メンバーと一緒に住んでいるとは思っていなかった
── お2人の話ばかりで申し訳ないですけど、三島さんは歌詞を書く時に飯田さんが歌うことを考えながら書いているんですか？
三島：考えてます。無意識に飯田が歌うことを想定した音域やキーになるんです。だから正確に言ったら考えてるというよりは身に付いちゃってます。
── 他の方のことは？
三島：あんまり意識しないですね（苦笑）。そのへんは信頼をしているので、そりゃねえだろということはやらねえだろということはあります。
久野：アレンジをする時も、最初はどういう曲になるかもわからないで好き勝手に叩いてみて、それがこの曲に合っているかのジャッジを三島に任せるという感じです。
辻 友貴（Guitars）：自由に弾いていく中で、方向性が固まっていくので。
久野：ずっとこのメンバーで曲を作っているから自然に意思疎通が取れて、ドラムをイメージで叩いたら他のパートもカチッとはまるんです。
── バンドは結成されて9年でしたっけ？
三島：はい。高1からやっているので。
── となると、言わなくてもわかるところはありますよね。
三島：プレイに関してはあります。こういう感じで来るだろうなというのはありますし、それはないでしょというのは絶対にやってこないですから。
── たまーにないですか？
三島：昔はありました。「辻さん！ それ持ってくる？」みたいなやつ。辻ですね。久野はないです。あとは俺ですね。「そんな曲？」っていうのはあったかもしれないです。
久野：昔は明らかに前日に聴いた曲に影響されまくってるなというのはありましたね。
── 新曲の『into the green』と『棺とカーテン』は歌ものの色が強くて、それは何か最近聴いていた曲があったんですか？
三島：あんまり覚えてないんです。
久野：それを作っていた時って、俺らの歴史の中ではあんまり音楽聴いてなかった時期じゃない？ お金がなくて新しいCDも買えなかったから（苦笑）。
三島：昨年の夏から冬ぐらいは、本当に余裕がなかったんです。バンドが忙しくてバイトに入れないからお金がないという悪循環で。
── そういうどうすることも出来ない苛立ちって、どうやって解消するんですか？
飯田：ぶつけるところが音楽しかなかったですね。ライブをやることで発散していくしかなかった。あと微妙に売れてるっていう時期がずっとあって………微妙に売れてると辛いんですよ（苦笑）。
── イベントでもワンマンでも、ライブには毎回たくさんのお客さんが来てくれますから、必然的にオファーも増えますしね。
三島：だからギャップがあったんです。昨年の7月にクアトロでワンマンをやって、売れてる感じはするんだけど実際手元に残ってるお金はそんなになかったり。
── 高1でバンドを組んだ時って、きっともっと華やかな世界を想像してましたよね？
三島：それは思ってました。少なくともメンバーと一緒に住んでいるとは思っていませんでした（苦笑）。田園都市線で家賃16万円の高級マンションに住んでる予定でした。
── 高級マンションが16万円で借りられるんですかね。
三島：じゃあ、30万円の2LDK・日当たり良好に住んで、宅録の環境があって、週末はゴルフ（笑）。
飯田：テキトー（苦笑）。
三島：でも、あんなに精神的に追いつめられた中で活動しているとは思ってもいませんでしたね。
── 追いつめられた方が良い曲が書けたりしません？
三島：というのは思い知ったんですけど、もうあの状態になるのは嫌です。
久野：お金がないのは、心がすさむだけでしたし（苦笑）。ひたすら心がすさんでました。
三島：お金もないし曲を作る以外やることがないから、自分に変なハードルを課していたんです。ここまでにこれだけ作らなきゃいけないと決めてさらに自分で追いつめて。
── 精神的にやられちゃいますね。でも、その時期にけっこう曲出来たんですか？
三島：はい。出していない曲がいっぱいあります。
自信を持ってメジャーに行けます
── レコーディングは今回は4人だけでやったんですか？ エンジニアさんが入ったりとかは？
三島：入ってます。でも今までと同じ方です。
── 作業はけっこうスムーズだったんですか？
三島：…スムーズじゃなかったです。僕がインフルエンザにかかってしまって。スタジオを4日とっていて、2日目でインフルエンザにかかって、僕がディレクションをやってるから何も進まなくなっちゃって、スタッフも含めて全員のスケジュールに穴が開くという…。本当に申し訳なかったです。
久野：その時点で、『into the green』に入る曲を1曲しか録ってなかったから。
三島：だから新しいスケジュールになって、ずっとバタバタしてました。歌録りからミックスもツアーに食い込んじゃって、ずっと制作に集中できるわけではなくなってしまい…。初めての経験でした。モードをどんどん切り替えなければいけなくて。
── トータルでどれぐらいかかっているんですか？
飯田：2ヶ月かかってます。今まではミックスまで1ヶ月以内で終わってたんですけど。
── 皆さんのライブとCDって雰囲気が全然違うから、切り替えも大変そうですね。
三島：そうなんです。
── 何年前か忘れましたが初めてライブを見た時は衝撃的でしたよ。歌を基調としたバンドなんだけど、ライブは迫力もあるし、辻さんがギターを弾きながら飛んで来そうですし（笑）、なのでCDも聴いて欲しいですけど、ライブを観て欲しいですね。
三島：CDだけで完結はしてないと思いますし、ライブが本来の姿だと思っているところはあります。CDは作品として残す上で＋αのものはやってますけど、僕らをわかりやすく表しているのはやはりライブなんです。
── 『into the green』のレコ発としては岐阜と東京の2本だけなんですよね。
三島：今回はそうですね。2曲しか新曲が増えてないので、全国でやっても前のツアーとセットリストを変えられないという現実的な問題もあって。でも、2本しかない分濃密でプレミアムなワンマンに出来たら良いなと思っています。
── バンドとしてはちゃんと成長出来てる感じはありますか？
三島：以前『Blue,under the imagination』というミニアルバムをリリースしているんですけど、これは良い意味でも悪い意味でも若いとか青臭いイメージで、今作の『into the green』は芽吹きがあって成長しているという色、階段を昇ったというか、成長しているイメージを持たせています。
── 着実に階段を昇って、ようやくメジャーデビューとなり、ここからですね。
三島：飛び級は全くしてないですけど（苦笑）。突然メジャーに放り出されてどうしようという感じは全然ないですね。
久野：インディーズで成長出来て、自信を持ってメジャーに行けるかなという感じはあります。
── 土台はちゃんと固めてきましたから。
三島：長かったなとは思いますけど。でもそれが肥やしになっている部分もあります。
── ここからは下の世代も引っぱっていかなければならないですね。
三島：そういう世代か…。
久野：とりあえず自分たちが楽しくないと、とは思っています。僕らが好きな音楽をいろんな人が知ってくれたら良いなって。下の世代を引き連れて俺らが行くぞという使命感はない。
三島：でも手本になればいいなって思います。僕らは岐阜から出てきたんですけど、地域貢献はすごくしたいと思っています。
── 地元大好きなんですか？
三島：大好きです。親善大使になりたいんです。他にも野望があって、僕が思っているだけかもしれないですけど岐阜でフェスをやりたいと思っています。そうやって何らかの足跡は残したいですね。
