Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTHE MACKSHOW(Rooftop2012年9月号)

純然たるロックンロールに対する純真な憧憬から生まれた純正ロックンロールの金字塔『GREASY!』

2012.09.01

"ROCKA-ROLLA"2部作の制作過程を追った迫真のドキュメント・ムーヴィー『THE ROAD OF ROCKA-ROLLA』、過去10年分のカタログから厳選コンパイルしたベスト盤&PV集『ROCK'N-TWIST PARADE THE 10th ANNIVERSARY S.77〜S.87』、カリフォルニアで録音された炎のロックンロールEP盤『LET ME ROLL』に継ぐザ・マックショウのプレミアム・イヤー・リリース第4弾は、満を持しての新作フル・アルバムである。その名も『GREASY!』。ヴィンテージ機材を使った全編ノン・デジタルのアナログ・テープ一発録音という"ROCKA-ROLLA"2部作の手法を受け継ぎつつも、カリフォルニアの名門スタジオ「サンセット・サウンド」特有の臨場感に溢れた音は本作ならではの醍醐味と言えるだろう。
古今東西のロックの名作を数多く生み出してきた同スタジオでのヴィヴィッドかつエキサイティングなセッションは、現地のエンジニアも「これこそ本物のロックンロールだ」と手放しで称賛するほどのハイ・クオリティ。これはつまり、時代と逆行するような手法と流儀を頑なに貫き通してきた彼らの純国産ロックンロールが本国アメリカからもお墨付きを得たということである。愚直なまでに心血を注いで体現された本物のロックンロールは如何にして生まれたのか。また、なぜ彼らは敢えて荒野を突き進むようなやり方で貪欲に創作活動を続けるのか。答えはこのインタビューの中にある。困難の中にこそチャンスが眠っていることを熟知した彼らは、今日もまた血気にはやるだけの全力疾走を続けるのだ。(interview:椎名宗之)

帰国後に聴いたマスター・テープの違和感

──先月ここ(ロックスヴィル・スタジオ・ワン)へお邪魔させて頂いた時は、まだアルバムのミックス作業の真っ只中でしたよね。

TOMMY MACK(以下、T):いつものことだけど、今回もかなりの突貫工事状態だったしね(笑)。

KOZZY MACK(以下、K):(ジャケットを指さしながら)俺たちの後ろにまだ車がなかった頃だから(笑)。向こうでやったラフ・ミックスでも充分だと思ってたんだけど、こっちへ帰ってテープを聴き返したらイメージが全然違ったんだよ。機材や卓、録った部屋の違いもあるから同じように聴こえないのは当然なんだけどさ。

T:空気感が全然違ったよね。

K:そう、空気の鳴りが全然違った。それで描いてたイメージに近づけるために自分たちの持ってる機材を使ってミックスすることにしたんだけど、その準備にけっこう時間が掛かってね。テープの規格も向こうとは違うし、電気の周波数の違いもあるので、何ヶ所かスタジオを回ってテープの音質を整えてからここで作業を始めたわけ。

──最後の最後まで丹念な作業にならざるを得なかった、と。

K:まぁ、レコーディングの行程って従来そういうものだからね。今回は自分でマスター・テープを持ち帰ってきたんだよ。録ったマルチ・テープが8本あって、曲だけで切ってまとめてもらったんだけど、それを手で持って帰ってきたんだよね。空港でも「これはX線を通さないでくれ」って係員にお願いしてさ。

BIKE BOY(以下、B):通したら全部消えちゃいますからね。

K:サンセット・サウンドのスタッフは「空港で言えば分かるから」って言ってたし、俺たちも前にそういう経験があったから要領を得ていたんだけど、テープだって言っても若い係員には分かってもらえなかったね。「ミュージック・テープって何?」みたいな感じで(笑)。

B:今どきテープって! っていう(笑)。

K:できるだけ年輩の係員に言えって聞いていたのでそうしたら、ちゃんと理解してくれて手順を教えてくれたけどね。でも、チェックした若い係員はテープの存在自体を理解してなかった。「これに音が入ってるの?」って訊かれたからね(笑)。

──そんな苦労の甲斐もあって、『GREASY!』の音の鳴りは過去随一ですよね。“ROCKA-ROLLA”2部作の真に迫りつつも端正な音像も素晴らしかったですが、今回はそのニュアンスを受け継ぎながら、全体的にセッション色が強くて適度に粗野な感じもあるじゃないですか。曲の頭にカウントが入っていたり、意図的にノイズが残されていたり、メンバーの息遣いまでもが感じ取れる臨場感に溢れた音作りに仕上がっていますよね。

K:そこは狙った部分なんだよ。名門のスタジオだから凄く綺麗に音を作ってくれたんだけど、ラフ・ミックスを聴き返したらちょっと綺麗すぎるかなと思ってさ。もともと入ってる音はもっとワイルドだったし、自分なりに頑張って音を戻した感じだね。

T:基本的に元がいい音だから、ちょっと手を加えただけでもかなり理想的な音になったよね。

K:しかも、向こうのエンジニアが残してくれたキューシート(マルチトラックのレコーダーの各チャンネルに何が録音されているかを記した表のこと)が的確でさ。タムとフロアタムがここに入ってるから、あまり左右に振るなみたいなことが英語で書いてあるわけ。恐らくライヴ感が出なくなるからってことなんだろうね。センターにマイクが立ってたし、ステレオにすると位相が悪くなるから。昔はいろんなエンジニアが携わって、いろんな所にテープが回っていったから、そういう説明書きが必要だったんだと思う。そのキューシートを見ただけでも「おお、本物だ!」って感動したよね。

T:まぁ、英語だから何て書いてあるんだろう? っていうのもけっこうあったけど(笑)。

K:コーラスも「Cho」とは書いてなくて、「B.G.V.」だったからね。「Back Ground Vocal」の略で。

──初回限定盤の特典DVDを見て意外だったんですけど、サンセット・サウンドってそんなに大きなスタジオじゃないんですね。

K:うん。けっこうこぢんまりとした所だよね。

T:早稲田にあるAVACOスタジオのほうがでかいんじゃない?(笑)

K:よっぽどね(笑)。まぁ、日本のスタジオに比べたら部屋は大きいほうだけど、プロが使ってるような日本のスタジオはコントロール・ルームが異常に広いんだよね。あれは外人がびっくりするらしいよ。要は、スタッフを始めとしてレコード会社や広告代理店の人間、メンバーの家族とかレコーディングに直接関係のない人までいっぱい来るから広いっていうね。

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GREASY!【初回限定盤】

■DISC-1
01. REAL DEAL ROCK AND ROLL
02. LET ME ROLL
03. GTライダー
04. JUSTINE!
05. サニー・カリフォルニア
06. きこえないラヴ・ソング
07. 今夜はビート・クレイジー
08. NINE LIVES
09. BACK IN THE USA
10. ヘイ!リトル・リッチ・ガール
11. IT'S SO HEAVY
12. 無言電話
■DISC-2
初回限定盤特典DVD(29分)
『THE MACKSHOW IN CALIFORNIA』
01. LET ME ROLL(PV)
02. きこえないラヴ・ソング(PV)
03. CALIFORNIA SESSIONS
B.A.D RECORDS/MEDIA FACTORY, INC. FAMC-087
定価:3,150円(税込)
昭和87年(2012年)9月19日(水)発売

amazonで購入

GREASY!【通常盤】

01. REAL DEAL ROCK AND ROLL
02. LET ME ROLL
03. GTライダー
04. JUSTINE!
05. サニー・カリフォルニア
06. きこえないラヴ・ソング
07. 今夜はビート・クレイジー
08. NINE LIVES
09. BACK IN THE USA
10. THIS IS A SONG FOR TEDDY BOY *通常盤のみ収録
11. ヘイ!リトル・リッチ・ガール
12. IT'S SO HEAVY
13. 無言電話
14. グリース・ミー(CALIFORNIA JAM VER.)*通常盤のみ収録
B.A.D RECORDS/MEDIA FACTORY, INC. FAMC-088
定価:2,835円(税込)
昭和87年(2012年)9月19日(水)発売

amazonで購入

LIVE INFOライブ情報

マックショウ『GREASY!』発売記念スペシャル・コンサート
9月15日(土)広島:広島クラブクアトロ
9月16日(日)岡山:岡山ダックテイル
9月17日(月・祝)大阪:寝屋川ヴィンテージ
9月22日(土)愛知:名古屋エレクトリックレディランド
9月23日(日)千葉:木更津カバチ
10月6日(土)青森:青森サンシャイン
10月7日(日)宮城:仙台リプル
10月8日(月・祝)栃木:宇都宮ポップガレージ
10月13日(土)熊本:熊本ジャンゴ
10月14日(日)福岡:福岡CB
10月20日(土)愛媛:宇和島ブービー
10月21日(日)香川:雷神
10月27日(土)和歌山:本町ラグタイム
10月28日(日)岐阜:柳ヶ瀬アンツ
11月2日(金)大阪:楠葉P×9cafe
11月3日(土)兵庫:神戸バリット
11月4日(日)奈良:奈良ネバーランド
11月10日(土)京都:京都ミューズ
11月11日(日)高知:高知ベイ5スクエア
11月17日(土)滋賀:近江八幡ココザホール
11月18日(日)長野:長野ジャンクボックス
11月23日(金・祝)福島:福島エリア559
11月24日(土)岩手:盛岡クラブチェンジウェーブ
11月25日(日)北海道:札幌ベッシーホール
──その他続々決定中!

クレイジーW プレゼンツ 真夜中のラブレター
9月1日(土)神奈川:新横浜ベルズ
出演:THE MACKSHOW
OPEN 21:00/START 23:00
前売¥3,500/当日¥4,000(ドリンク代別)
問い合わせ:ベルズ 045-476-5691

ロッケンロー★サミット2012 〜渋谷頂上決戦〜
9月8日(土)東京:SHIBUYA-AX
出演:ギターウルフ/THE MACKSHOW/THE NEATBEATS/Radiots/ザ50回転ズ/THE CHERRY COKE$/キノコホテル/THE BOHEMIANS
OPEN 14:00/START 14:30
前売¥3,800(1F立見・ドリンク代別)
問い合わせ:ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999(平日15:00〜18:00)

ジャマーズ プレゼンツ マイ・ファニー・サマータイム
9月9日(日)群馬:高崎ジャマーズ
出演:THE MACKSHOW
OPEN 18:00/START 19:00
前売¥5,000/当日¥6,000(1ドリンク付)
問い合わせ:ジャマーズ 027-388-8800

ROLL & Lewis Leathers PRESENTS
BLACK LEATHER RIOT Vol.6
〜Dry Bones 23rd Anniversary〜
11月9日(金)東京:代官山UNIT
LIVE:THE JIM JONES REVUE/ギターウルフ/THE MACKSHOW/THE TRAVELLERS/勝手にしやがれ/THE NEATBEATS/DAD MOM GOD/JACKIE & THE CEDRICS/FESJUNKIE'S
DJ:大貫憲章(LONDON NITE)/武内享(a-bra:z)/DJ COBRA(GO☆KATS)and more...
詳細近日発表
問い合わせ:代官山UNIT 03-5459-8630

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