パンクのサインが降りてきた
対談参加者(左より):森若香織、三浦俊一、宍戸留美
田口トモロヲ、淡谷三治
──みなさんに共通していると思うんですが、LASTORDERZのコンセプトである「人生のラストオーダー」を大人としてちゃんとやってるってことなんです。
田口 「人生のラストオーダー」っていうのは僕が言い出したことなんですけど、大きく出たほうがいいかなと思って。その言葉がちょうど自分の気持ちと合致したんです。
森若 私も、まだメンバーになる前だったけど、LASTORDERZというバンド名を聞いてすごく感動した。人生の最後に選ぶものがパンクなんだって思ったら、それだけでもう。
淡谷 僕はお二人にそう言ってもらえるだけで感無量です。
森若 人生ってそういうふうになってるんだなって。いろいろやって最初に戻るみたいな。だって、昔からトモロヲさんの単なるファンだったのに、今一緒にバンドをやっているなんて、それだけで意味があるかなって。
──留美さんのような下の世代から見てどうですか?
宍戸留美 今日のガガーリンのライブを観て思ったんですが、人って年を重ねていくと子供に戻るんだなって。佇まいは大人なのに、「うんこ」とか子供が大好きな言葉を散りばめてて。
田口 知能指数低〜い感じですよね。
森若 うんこが好きなんですよ。うんこ出身?(笑)。
田口 そういう部族なんです(笑)。年取ってもずっと「うんこ」とか「ちんちん」とか言ってゲラゲラ笑ってる部族。それをあらためて再確認した。
宍戸 控えようと思った時期もあるんですか?
田口 そういう時期はありましたね。これは本当に自分が望んでいることなんだろうか?と。人にも嫌われるし。でも、最近ようやく一皮剥けたんですね。死が近づいてきたというのもあって、やっぱり好きなんだなって。うんこ、ちんちんが。そんな自分がちょっと愛おしくなってきたりもして(笑)。
宍戸 愛おしいっていう気持ちはすごく感じました。
──留美さんは相当感化されたようですね。ますます次回のライブが楽しみです。
宍戸 じゃあ炊飯器を用意しておいて下さい(笑)。
田口 こっちの部族はバカですが楽しいですよ。
──三浦さんから見て今回の組み合わせはどうですか?
三浦 この対バンは、よくよく考えるとそんなに斬新じゃないんですよ。なんとなく同じような所にいたのが、元に戻る感じがあって。ただ、今はそういうものを知らない人も多いはずなので、そういう人達に対して、人間年とってもなんとかなるんだなって思ってもらえたら正解なんじゃないですか。
森若 私はもっとずうずうしくて、パンクとかバンドとかって私達のものだって思ってるの。特にパンクなんかは私達が中学・高校の時にちょうど聴いたものだから、それを若い子なんかがやってるのを見ると「それ、私のだから! 」って(笑)。
──そういえば、LASTORDERZに田口さんが加入した理由も、オリジナルパンクを知ってる世代だからってことですよね?
淡谷 いや、もっと軽いノリでしたね。安斎さんがワンステージもたないんですよ。3曲ぐらいしか。それで僕にボーカルをふってくるんですけど、僕もベース弾きながらだとキツイなあと思って、ちょうどその時、飲み会にいたトモロヲさんに「歌ってくれませんか」ってお願いして、とりあえずバンドの資料を渡したんです。
田口 パンクバンドなのに資料渡すって、そこが大人だよね(笑)。
淡谷 その時は特に返事はなくて、多分冗談だと思われたんだろうなと。それが、その2日後にまたトモロヲさんとバッタリ会って、別れ際にトモロヲさんが「あ、バンドやりますよ」って言ってくれた。
田口 その時にパンクのサインが降りてきたんです。これはやるべきだなって。
──その始まり方もパンクですね! ますます次回のライブが楽しみです!!!
(註1)インタビュー収録日(3月9日)、田口トモロヲ率いる伝説のバンド「ガガーリン」のCD発売記念、一夜限りの再結成ライブが新宿ロフトで開催された。