バンドの経験値をあげることが大事
── ツアー初日となる9月1日の仙台と、ファイナルの28日のシェルターでは、ライブの数を重ね、バンドとしても変化していそうですからね。
朱雀:プレリリースツアーの時も一箇所一箇所変わっていったし。
大坪:それぞれバンドを10年ぐらいずつやってはいますけど、プレリリースツアーの時にバンド自体の経験値が必要だなって思いましたね。
磯谷:過去の経験値はあてにならないよね。グルーヴを出すにはそのバンドとしての経験値が必要。
大坪:みんなの演奏的な上手い下手とかじゃなくて別のものなんですよね。
奥村:あと意識が高いライブを何回やれるか。だから看板背負ってやる今回のツアーとかは劇的に変わるチャンスだと思う。それがバンドをやっていて楽しいし、これより面白いこと知らないよね。
── 今ワクワクしてる感じは、20歳ぐらいでバンドを始めた時の感覚に近いんですか?
朱雀:それを踏まえてもう1回やってる感じですね。
磯谷:脳みそと肉体は年取ってますけどね(苦笑)。音楽にぶつかってる感じは当時と近い感じがします。
── どんどん楽しみが増えますね。
磯谷:頑張ってみんながもっとドキドキするような曲を書いて、どんどん発表して仲間を巻き込みたいですね。
朱雀:それなりにいろいろありますけど、このバンドで勝負したいです。それがどれだけ広がっていくかとか楽しめるかとかしかないし、そこを真剣にやっていこうと思います。
── 上を見れば大さんのような立派な先輩がいるわけですから。
磯谷:どうやったら大さんのようになれるのかなって思いますよ。なっちゃだめなのかなともちょっと思うけど(笑)。
奥村:なっちゃだめだよ(笑)。世間の目は厳しいよ。30歳の時より40歳のときのほうが倍厳しい。でも昔バンドやっていた友達は「まだ生き残ってる」って、すごく応援してくれる。みんなやり残している思いがあるんだなって思う。それを俺に代入して昇華してあげなきゃって思うし、俺はそれのおかげでやれてると思う。
磯谷:今は託されてる感覚は若干ありますね。やらさせてもらっている感じもしてる。
奥村:ありがたいなと心の底から思うようになるよね。
── 辞めていくバンドが多いですから。
朱雀:そっちのほうが多いですよ。40まで続けられるなんてすごいことですよね。
奥村:皆様のご協力のおかげです。それに先輩に尊敬しているかっこいいバンドがいっぱいいるから負けてられないんですよ、おっちゃん達に。音楽がお金にならないってなって、覚悟の違いが表れて来ているんだろうなって、腹括ってるから絶対に負けないんだろうなって思いますよ。それが良いことか悪いことかはわからないけどね。でも、かっこいいと思うことは信じていたと思う。
── でも、続けるということが一番難しい気もします。
奥村:俺とかそういった人たちは、どうやって辞めたら良いかわからないんだと思う。辞める理由も見つからない。
── 覚悟を決めた人たち同士のぶつかり合いになりますね。今回のツアーは。
奥村:俺らもこのツアーから音源を売るんです。
磯谷:そこも勝負になるんですね(笑)。
奥村:前売ってた音源が売り切れちゃって、欲しいっていう人がいるから。これまでに4曲入りで2枚出したんだけど、その2枚をまとめて8曲入りにして1000円で売ろうと思ってる。いつか配信とかで売るかも知れないですけど、俺らはライブに来てくれる人が大事だからその人たちに先に売って、めったにライブには来ないけど聴きたい人のために配信やろうかなって。聴いてくれる人に楽しんでもらうために音楽やっていて、それが商売になればいいんだけど、そこばっかり見ちゃうと身動き取れなくなっちゃうから。あとはTHE ANDSの勢いにコバンザメのようにくっついて行こうと思います。
朱雀:僕らまだこれからのバンドなんですけどね…(苦笑)。
撮影協力:新代田Live Bar crossing