
メルヘンの立ち位置は難しい!?
──ボーカルの割り振りの際、セクシー(斉藤)、ボーイッシュ(大谷)、ナチュラル(柴田)、メルヘン(村田)と担当で呼ばれていたそうですけど、それは松本さんなりのレコーディングの盛り立て方だったんですか。
松本:ボーカルを割り振るということをあまりやったことがなかったので、「この歌詞はセクシーに」とか「ナチュラルに」とか指示したんですよ。みんな個性がバラバラだったから、凄い良かったですね。
──歌入れの時にここはこう唄ってくれみたいな、直接的なアドバイスはあったんですか。
河野:声質は全然違うんですけど、唄い方がパッと聴き似てるなと思ったので、そこはもうちょっと自分らしくと言うか、それぞれの個性が出るようにというのは意識しましたね。
──その結果、各々の持ち味がよく出ていますよね。
松本:うん、凄く出てる!
──先月号のインタビューで、村田さんがメルヘンの立ち位置だとロックは唄いづらいと仰っていましたけど。
村田めぐみ(fairy):はい。担当の時に凄く迷ってました。
松本:なるほどね。
村田:ロック化計画の最初のほうの曲ならメルヘンな歌声でもマッチはしたんですけど、今回個性を出すに当たって、どうやって私を表現したらいいんだろうかと凄く悩んだんです。
松本:俺も歌入れをする時は、ジョーさん(河野)にボーカル・ディレクションを任せていたんですけど、「個性を出して」と言われても、わかるわけねぇだろ! と思いながらやっていたことは確かにありますね。
村田:でも、自分を出し切って素直にやったらそれが個性になるんだなって気づいて、気持ち良く唄わせて頂きました。
──今までのコラボのメンツに比べたら、ゴーイングの皆さんとは割と同世代なんですよね。
柴田:そうですね、年代的には。
斉藤:でも、全くそんな感じがしなくて、凄いお兄さんに見えてましたけど。
松本:おじさんじゃなくて?
斉藤:いやいや(笑)。
村田:落ち着いた印象と、爽やかな印象を受けました。
斉藤:河野さんが大人の雰囲気を醸し出してるんですよね。ボーカルに関しては河野さんがディレクションをして下さって、的確ですべてがピシッとしていて格好良かったです。
柴田:コーラスは甘い声でしたし。
松本:ヨッ!(笑)
河野:僕はリアクションがワン・テンポ遅いだけなんです。だから落ち着いて見えるんですよ。
──楽曲の候補として別の曲も用意していたんですか。
松本:なかったです。いつも人に曲を書く時にやりすぎるクセがあるんですよ。その時は満足して進めるんだけど、出来上がった時に余白の部分がなくて想像通りになっちゃって、面白くなくなっちゃうんです。候補もなかったですけど、アレンジもガッチリ固めてというわけではなくて、やりながら「それいいね」と詰めていく感じでした。ロックってカチカチしないと言うか、予定調和じゃないということでもありますからね。
──レコーディング風景を収めたPVを拝見したんですけど、時間がなかったのを逆に利用してタイトに演奏している感じが伝わってきましたよ。
松本:録りは早かったですよ。午前中から始めて、夕方前にはオケが終わっていましたからね。自分たちもあれぐらいで出来たらいいのに。
斉藤:こちら側としても時間がない中でオファーを受けて頂いて、短時間でこんなに良い曲が出来て感動しました。
──実質、どれぐらいで完成に漕ぎ着けたんですか。
松本:みんなで一緒にリハに入ってアレンジをだいたい決めて、その日は歌詞が全部出来ていなかったので、歌詞は当日に。
──当日に歌詞の内容を噛み砕いて唄うというのは...。
松本:大丈夫でした? 俺は無理な時があるから。
斉藤:伝わりやすい言葉で書いて下さっていたので、大丈夫でしたよ。
──ゴーイングとしては、バンドの看板を背負って受けて立つみたいなところもありますよね。
松本:ええ。でも、お仕事っぽくせずに楽しくできたから、結果良いものになったと思いますよ。
──今回のようなコラボレーションは初めてですか。
松本:バンドとしては初めてなので、俺たちも初コラボになるんです。
中澤:曲だけ書いたりとかは今までもありましたけどね。
──ゴーイングの皆さんにとっては新たなトライアルが増した感じですね。
松本:キーボードが抜けてから、改めて頑張ろうって仕切り直した感じがありましたからね。
──とは言え、『メロンティー』にはガッツリとキーボードが入っていますけど。
松本:俺たちのサポートをやってくれている大久保 敬さんという、凄く好きなキーボーディストの方なんです。大久保さんもノリノリでやってくれて、一番やりたい感じが今回は出たんじゃないかなと思いますね。
──コレクターズの向こうを張って、泣きのバラッドで行こうという発想はなかったですか。
松本:コレクターズに泣きのバラッドをやられたら敵わないですよ。20年の差がありますから。あと、怒られちゃうからね、「なんで被せてきたんだ!?」って。
──言いそうですね(笑)。
中澤:気にしいだからね、その辺は。
──コレクターズは絶対に皆さんの曲を気にしているでしょうね。
石原:してるよね。
松本:だってこの前も、加藤(ひさし)さんに会うなり「とりあえず聴かせろ!」って言われて、下北沢ガーデンの楽屋で聴かせたんですよ。コータローさんも一緒にいて、「いいんじゃないの?」って言ってましたけど。
──悔しい感じのリアクションだったんですか?
松本:どうなんですかね。誌面上は、悔しがっていたってことにしておいてもらっていいですか?(笑)
石原:レコーディングの時は、ビークルの皆さんが聴いてましたし。
──ヒダカさんも気にしいですよね。
松本:ヒダカさんも「なるほど!」って言いながらやられた感みたいなので帰って行ったので、それで良かったのかな。
──これまでのコラボレーション・バンドとも人脈が交差していて面白いですね。
松本:バンドマンって人脈で楽しいことをしようって考えるから、そういうところもロック化でちょうどいいんじゃないですか。それで面白いことをしようよって、先輩から話をもらったりして。
