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次のアルバムもこの4人で出すのが当面の目標

（ここで遅れて工藤が到着）

工藤：いい話してますねぇ（笑）。すいません、遅くなりました。

──テッキンさんは今回のレコーディング、如何でしたか？

工藤：今回はベースが前に出た音の仕上がりになっているんですけど、フレーズはみんなで考えたんです。自ずとそう弾くみたいな感じになっていったんですよね。だから、自分で悩んで考えたのはほとんどないです（笑）。

谷口：テッキン、それは昔からじゃないの？（笑）

中川：でも、「ベニコンゴウ」は苦戦しませんでした？

工藤：ああ、あれは確かに。でも、結果的に凄くいい感じになったんで。

谷口：そう、「ベニコンゴウ」のテッキンのベースは特にいいんだよ。

大地：何なんだろうね、あのテッキンのベースの音っていうのは。優しい感じもあるし、包容力もあるし。やっぱり人間性が出てる気がする。

工藤：要するに、あまり考えないのがいいんじゃないですか？（笑）

大地：ねぇ!? やっぱりそういうことでしょ！（笑）

工藤：今はバンドの雰囲気が自由で風通しがいいし、それが功を奏しているのかもしれないです。暁生ちゃんが入る以前は、解散前のBEYONDSを継承しようっていうのが意識してもしなくてもあったような気がするんですけど、暁生ちゃんが入ってからはそういうのが全然なくなったんですよね。そこへ大地さんが入って、昔のBEYONDSの流れになるのかと思いきや、今まで以上に何でもアリになったんですよ。

──fOULの結成当初のテーマって、「We hate BEYONDS」だったじゃないですか。

谷口：よく覚えてますねぇ（笑）。

──それと似たような感じで、今は「We hate early BEYONDS」なんじゃないかと思うんですがどうでしょう？

大地：まぁ、自分たちがやってきたことだから「hate」までじゃないですけどね（笑）。何て言うか、いざfOULをやるぞという時の気負いってあったじゃないですか。BEYONDSを一度払拭させなきゃっていうような。でも、さすがにこの歳になるとそこまでの気負いはないですよね。

谷口：うん、全然ないね。

大地：僕で言えば、BEYONDSでもfOULでもCOPASS GRINDERZでもTABLEでも何でもいいから、バンドをやれればいいやっていう。

谷口：そうだね。本当にそう思う。

──まるで今のBEYONDSを象徴しているかのような、夜が白み始めて朝を迎える様が描かれているジャケットについても伺いたいのですが。

谷口：以前、朝日新聞で江戸川乱歩の生誕110周年の連載があって、僕はその記事が好きで、切り抜いて大事に持っていたんです。その連載の挿絵が凄く好きで、その方の絵をジャケットに使えないかと思ったんですね。そうしたら、POPGROUP RECORDINGSの代表の方に「電話してみたらどうですか？」って言われたんですよ。それで勇気を振り絞って電話してみたら、何と快諾してくれたんです。

──凄いですね。何という作家の方なんですか。

谷口：水口理恵子さんという方です。江戸川乱歩の評論に凄くマッチしている水口さんの挿絵があったので、その挿絵の片鱗でもいいから使わせてもらいたかったんですよ。でも、元の絵はどこかに行っちゃって、それを新たに具現化したものはあるホラー小説の表紙にすでに使われていると水口さんから聞いたんですね。でも、その絵をどうしても使いたいというのであれば、出版社と作家の方に許可をもらえれば私は構いませんよ、と言って下さったんです。で、出版社からOKが出て、作家の方からも「コラボみたいでいいんじゃないですか」と言われてOKが出て、（込み上げるように）“やった！”と思って。こうして使わせて頂いて、水口さんにはとても感謝しています。あと、「ヘイセイムク」のロゴはPOPGROUPのデザイナーの方にニュアンスを伝えて作ってもらったんですよ。POPGROUPにはデザイナーもいればシューティングをする方もいて、凄い才能の人たちの集まりなんです。だから彼らとこの先もタッグを組むのがとても楽しみなんですよね。

──ハードコアが打ち鳴らされる音の礎としてありつつも、今ほど何物にもとらわれることなく自由奔放に心地好い音楽を体現しているBEYONDSはかつてなかったと思うので、今後の活動に益々期待して良さそうですね。

中川：さっき健さんが「過渡期」と言っていたように、大地さんが入ったことでさらに可能性が増えたように思うんです。個人的にもやりたいことがまだまだたくさんあるし、これからもっと面白くなっていくと思いますよ。

工藤：今はまだアルバムが出る前なんですけど、もうすでにその次のアルバムを作るのが楽しみですからね。

大地：ちょうど昨日が練習で、ちょっと新曲を試してみたんですけど、それも相当面白そうな感じなんですよ。

谷口：今僕が気に留めているのは、無理をしない、考えすぎない、煮詰まらない、曲は雰囲気を大事にしながらゆったり作る、ということなんです。物事を進めていく上で、僕からすると「ちょっとまだでしょ？」っていう感じのメンバーが今までは良くも悪くもいたんですよ。でも、今回は「まだでしょ？」じゃなくて「もうお披露目しましょう！」といい塩梅で背中を押してくれるメンバーと出会えたのが良かったなと思って。

中川：テッキンさんに聞いたら、BEYONDSって今まで同じメンバーでアルバムを2作続けて出したことが一度もないんですよね。

工藤：そう、全作メンバーが違うんですよ。

大地：ああ、言われてみればそうだね（笑）。

中川：だから、次のアルバムもこの4人で出したいんです。それが当面の目標ですね。