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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】メロン記念日(2009年12月号)- 本誌創刊33周年&誌面刷新記念イヴェント"ROOFTOP PROOF 09"にメロン参戦! バックナンバーを振り返りながら幾重もの変遷を重ねてきた33年間の軌跡を辿る!

本誌創刊33周年&誌面刷新記念イヴェント“ROOFTOP PROOF 09”にメロン参戦!バックナンバーを振り返りながら幾重もの変遷を重ねてきた33年間の軌跡を辿る!

2009.12.01

メロディとハーモニーが美しい『メロンティー』

──ところで、先日ゴーイング・アンダー・グラウンドさんとのレコーディングも無事終えたそうですが。

柴田:私はゴーイングさんの『Happy Birthday』という2006年くらいに出たシングルが好きなんです。当時のマネージャーさんが私の誕生日にそのCDをくださって、ずっとエンドレスで聴いてました。

斉藤:皆さん、凄く仲がいいんですよね。もともと同級生というのもあると思いますけど、無邪気な松本(素生)さんを周りがサポートしてる感じがあって、信頼し合っている絆だなと見ていて思いました。それぞれ役割がきちんとあって、それぞれ個性豊かで。自分たちとリンクさせちゃう部分が私はありましたね。

村田:松本さんがTシャツにジーパン姿でバンダナを腰に巻かれていたんですけど、レコーディング中に立川談志さんみたいになっていて、それが凄く癒されました(笑)。年齢はメロンよりちょっと上くらいなのに、レコーディングが始まると凄く大人だなと思いましたね。しっかり教えて下さるという点で。

大谷:皆さんコーラスができるじゃないですか。ロックにコーラスは要らないという人も多分いると思いますけど、ゴーイングさんの曲って切ないメロディやハーモニーが良かったりしますよね。その良さをメロンの新曲にも入れてもらって、凄く綺麗でした。男の人の声なのに、二声、三声と増えていくとこんなにも胸に響くものなのかって。本当に素敵な声でしたね。

──ゴーイングはコレクターズを慕って共演も多いし、松本さんの新プロジェクトであるSxOxUをビークルのヒダカさんがプロデュースしていたり、いろいろとリンクしてくるんですよね。

斉藤:そうなんですよ。松本さんは(古市)コータローさんのことを心の師匠だと言ってましたしね。

──そんなゴーイングとのコラボレート楽曲『メロンティー』ですが、またすこぶるいい出来ですね。

柴田:私たちも凄く気に入ってます。

──まず、タイトルが『レモンティー』という不滅のロック・クラシックを彷彿とさせるのがツボですね(笑)。唄われているのは秘密のデートで逢瀬を重ねる可愛らしい恋物語ですけど。

村田:「京葉線」や「ららぽーと」が歌詞に出てきますしね。

──従来のみなさんのレパートリーにありそうなテイストも若干ありますよね?

大谷:最初のアレンジはもっとアイドルっぽいポップさがあったんですけど、そこから劇的に変化して、あんなスピーディーな感じになったんですよ。今までならもっとかわいい寄りになっていたのが、今回は音が全然違いますからね。

──ロックっぽさとポップさが程良くブレンドされていますよね。ゴーイング側から「こんな感じで唄って欲しい」というリクエストはありましたか。

斉藤:個性を出して欲しいと言われました。上手く唄おうとするよりも、「この子がこう来たら私はこう行く!」くらいの、それぞれの声質やニュアンスをはっきり出してくれたほうが嬉しいって。

柴田:あと、セクシー(斉藤)、ボーイッシュ(大谷)、ナチュラル(柴田)、メルヘン(村田)というメロンのそれぞれの担当ごとに松本さんが歌詞を割り振って下さったんです。「じゃあ“SPを募って”の辺りはボーイッシュ!」みたいな感じで。名前ではなく担当で呼ばれたりして、それも面白かったです。

村田:担当を意識して唄うとメルヘンは難しくて、ロックに行きたいんだけれども個性も大事だし、レコーディングの時は細かいところを松本さんに教えて頂きました。

──ロック化計画がひとまず一段落して、今の率直な感想をお伺いしたいんですけど。

斉藤:充実してたなっていうのをもの凄く感じられる日々でしたね。お恥ずかしながら、アーティスト活動とはこういうものなんだというのをちゃんと経験させてもらえたと言うか。それまでは曲作りやオケ録りの現場を体験したことが全くなかったので、その瞬間に立ち会えることが幸せでもありました。一緒に曲を作っている、参加できているという実感をちゃんと味わえて。

柴田:約10年間くらいずっとハロー!プロジェクトにいて、知らず知らずのうちにハロー!プロジェクトの唄い方じゃないですけど、そういうものが染みついていたんだなって5作品やらせて頂いて思いましたね。ビークルさんはビークルさんの楽曲だし、ミドリさんは唄い方だったり表現の仕方が違うじゃないですか。今回はそのバンドさんたちの色に染めてもらったんですけど、レコーディングの時に自分の唄ってきた唄い方が如何に染み込んでいるのかが判ったし、それは今回凄く勉強になりましたね。幅が広がったと思うし、いろんな唄い方ができるようになれたと思うので、歌を唄う仕事をしている強みになったかなと思いました。

──違う自分のスイッチを押された感覚と言うか。

柴田:はい。唄い方も表現の仕方も。

大変さよりも楽しさが勝るロック化計画

村田:今までの曲だとダンスが付いてきたりして、フォーメーションとかは時々ありますけど、ほぼフリーの状態で表現することがロック化計画は多かったんですよ。ロフトさんとか老舗のライヴハウスにも出させて頂いて、自分たちがフリーでどこまでできるかというのがこの1年でだいぶ鍛えられたかなと思います。

──『ピンバカ』ではほっかむりも辞さない鍛えられっぷりも披露されていますし(笑)。

村田:あれも表現のひとつです(笑)。ここからまた変わっていくかもしれないですけど。あと、ミドリさんの曲とかは個々の想像を膨らませての表現で、初めてお客さんを全く見ないで唄うっていう自分の殻の中に入った表現が凄く新鮮でした。

大谷:シングル5作品を1年掛けて作ると言うよりも、全部新曲のアルバムを作っている感覚がありましたね。アーティストさんが2年振りにオリジナル・アルバムを作りましたとか聞くと、そりゃ時間が掛かるわというのがよく判りましたね。今回は歌を入れるという形ではありましたけど、曲を作る作業を間近で見させて頂いて、そっち側もやりたくなりました。欲がどんどん出てきちゃうので、自分たちで全部作るとどうなるんだろう? とか思ったし、5作品頂いても曲調が被ることが全くないから音楽は無限だなって感じましたね。

──ラウンジでのコラボ・バンドとの共演も新鮮でしたよね。イーストでビークルと共演した時は、長い道程を経てロック化計画が始動した感慨と相俟って思わず涙腺が緩みましたから(笑)。アストロホールでのコレクターズの共演では貫禄すら感じられて、本当に素晴らしかったですよ。

斉藤:あれは衣装を含めて加藤(ひさし)さんのプロデュースが素晴らしくて、私たちを引き立たせて下さったんですよ。

──いきなり『恋はヒートウェーヴ』を覚えることになって、大変じゃなかったですか?

大谷:いや、凄く楽しかったですよ。いい曲ですし。

斉藤:キャッチーな曲だったので覚えやすかったですね。何でもそうなんですけど、このロック化計画は特に大変さよりも楽しさのほうが強かった気がします。生の演奏で唄えるのも楽しかったですし。協力して下さる方々にも恵まれて、私たちをかわいがってくれたし、凄く居心地が良かったです。なので、どれだけ大変さがあっても楽しさが勝っちゃうんですよね。

──ビークルは激情のエモーショナル系、ロティカはシンプルでパンチのあるバカ騒ぎ系、ミドリは前衛的なフリーキー・スタイル系、コレクターズは哀愁のバラード系、ゴーイングはポップでキャッチー系と、5作品のバランスも非常に良かったですね。

斉藤:そうなんですよ。どれも個性が際立った曲ばかりで。

──このまま来年もコラボレートを続けていって欲しいくらいですよ。

斉藤:次は別ジャンルとかで?

──ヒップホップとかどうですか。

村田:ラップは厳しいかもですね、特に私が(笑)。

──来年の2月19日にはデビュー10周年を迎えるわけですが、今年はその節目を目前として良いステップ・アップに繋げた1年になったと言えませんか。

斉藤:なりましたね。本当にいい経験をさせてもらったと思います。

──残る課題は、マラソンを走り切れるかどうかだけですね(笑)。

大谷:これだけマラソンが絡んでくるというのも、きっと何かあるんでしょうね。他にもいっぱいアーティストがいらっしゃるのに、私たちが4回も呼ばれるなんて(笑)。これだけ私が走らないのによく呼んで下さるなと。

──今年の2月に香港マラソンを走破した後の大谷さんは、マラソンに対して前向きだった記憶があるんですけど。

大谷:人間、時間が経つと冷めるものなんですよね(笑)。

斉藤:まぁ、ハッキリしていらっしゃる(笑)。

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