Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューa flood of circle(2011年11月号)

ロックンロールと共に転がり続けることを決意した
afocというバンドが見据える未来像

2011.11.01

「俺はこうなんです」と言い切りたい

── 未来に不安があるということは佐々木さんがいつも話していることですが、今作でも『Hide & Seek Blues』に「未来」というフレーズが入り、インディーの頃からある『ブラックバード』にも「未来」という言葉は出てきますよね。あの当時歌っていた“未来”と、今思う“未来”の違いってどんなところですか?
佐々木:具体的にどう違うかと言われると難しいですけど、大学生の時に書いた『ブラックバード』は、将来が不安でしょうがないという気持ちで歌っていて、不安なまま今を迎えたし、地震があって不安が具体化している気もしていて、ロックに何ができるかという回答をしたいと思ったので、漠然とした未来じゃなくて『I LOVE YOU』という言葉を言い切る形になってきたんです。『ブラックバード』から5年が経ち、社会的責任とかそういう話じゃないですけど、25歳になって自分の生き方がだんだんわかってきて、その辺のリアリティーが“未来”や“愛”を歌う自信にもなっています。でも、不安定なミュージシャンとして生きてるとか、いろいろな不安は今でもあるんですが、俺はそこに立ち向かっていたいし、それがステージや曲に出てくると思うんです。メッセージや歌詞、生き方のレベルで2011年のロックンロールはこうなんですよと提示したい。今までなんとなく感動していたブルースや音楽も、絶対に生き様とかが刻まれていると思うので、そういう作品を作りたいんです。afocは日本語でメッセージを歌うロックバンドとして、これを100年後に誰かが聴いてくれた時に一番大事なところだけは同じように感動してくれるチャンスはある。俺も100年前のブルースの不安はわからないけれど、すごくリアルな言葉を歌っているというところに感動するし、未来から見た時に「自分はマジで生きてますよ」と堂々と言えるようにありたい。ロックンロールだとかブルースだとか言ってる俺をちゃんと貫かなければダメだなという気もしているし、それしか出来ないというところに来ていますし。だから『LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL』というタイトルもすごく気に入ってます。
── 考え方がどんどんシンプルになっている感じもしますね。
佐々木:それはありますね。引き算が出来るようになってるのかな。これは姉さんや曽根さんからも気付かされる事が多いです。
── ところで『Whisky Bon-Bon』を聴いた時に、やっぱりロックとお酒は切り離せないものですよね、と単純に思ったんです。「最近は打ち上げでおいしくビールを飲めるようになった」と前作のインタビューでも言ってましたし(笑)。
佐々木:昔ジャズバーでバイトをしていた時があって、その頃にお酒を覚えたんですけど、当時の方がウイスキーはよく飲んでましたね。打ち上げでビールを飲むようになったのは最近です。
── お酒の曲があって、『賭け (Bet! Bet! Bet!)』という曲があって…。
佐々木:賭け事は全然しませんけど、充分人生を賭けた勝負をしている感じはありますよ(笑)。音楽でやっていこうって、社会的なところを考えると健全な生き方とは言えませんよね(苦笑)。
── でもその人生を選んだのも自分ですから。
佐々木:何の仕事でも当てはまると思うんです。自分がやりたいと思ったことに飛び込んで、マジでやってるかどうかって思うと、俺は全然金ないけどこうですよと言い続けられる姿勢が、違う生き方をしている人の真剣な姿勢とリンクさせて聴いてくれたらいいなと思う。“受け取り方は自由”みたいなことを言う人もいるけれど、俺はそうは思っていなくて、「俺はこうなんです」って言い切りたいんです。だから、今回はシンプルなところに行きついたし、伝わるんじゃないかなという気はしてます。気持ちはマジなんですけど、歌詞の感じや言葉選びはゆるくできたし、それが軽さとして聴こえたらいいなと。
── あと、『The Beautiful Monkeys』と『King Cobra Twist 〜-session #6-』のアルバムならではの動物シリーズが(笑)。
佐々木:動物シリーズ(笑)。なんでかわからないですけど結局動物を書いちゃうんですよね。2曲とも別々のベクトルで、『The Beautiful Monkeys』は人間をサルに揶揄していて、『King Cobra Twist』は生きていく悲しみにふと気付いちゃうという瞬間をコブラに例えたという、発想としては人間の目線を動物に例えていて、そこは変わってないんですけどね。
── 『The Beautiful Monkeys』は、肉感的なサウンドになっていますね。
佐々木:バシバシきますよね。これはロックンロールの中でも2010年以降のものをイメージしてタイトな音にしようと思っていたんです。歌詞が今までに書いていないSEXの歌で、それでいいんじゃないですかね、俺たちっていう(笑)、リラックスした感じで書いて。そういう目線で書いた事がなかったので、歌詞は楽しんで書きました。これと『YU-REI Song』の歌詞は早かったですよ。最近毎日のように書いているので、そういうモードなのかなと。今のモードが一番よく出ています。
── レコーディングもスムーズに?
佐々木:レコーディングが早いバンドなんて山ほどいるんですけど、俺たちの歴史の中では一番早かったかも。前は時間がなかったというのもありますけど、アレンジが出来てないままレコーディングスタジオに入って録りながら詰めてというのもザラにあったので。今回は俺がこういう曲なんですよというのが前よりもハッキリしていたので早かったです。
── アレンジはみなさんで?
佐々木:基本俺です。俺がデモの段階でだいたい作っておいて、みんなで一緒に出した音で詰めていく。『Sweet Home Battle Field』は姉さんが入りたての時だったのでいろいろ悩みましたけど、あとは早かったです。曲に対していつもだったらリフがあってそれに意味を付けて歌詞を付けて曲を付けて、でも詞を変えたら曲を変えるという作業だったので時間がかかってしまったんですけど、今回は最初からこの曲はこのイメージというのが毎回あったので、それに近づけるという作業。こねくり回した方が良い『感光』みたいな曲もあって、そうじゃない曲は潔く作りました。

死ぬまでブルースをやり続ける

── 以前タワーレコード限定で配布したフリーペーパーで、サンボマスターの山口さんとの対談の際に好きなブルースマンや好きなバンドの話をたくさんされていましたが、afocの曲を作る時にそういったバンドは意識されたりしているんですか?
佐々木:ザ・ホワイト・ストライプスのようなブルースで踊れる感じがかっこいいなと思っていたんです。afocが書いてる曲ってメンタルから出発しているものが多いくて、『ブラックバード』とかもライブでやっていきなりみんなが踊り出した曲でもないし、どうやってフィジカルなやつを書こうかなというのが何年かのテーマで。だからダンスをテーマにした『Human License』を作ったんです。ストライプスとかラカンターズがやってるブルースってすごく踊れるんですよね。音はペラペラですけど、ブルースを持った人がここまで出来ちゃうというのが、今面白く聴こえるし、DJみたいな場所でかけても違和感がないビートのバンドなんです。僕はメンタルから始めたことは譲りたくないですけど、フィジカルさを音楽に求める人達に聴かせて、メンタルを重視するバンドの良さに気付かせたいという発想で洋楽は意識してました。昔はツェッペリンばっかり聴いて、そのまま弾いたりしていたけど、今はそうじゃない感じになってきました。
── でも今はブルースとロックンロールがうまく混ぜられてるのを自分でも感じてます?
佐々木:はい。いろんなことが軽快さとか身の丈の話とか、つじつまがちょっとずつ合ってる事は実感していて、自分が思ってるものに完成させるスピードも速くなっているし、作品単位で考えるんじゃなくて、60歳になってもストーンズみたいに続けたいというでっかいパズルを完成させる感じがちょっとずつ近づいてきている。
── 続ける事に意味がある?
佐々木:今のところをそこを見出していて、そこに憧れがあります。ドッカーンと売れていつまでも続けて、往年の名曲を繰り返してやってますじゃなくて、ボブ・ディランとかも今ライブで名曲ばかりやってるけど、アレンジが全然違うからみんなわからないんですよ。この年になってそれをやってるのがすごいと思うんです。なんてかっこいいんだろうって。それがリアルだなと思ったし、ボブ・ディランなりに60年代にマジで書いた歌詞だから今のアレンジでやりたいと思っているんじゃないかと僕は勝手に思っていて、「昔通りのアレンジでやれよ」っておっさんが言ってるのも聞こえてきたし、その意見もわかるんですけど、ボブ・ディランがやりたいことはそうじゃないと思ったし、僕が知ってるロックやブルースのかっこいい先輩もたぶんそうだと思う。
── ずっとゴールがないですね。
佐々木:それがかっこいいことなんじゃないかなって。いつか死んだ時に誰か若いヤツがそれを受け継いでくれるのがロックンロールが転がっていくことだと思うんです。それは大きい話ですけど。
── 今のafocが目指すものって何ですか?
佐々木:1番は死ぬまでブルースをやることですけど、みんなに聴いてもらうための工夫がどれだけ出来るかということで、それに尽きますね。そのために一歩一歩、曲を書いています。
── ドカーンと売れるということをまず目指しているんじゃなくて、一歩一歩進みたいと。
佐々木:階段を昇って、たまたまドカンと売れることが出来たら、その時にリアルなことを歌えるようにしておきたいなっていうのがあって。
── 大学生当時バンドを始めた頃もドカーンと売れたい願望はなかったんですか?
佐々木:ドカーンと売れたかったら『ブラックバード』は書かないですよね(苦笑)。でも、こういうブルースのメッセージが武器になったり、所謂音楽史の中で違う存在になれるという感じはあったので、その中で認められたいと思ったし、その頃ナンバーガールとかもそうだし、自分がやりたいことを貫いている姿がかっこいいと思って共鳴してくれる人がいると思ってます。
── 今は徐々に聴いてくれる人も増えてますから。
佐々木:次のツアーファイナルがAXですけど、昔はAXにザゼン・ボーイズを見に行ったこともあって、結成から5年かけてちょっとずつ階段を昇っているんだなって思いますね、振り返れば。
── よく考えたら自分が好きで始めたものを誰かが共感してくれるってすごいことですよね。
佐々木:それを思えば思うほど自分対相手で曲を作るべきだなというのがあったので、聴いてもらうためにはどうしたらよいかという発想になっていったんです。

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LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL

初回盤:VIZL-445 (CD+DVD) / 3,150yen (tax in)
通常盤:VICL-63807 / 2,800yen (tax in)
2011.11.23 IN STORES
<初回盤DVD収録内容>
1. I LOVE YOU (Video Clip)
2. Blood Red Shoes (Video Clip)
3. Miss X DAY (Live Video Clip)
4. Sweet Home Battle Field (Live Video Clip)

【初回生産分封入特典】
9.21(wed) 発売シングル「I LOVE YOU」とのW購入者封入特典
【抽選で6周年突入メモリアルライブにご招待】
2012.02.12(sun) 下北沢SHELTER

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1. I LOVE YOU
2. Blood Red Shoes
3. Whisky Bon-Bon
4. Sweet Home Battle Field
5. 賭け (Bet! Bet! Bet!)
6. Hide & Seek Blues
7. YU-REI Song
8. Boy
9. The Beautiful Monkeys
10. King Cobra Twist 〜-session #6-
11. 感光

TSUTAYA レンタル限定MINI ALBUM
RENTAL LOVE WAS LIKE A ROCK'N'ROLL -借り物の愛-

RTC-019 / CRUX
2011.11.02 RENTAL START

1. Blood Red Shoes
2. I LOVE YOU
3. Sweet Home Battle Field
4. Hide&Seek Blues
5. Miss X DAY
6. 賭け(Bet! Bet! Bet!)

LIVE INFOライブ情報

Tour “Blood Red Shoes -ビールに幻惑されて編-”
11.01(tue) 新宿LOFT / BAR SPACE
11.04(fri) 広島Cafe JIVE
11.05(sat) 福岡DREAM BOAT
11.10(thu) 静岡UHU
11.11(fri) 仙台HEAVEN
11.16(wed) 大阪HARD RAIN
11.22(tue) 南青山RED SHOES


Oneman Tour 2012
“LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL -見るまえに跳べ-”

02.18(sat) 千葉LOOK
02.23(thu) 神戸太陽と虎
02.25(sat) 岡山ペパーランド
02.26(sun) 広島CABE BE
03.01(thu) 京都磔磔
03.03(sat) 福岡BEAT STATION
03.04(sun) 大分CLUB SPOT
03.10(sat) 高松DIME
03.11(sun) 高知X-pt.
03.17(sat) 仙台MA.CA.NA
03.18(sun) 盛岡CLUB CHANGE
03.20(tue) 水戸LIGHT HOUSE
03.24(sat) 金沢VAN VAN V4
03.25(sun) 新潟CLUB RIVERST
03.29(thu) 横須賀かぼちゃ屋
04.01(sun) 札幌COLONY
04.07(sat) 名古屋CLUB QUATTRO
04.08(sun) 大阪JANUS
04.15(sun) 渋谷AX

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