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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】moools(2007年11月号)- 祝!モールス(moools)結成10周年! その独創的かつ徒然な魅力に迫る!

祝!モールス(moools)結成10周年!その独創的かつ徒然な魅力に迫る!

2007.11.01

「いかに自分が納得した音楽を作れるのか?」が大事

──若いバンドからは多大なリスペクトを受けていますよね。

酒井:「競演してください」ってイベントにもよく誘ってくれるのですが、モールスのどこを評価してくれているのかは理解できないですね(笑)。

──モールスの魅力って自身ではどんな所だと思いますか?

酒井:ん~、正直なんとも言えないです。100人中100人が好きになってくれるとは思わないですし、好きになってくれる人が少なからずいるってことは何かしらの魅力があると思いますが。

── その魅力を自分で理解したいとは思いますか?

有泉:皆には理解して欲しいとは思いますが、自分で理解しようとは思わないです。だから観にきてくれる方々に「モールスのドコがいいの?」とは聞かないですね。

──仮に恋愛に例えるなら、「私のドコが好きなの~?」って聞くことで自己確認をして安心することもあると思うのですが...。

酒井:でも言葉で説明するのが不得意な人もいるだろうし、ライブを観にきてくれる人でも、感想を言わずにサッと帰ってしまう人もいるし…それぞれだと思いますよ。たまに頼んでもないのに「モールスの何が素晴らしいか」をガンガン一方的に語ってくる方も稀にいますが(笑)。

──そういう「モールスの何が素晴らしいか」を一生懸命に説明してくれる方をどう思いますか?

酒井:ありがたいと思うのでしっかり聞いています(笑)。

──ははは。それでは「モールスはこうであらねばならない」みたいな目標はあったりしますか?

酒井:俗に言うステップアップ的なことはあまり考えてはなかったですね。

──例えばメジャーデビューやCDリリース、ライブの動員、会場の大きさなどを目標とするならば、ある程度バンドの達成度や充実度は計れるとは思うんです。そういう数字的に見えやすい結果を意識したりしますか?

有泉:まったく意識をしていないと言えば嘘なんですが、それよりも「いかに自分が納得した音楽を作れるのか?」が大事なんでしょうね。

──なるほど。モールスはその感覚のままコンスタントに活動できているので希有な存在だと思います。

酒井:ただただ10年続けているっていうバンドは多いとは思うのですが、バンドの自由度が高い状態で1年に1枚ぐらいのペースで何かしらの音源をリリース出来たりするので、環境は本当に恵まれているとは感じますね。

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今回のアメリカツアーはまさに10年の集大成

──10周年記念企画としてファースト『光ファイバー』、セカンド『マジック200』がカップリングで再リリースとなりますね。

酒井:はい。何年も前から廃盤になっていて手に入らない状態だったんです。「どこで手に入るのですか?」っていう問い合わせも多くて、今回10周年ということで再リリースするのが良いタイミングなんでははないかと...。

──リマスタリング&未発表音源も収録ということで、改めて最初期の音源を聴いてみてどうでしたか?

酒井:恥ずかしかったです(笑)。でも1曲1曲聴くたびに、レコーディングした場所だとか、どういう気持ちで作ったかを思い出して考え深かったですね。ファースト・アルバムをリリースした時のドキドキしたりモヤモヤしたりした気持ちや風景が甦ってきました。

──僕もモールスとは長い付き合いになりますが、「ついに出来上がったんだよっ!」ってファースト・アルバムを四谷フォーバレーで手渡されたあの場面は思い出せます(笑)。当時は今と違ってデモ音源なんかはカセットテープだったから、流通するCDをリリースすることには重みがあったんですよね。

酒井:はい。だから必死で作っていたことを思い出しました。

──そしてモールスは当時からUSインディバンドとの交流が多かったですよね?

酒井:そうですね。ファーストのレコ発もザ・クラブス(USアナコーテス出身のインディバンド)のジャパン・ツアーに同行という形でしたし。

──そういえば最近までアメリカツアーに行ってましたよね?

有泉:はい。体力的にはかなりしんどかったです。正直、しばらくツアーには行きたくないです(笑)。2週間以上連続ライブでオフの日が1日もないので気が休まる日がなかったんですね。

酒井:例えば日本でのツアーであれば基本的にリハーサルがあるし、仮に初めて出演するライブハウスだとしてもなんとなくのイメージが出来るんですけどね。アメリカの場合はバンが着いて、すぐセッティング、すぐライブって感じなんですよね。そんでもって会場は普通の人が住む家みたいなところもあるし、はたまたデカイ会場もあったりしてかなり揺さぶられることが多かったんです。それでライブが終わったらすぐ機材を片付けて移動みたいな…。

──でもその経験でバンドが強くなったりしますよね?

酒井:そうですね。まさに修行みたいな感じで。スリル満点でした(笑)。

有泉:テンションをキープしたり、短時間で気持ちを上げなくてはいけなかったリとかは勉強になりましたね。

酒井:機材に関しても普通にボロボロだったりするので、それでも対応できる曲順にセットリストを変更したりだとか...。

──なるほど。そんな過酷なツアーを終えて、ライブに対して意識が変わったことなどはありましたか?

酒井:体調管理だとかフィジカルな部分が大切だと思いました。でも演奏が始まってしまえば、アメリカの観客の方がわかりやすい反応を示してくれるんで、やりがいは非常にありましたね。

──モールスにとってアメリカ・ツアーやUSインディ・バンドはどういった存在なのでしょうか?

酒井:何の因果かRBF(レベル・ビート・ファクトリー …『光ファイバー』『マジック200』発売当時のリリースレーベル)やK(キャルヴィン・ジョンソン主宰のUSオリンピア産インディレーベル)との付き合いから、USインディ・バンドの来日ツアー・サポートをするようになって、その後自分自身のバンドでアメリカにツアーに行くようになるなんて何か因縁めいたものがあるのかなぁとは感じますね。モールスとして活動していた10年間でアメリカ各地にバンド友達のネットワークが出来たんで、今回のアメリカツアーはまさに10年の集大成と言ってもいいのではないかと思います。

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