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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】detroit7(2008年1月号)- 紅く燃え滾る"地球から3番目の星"の如く──

紅く燃え滾る“地球から3番目の星”の如く──

2008.01.01

轟音ファズと激情のリズムが織り成す怒濤のダンス・モードに突入! detroit7にとっての2007年は、自らの足元をじっくりと見つめ直す重要な1年だったように思う。このインタビュー中でも菜花知美が語っている通り、光の差すところへ向かうべく踵を磨り減らした時期だったのではないか。バンドとしての本懐を遂げる場所であるライヴでは1本1本の精度を上げることに腐心し、前作『GREAT Romantic』の制作過程で見いだしたダンス・チューンの得も言われぬ躍動感に魅せられた彼らは、ガレージ・ディスコとも言うべきバンド独自のダンス・ミュージックを確立するに至った。その湧き上がる創作への熱情は、『Third Star From The Earth』という疾風怒濤の勢いと迸る才気が充満した作品として結実。白いジャズマスターで掻き鳴らされる轟音ファズは鋭利さを増し、凄味と艶気を加速させた菜花の歌声は只事では到底済まされない情感を発露。そして、アルバム・タイトルにもなっている"地球から3番目の星"="太陽"のように悠然と紅く燃え盛る音像がとにかく素晴らしい。春先には初の海外ツアーも予定されており、彼らの世界基準の音楽が国境を越えて轟く日も近いかもしれない。鈍い暗闇の中で、自らの生を際限まで燃やし尽くす者にこそ輝かしい光は訪れるものだ。(interview:椎名宗之)

ガレージとダンスが融合した唯一無二のサウンド

──去年は皆さんにとってどんな1年でしたか。

菜花知美(vo, g): 私、射手座なんですけど、去年は12年に一度の大幸運期だったらしいんですよ。実際にはそんなに大きな波が来たわけじゃないんですけど、コツコツと努力していったと言うか、地固めをしていた時期でしたね。

古田島伸明(b): そういう話で言えば、僕は遂に30代に突入したんですよ。まだ余り実感はないですけど、この先の10年が楽しみだし、良いスタートを切れた年でしたね。どんな1年だったかは、31歳になった時に思い返してみようかなと。

山口美代子(ds): 私は去年、厄年だったんですよね。まず思い出すのは、知らない間に免許が半年前に切れていて、凄いびっくりして(笑)。まぁ、それはいいとして(笑)、その前の年まではライヴの本数をかなり入れていたんですよね。ライヴ・バンドなんだから当たり前ですけど。去年はそのペースを見つめ直すと言うか、もう少し狙いを定めたライヴをやるようにしたんです。4月にSHELTERでやったBLEACHの企画はとても刺激的だったし、9月にはO-WESTでGO!GO!7188と2マンができたし、SPARKS GO GOが倶知安町(北海道)でやったイヴェントに参加させてもらったりと、1本1本のライヴが凄く充実していましたね。地元のスキー場であれだけ大きなフェスを開けるんだから、SPARKS GO GOはホントに凄いなと思いましたよ。私達もデトロイトでロック・フェスを開催するのが大きな目標のひとつなので。

──なるほど。バンドにとっては、1本のライヴの精度を上げることに特化した1年だったと言えますね。

山口: そうですね。いつ何処でやってもライヴは刺激的なものではあるんですけど、去年はライヴに臨む前に“今日はこういう人達とやるんだ”とか、今まで以上に意識的になっていた気はしますね。そういうライヴの積み重ねが着々といい形になってきたんじゃないかと思います。

──そうした意識の変化は、一昨年の11月にメジャー1stアルバム『GREAT Romantic』をリリースしてから自分達の活動の在り方を改めて見つめ直したゆえなんでしょうか。

山口: どうなんでしょう? 今回のミニ・アルバム『Third Star From The Earth』は、内容としては『GREAT Romantic』と繋がっている部分が凄くあるんですけどね。

菜花: 『GREAT Romantic』に入っている「This Love Sucks」という曲が、この『Third Star From The Earth』の生まれるきっかけになっているんですよ。「This Love Sucks」は『GREAT Romantic』を作っていた時に一番最後にできた曲なんです。

山口: そう、「This Love Sucks」はメンフィスに行く直前にできたんですよ。ガレージとダンスが融合した曲と言うか、録ってみたら自分達でも楽しかったし、周りの評判も良かったんですよね。それ以降、そういうタイプの曲をもっとやりたいと思うようになって。

菜花: 「This Love Sucks」は、確か最初はもっと違う雰囲気にしようとしていたのかな? ダンスはダンスなんだけど、ギターはそんなに轟音じゃなかったんです。でも、「いつものナバちゃんみたいに弾けばいいじゃん」って言われて、ムチャムチャ弾いてできた曲なんですよ(笑)。

──いわゆる4つ打ちのディスコ・ビート曲というのは、バンドにとって新機軸でしたよね。

菜花: 4つ打ちって言うと、ミドルでポップな歌モノみたいな曲

──私達の曲で言えば「Beautiful Song」とかそういう曲が多かったから、「This Love Sucks」ができた時は凄く新鮮でしたね。私達なりの激しいダンス・チューンができたと思ったから。

山口: 自分達が一番得意としているガレージっぽい部分と4つ打ちがギュッと昇華した曲でしたからね。

古田島: 3人ともディスコ・ビートが元々好きな部分としてあって、それが極々自然な形で曲になったんです。

──ここ数年、ディスコ・ビートを全面に押し出すバンドが日本でも増えたと思うんですが、detroit7が同じことを試みても通り一遍のものには決してならないですよね。ミラー・ボールに喩えるなら、ギラギラと鈍い光を放ちながら超高速回転していると言うか(笑)。

古田島: ああ、確かに(笑)。ギラッとした感じはありますよね。

菜花:  ザラつき、ギラつきが充満したバンドですからね(笑)。

──『GREAT Romantic』と地続きの作品だからこそ、『Third Star From The Earth』はガレージ・ディスコと言うべきdetroit7流ダンス・チューン「IN THE SUNSHINE」から始まるわけですね。

菜花:  そうです。すべては『GREAT Romantic』から派生していて、そこから曲作りをしていったんですよ。ガレージとダンスが融合した曲をたくさん作っていって、徐々に精度を高めていった。

山口: 先にライヴでやっていた曲もあるんですよね。そこで得た手応えや周囲の反応を見て曲を練り直したりもしました。

──横ノリのグルーヴ感を出すのは、単純に難しくないですか?

山口: まだ横ノリまでは行けてないんですけど、私は洋楽の聴き始めが60~70年代のリズム&ブルースだったので、ダンス・チューンや16ビートのノリの良い音楽をやりたいとずっと思っていたんですよね。それに菜花ちゃんの持っている音楽的要素とどう近付いていくかみたいなところがやっと見つかったから、本望ですよ。

古田島: ベース・プレイに関してはそれほど大きな変化はないんですけど、僕が好きなダンス・ミュージックはケミカル・ブラザーズとか、もうちょっと新しめなんです。ああいう人達は機械を駆使している一方で、何処かバンドっぽい生々しさを求めているんですよね。自分がやる上では本物のバンドでできるわけだから、そのいいとこ取りと言うか、生々しさを追求したいと思っていますね。

──detroit7の場合、古田島さんと山口さんがどれだけ無機質なディスコ・ビートを叩き出そうが人力の温かみは必ず残るし、そこに菜花さんの歪みきったギターとドスの利いた歌声が絡み合えば、自ずとオリジナリティの塊になると思いますけどね。

菜花:  そう言ってもらえると嬉しいですね。

山口: そのオリジナリティこそがこのバンドの最大の強みですから。

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Third Star From The Earth

rudie&records RR-777
1,500yen (tax in)

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01. IN THE SUNSHINE
02. microphone drives
03. FATMAN BLUES
04. Cry for the moon
05. Watering!

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