ライブを見て、わけもわからず涙が出た
スタッフ:センチラインとのレコーディングはどうでした?
奥野:もっとこうしてほしいていうこだわりを持ってるのは最近の若い子に多いのかな。それが面白いと思った。まあ俺が素晴らしいプレイをしすぎたから、そんなに注文もなかったかな(笑)。
枝松:おっしゃるとおりでございます(笑)。1箇所ぐらい訂正させていただいたぐらいです。ここまでで音を切って、一瞬だけドラム・ソロになってまた次に入るというところだったんですけど。
奥野:そのどうでもいいようなところなんだけど(笑)。
枝松:(笑)そこで3テイクぐらい奥野さんがのばしちゃうから…。
奥野:(笑)ほんまに3分間の集中力がないのよ。2分ちょいぐらいから違うこと考え始めちゃってる。俺も初めて出会って、河口湖までレコーディングに行かされたりしたけど面白かった。メロディーもすごいいいよね。胸キュンメロディーというか切ない系が大好きなので、もっとこの色を濃くしていってほしい。どっちかと言うと歌のメロディー中心でやってほしいなって思った。その方がセンチラインの色が出てくるんじゃないかな。
枝松:今後やっていく楽曲の中で、ギター以外にキーボードとかピアノとかオルガンの音が俺の中で絶対に入ってきてて、今必要不可欠なんですよ。全然弾けないですけど最近キーボードを買って、必要な部分だけ練習して録ってっていうやり方をしています。
奥野:こないだレコーディングしたバンドも、「このフレーズで弾いて欲しいんですよ」というのが打ち込みで、打ち込んでるからいいけど、めちゃめちゃ難しいのばっかり(笑)。
枝松:打ち込んでやってもうまくなれへんって自分でも思っていて、うまくなるにはちゃんと弾かなあかんのやってやってますけど。
奥野:キーボードうまくならなくていいよ。俺が弾くから。
枝松:ありがとうございます!お願いします!あと、できたらツアーも一緒に回りたいです。回りたいっておこがましいですけど。
奥野:でも、センチラインはシワもないし、みんな清潔だから(笑)。俺、バンドに入ってツアーするってあまりないんよ。途中でクビになるかもしれんな(笑)。
枝松:メンバーの誰かが「ついてかれへん」って辞めちゃうかもしれないですけど(笑)。ところでソウル・フラワー・ユニオンのライブに行かせて頂いたんですが、本当に良かったんです。ライブで泣いたことがないんですけど、初めて泣いてしまった。感動して泣いたというよりは…。
奥野:あわれで(笑)?
枝松:(笑)いやいや。ステージで演奏していて、お客さんが楽しそうに盛り上がっていて、“わけもわからず涙が出た”ってよく聞きますけど、そんなことないやろってずっと思っていたんです。でも、その言葉の意味ってどういう状態かわからないけど、とにかく感動して泣いたっていうことなんやなって初めて気づいて。なぜこんなに感動したのかがわからないですけど、幸福の涙が出ましたね。
奥野:音楽だと思いますよ。俺もそういうの何回かあったし。
枝松:すごく良かったっていうだけじゃ言い表せない。体で反応が出たって言うのが、自分の中で大きな事だったんです。
奥野:昔ミッシェル・ガン・エレファントを見に行った時に、泣くような曲じゃないのにお客さんの感じと音の感じがすごく嬉しくて涙が出てきたな。
枝松:あれは素晴らしい瞬間ですよね。
奥野:でも、もっと良かったライブって過去にあって、それはどんどん美化されてくから、あのライブは越えられへんなっていうのはあるけど、結局は越えてたりすると思うねんけど。
枝松:ソウル・フラワー・ユニオンのライブ・アルバムを聴くと、あのライブが蘇ってきて「ライブ行きたいな」って思う。
奥野:ファン獲得!(笑)この前フジ(・ロック・フェスティバル)でやったけど、何万人の人が自分と同じフリをしてるって感動する。ちいちゃいときから、いろんな日本のアーティストのフリ見たけど、今まで意味もなく好き嫌い思っていたいろんなことが、実は素敵なことやったんだなって思うようになってきた。そこにいる人が楽しければいいと思うんだけどね。あと、中学の時にクラッシュを見てかっこいいって思ったこととか、音楽やってる人ってかっこよくないとあかんと思う。かっこわるいバンドって、音がなんぼよくてもマイナスでしか聴けない。だから、かっこよくなってください。期待してます。
枝松:はい。がんばります!!