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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】detroit7(2008年1月号)- 紅く燃え滾る"地球から3番目の星"の如く──

紅く燃え滾る“地球から3番目の星”の如く──

2008.01.01

燦々と照りつける太陽のように

──今回発表される『Third Star From The Earth』ですが、タイトルの意味するところは?

菜花: 地球から3番目の星、つまり太陽のことなんです。普通の数え方とは逆にして。

──ああ、惑星は太陽に近いほうから水星、金星、地球という順番ですからね。地球を軸にすると火星、木星、土星と来るから、“Third Star”とは土星のことかなと僕は思ったんですよね。土星=Saturn、サタン=悪魔だから、新しいアーティスト写真は悪魔のシルエットなのかなと(笑)。

古田島: おお、なるほど!(笑)

菜花: それもありましたね(笑)。ただ、土星だと“Star”じゃなくて“Stone”になるはずなんですよね。歌詞における私のお題ワードというのがありまして、よく使っているのが“太陽”“空”“星”“涙”“愛”といった言葉なんです。これらはすべて日常における希望や光を象徴しているし、ということは、自分は光り輝くものをテーマにして唄っているんだなと思って。それで燦然と輝く太陽をタイトルにしようと考えたんですよ。

──「Cry for the moon」という曲も収録されていますが、“月”もまた光り輝くものですよね。

菜花: “月”もよく使う言葉なんですけど、どちらかと言えばもの悲しくて切ないイメージがあるんですよね。それよりも今回は安らげる感じとか、ギラギラしている太陽のイメージで行きたいと思ったんです。愁いのある夕陽よりも、燦々と照りつける真昼の太陽と言うか。

──ジャケットは、その照りつける太陽の下で菜花さんが拳を突き付けていて、凄くパンチがありますよね。

山口: 最初は“サンデー・パンチ”という言葉もタイトルの候補にあったんですよ。ボクシング用語で“切り札となるパンチ”“渾身の一撃”という意味で、太陽をバックに拳を突き出したイメージが私の中にあって、ジャケット案だけ採用されたんです。さすがにタイトルは却下されたんですけど(笑)。

──そう考えると、サイズがミニとは言え、れっきとしたコンセプチュアルなアルバムと言えるんじゃないですか?

菜花: まぁ、唄うテーマは一貫して変わらないものなんですよね。以前は“光の差すところへ行きたいな”という漠然とした感じだったのが、今は“光の差すところへ行こうよ!”という明確な意識があるから、少しは変わったと思いますけど。なんせ12年に一度の大幸運期だから、何事もポジティヴに行かないと(笑)。

──せっかくの機会なので、1曲ずつ収録曲について伺います。先ほどから話にある通り、「IN THE SUNSHINE」は本作を象徴するダンサブルなナンバーですね。

古田島: 録る前にライヴでも演奏していたし、それが功を奏した感はありますね。

菜花: 今回のアルバムの中では一番初めにできた曲なんです。この曲を土台にして曲をどんどん作っていったんですよ。頭のリフがまずあって、そこからジャムって形にした感じです。録りも一発で。

──普段からジャムを経て曲が完成することが多いんですか。

山口: そうですね。リフやリズムの断片から形作ることが多いです。そういうやり方だとスタジオ代はかさみますけどね(笑)。

菜花: スタジオで煮詰まってどうにも広がらないと、家に持ち帰って宿題にするんです(笑)。

──事前に曲をきっちり固めるよりも、スタジオの偶発性に身を委ねてみるという意図があるんでしょうか。

山口: バンドっぽさをずっと大事にしていますからね。1人1人の中から出たものでひとつの曲にしたいんですよ。

菜花: 自分独りで考えて作ったものには所詮限界があるし、大して面白くないと思うんですよね。この3人が揃ってバンドをやっているわけだから、3人分のアイディアで臨めば思いも寄らないものが生まれるはずだと信じているんです。

──2曲目の「microphone drives」は疾走感に溢れたナンバーですが、凄まじいドラムの乱れ打ちがとりわけ印象に残りますね。

菜花: うん、これはまずドラムがありきの曲でしたからね。美代ちゃんのタイコからジャムって作りました。

山口: 16ビートを意識した曲にしたかったんですよ。なんて言うのかな、このバンドはギターとベースがいつも分厚い壁となって私の目の前に立ちはだかっているんです。ギターはビャーッ!と鳴って、ベースはダーンッ!と行く、みたいな。

菜花: それ、もの凄く関西人っぽい表現だよね(笑)。

山口: 確かに(笑)。自分のパートまで分厚くなる必要はないと私は思っていて、ギターとベースの間を抜けていくようなドラムを叩きたいんですよ。それがこの「microphone drives」ではいいバランスで形にできたんじゃないかなと。

菜花: 本当は、歌詞の中にもある「electric dance」というタイトルにしたかったんですよ。外国人の友達に「“electric dance”って言葉ある?」と訊いたら、「ないよ」と。で、「どんなダンスなの?」と訊かれたから、痙攣したような踊りをしてみせたんですけど、全然伝わらなかったんです(笑)。だから多分、そういう表現はないんですよね。ただ、この間『ブラック・ジャック』を読み直していたら“エレクトロニック・ダンス”という表現が出てきて、これが私の中でずっと残っていたのかな? と思って。

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Third Star From The Earth

rudie&records RR-777
1,500yen (tax in)

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01. IN THE SUNSHINE
02. microphone drives
03. FATMAN BLUES
04. Cry for the moon
05. Watering!

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