親戚一同がいるみたいな。
山さん:それが今一番ドキドキしています(笑)。でも、初めての福島ライブで音速ラインと出来るなんて光栄です。
藤井:凱旋ライブは毎回緊張するよ。
──ちなみに今回はキャラクター対決がメインですよ(笑)。
のび太:藤井さんはハットリ君って呼ばれる事はあるんですか?
藤井:大久保にだけに言われた事がある。山さんは吉田戦車系かな(笑)。
のび太:山さんは「ごはんですよ」のキャラクターですよ(笑)。画像検索してもらったら分かりますよ。
山さん:よく言われます(笑)。