1976年に生まれたパンクとは何だったのか? それは若者による社会への反抗、既存のロックの破壊と再生、人間の怒りの衝動など様々な側面を持っているが、ひとつ言えるのは、パンクによって生き方が根本的に変わった人達が存在し、パンク誕生から35年以上たった現在も、その生き方を貫く大人がいるということだ。
そんな大人達による興味深いライブが4月13日の金曜日に下北沢SHELTERで開かれる。片や、女性によるロックのフィールドを切り開いてきた森若香織と宍戸留美による「魔性姉妹」、片や50歳を越えてなおパンクを標榜する田口トモロヲ他、淡谷三治、森若香織らによる大人パンクバンド「LASTORDERZ」の対バンだ。
人生のラストオーダーには間違いなくロックを選ぶ大人達のパンクな生き様を是非あなた自身で目撃して欲しい。(INTERVIEW:加藤梅造)
先に死ぬ人間が放つ何かってすごく強い
──4月13日にSHELTERで行われるLASTORDERZと魔性姉妹のライブですが、これは「大人パンク vs デコ熟」とも呼べる対バンですね。
田口トモロヲ デコ熟って?
森若香織 大槻ケンヂ君が魔性姉妹はデコ熟として売り出せって言ってたんです。世の中には熟女マーケットがあるんだけど、熟女好きはなかなかカミングアウトしづらいらしくて、魔性姉妹がそのきっかけになればいいってことらしいんです。
──トモロヲさんも三治さんも魔性姉妹のライブはご覧になってますよね?
淡谷三治 僕は2回観ましたよ。
田口 デコ熟好きだね。
淡谷 最初のライブを観たときにこれからどうなるんだろうっていう期待感があって。それで2回目も行ったんです。それがまさかこんなに早く共演することになるとは思ってませんでした。しかも今回の魔性姉妹には三浦さんも入っていて。
森若 そう、音楽っていうかトラックをお願いしてるんです。デコトラ?
三浦俊一 あとギターの演奏もしてるんです。他にドラムも入っていて。
淡谷 じゃあまた進化したんですね。
森若 そうそう。グレードアップ!!!
淡谷 それってバンドの立ち上げ時にありがちな模索状態ってことなんですか? それともきちんとコンセプトに沿って?
森若 いや完全に模索状態で、なおかつ今も模索中。
淡谷 新曲とかも作ってるんですか?
森若 それもあるし、あと今までの自分の曲をアレンジしたものも。
田口 それ、うちでもやりましょうよ! GO-BANG'Sの曲を。
森若 魔性姉妹では「スペシャル・ボーイフレンド」の1番を留美ちゃんが歌って2番から私が、ご本人登場!とかやってるんだけど、そういうのも面白いよ。「Only You」もそうだけど、昔の曲を今やるのって私は感動するんです。
田口 昔の曲をやるのに飽きてた時期もあったんだけど、もう二回りぐらいして今は新鮮なんですよ。もう死んじゃうからね(笑)。今のうちに声出しとこうって。
森若 もともと「Only You」は凄い好きな曲だったから、いま自分が(LASTORDERZで)ギターを弾いているのは鳥肌立ってる。まさか自分がやるとは想像してなかったから。昔の曲をやることにちゃんと意味があるじゃないですか。今日のガガーリンのライブ(註1)もそうだったけど。
田口 年取ってから初めてできる交歓? 若い時はなんかこう、突っ張ってたりして共同作業とかできなかったから。
森若 あと自分がバカ過ぎて、相手が考えてることがよくわからなかった。今はわかるじゃない。
田口 ようやくね(笑)。
森若 今日の(ガガーリンの)ライブのMCで一番メモったのが「お前らよりも先に必ず死んでやるから!」っていうの。そう!そうだよ!!って。先に死ぬ人間が放つ何かってすごく強いなって。そういう人が昔の曲をやると、ものすごい説得力がある。
田口 まあ、不覚にも長生きしちゃったからね(笑)。
森若 魔性姉妹とLASTORDERZをやってて思うのは、曲を大切にするのは大事だなってことですね。