もともとライブはあまり好きではなかった
──次はライブについて聞きたいのですが、sleepy.abにとってライブとはどんなもんでしょうか?
成「もともとライブってあまり好きじゃなくて、昔はやりたくないってずっと言っていたんです(笑)。でも『メロディ』という曲が出来てライブでやった時に、今までの曲よりもメッセージ性があったからか聴いている側の空気が柔らかくなっていく感じがして、その時ぐらいからライブは楽しむものかもしれない、あそこに立っていても良いかもしれないって思いました」
──今でもライブに対しての苦手意識はあるんですか?
成「よくよく考えたら人前に立つってすごいことなんですよね。本来僕はそういう性格じゃないんですよ。自分の中で“出来る”という自信がないとビビリますよね」
──ライブを意識して曲を作った事ってあるんですか?
山「意識して曲を作るというか、レコーディングは何人入れてもいいし弦を入れてもいいけど、ライブは4人で作らないとダメで、生の感じを楽しむというかCDとは違うことをやろうという意識しています。日によっても違いますし、最近はその感じがおもしろいと思っていて、気持ち良くなったら歌い方を変えるのかもしれないし」
成「山内はたまに叫んでいるよね? 見た事あります?」
──ないです(笑)。
成「たまに見るとなんか言っているんですよ(笑)」
山「よーし! って(笑)」
──一番言わなそうなのに…。熱い部分もあるんですね(笑)
成「エモショーナルな部分はあるかもしれない」
──フェスにはいわゆるフェスに似合うバンドが多数いる中で出演をする心境ってどんな感じなのですか?
成「初めて出演したフェスがライジングサンだったんですが、“何で呼ばれるだろうね”って思っていたんですよ。メンバー4人とも行った事がなくて。“呼ばれたけどどうする?”みたいな(笑)。需要があるのかなって」
──いざステージに立った時はどうでしたか?
成「昨年、ロッキングオンジャパンの海の近くのステージに立った時、夕方だったんですけど太陽はギラギラしていて、気温もすごく高かったんです。その時に、ここでsleepy.abを聴かせるって違うんじゃないのかなって思ったんですが、演奏が始まった瞬間海風が吹いてきて、体感的に5℃ぐらい温度が下がったんですよ。俺もすごく気持ち良くて、空気を変えるステージというか、そういう意味でもありだなって思いました」
──自分たちは室内で聴かせるのと野外で聴かせるのとではどっちのタイプですか?
成「やっている側としては野外の方が楽しいなって感覚がありますが、野外でも星空の下でやるとかだったらまた違うし。それは1回やってみたいです」
──『Mother Goose』を引っさげて全国を廻りますが、どんなツアーになりそうですか?
成「アルバムの曲をライブで演奏して幅が広がった感じがしたので、そういう意味では楽しみです」
──sleepy.abのライブを初めて見る方がいるかもしれないので、入り込めるような楽しみ方があったら教えてください
山「盛り上がりたい人は盛り上がってもいいし、1人で静かに聴きたい人は聴いてもいいし、目をつぶっていてもいいし、個人個人で楽しみ方を見つけてくれると嬉しいです」
──あとお聞きしたかったのですが、皆さんは新宿ロフトに出演する前から新宿ロフトってご存知でしたか?
成「はい。スピッツさんのファンだったので名前は知っていました。スピッツと言えば的な」
──初めてロフトに出演した時の事って覚えていますか?
成「クラムボンの原田さんが司会をやっていた音楽番組の収録ライブがロフトで、その時に初めて出演しました。初めて歴史ある場所に行ったという感じだったので、神聖な気持ちになりましたね」
──ロフトに出演する時って、他の小屋とは感じるものが違うんですか?
成「そうですね。他のアーティストも見え方が違いますよね。空間とバンドの佇まいもあって」
──では、最後に読んでくださっている方に向けてメッセージを聞かせてください。
成「今回のアルバムは、色んな選択肢があって、戻るなり進むなり、横に逸れるなり、現実逃避もそうなんですけど、通勤中や通学中に聴いてもらった時に、帰っちゃおうかな、サボろうかなって思ってくれてもいいなって(笑)。それはポジティブな現実逃避だと思うので、サボリつつ頑張ってください(笑)」
山「ジャケットからアルバム全ての部分で、自信を持って次に繋がるものが出来たので、次のsleepy.abはどうなるんだろうって期待してもらえると思うので聴いて欲しいですね」