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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】センチライン枝松直紀(Vocal/Guitar)× ソウル・フラワー・ユニオン奥野真哉(2007年9月号)- ほのぼの対談!

センチライン枝松直紀(Vocal/Guitar)× ソウル・フラワー・ユニオン奥野真哉 ほのぼの対談!

2007.09.01

バンドは信頼関係で成り立つもの

スタッフ:お互いオリジナルを始めたのは大学に入ってからなんですよね。

奥野:中退してるんやって? 俺は付属から行って中退した。理工学部とか行ってバンドやるって言うから親にとったらとんでもない。金返せって言われた。親は理解あったの?

枝松:自由にやれよーって最初は言ってたんですけど、やっぱりどうすんねんっていう話になって、最近は説得しました。でも元はと言えば、オヤジが俺にギターを与えたのが原因だと思うんですよ(笑)。オヤジもそこまではまると思ってなかったんでしょうね。ここまでやるとは思ってなかったっていうのがあるんじゃないかな。

奥野:でもオヤジさんにとっては見直した感じがあるんちゃう?

枝松:もっと見直してもらえるようにがんばらないとですけどね。

奥野:俺は親戚にベースをやってるやつがおって、デビュー決まって上京したんだけど、解散して戻ってきたりしてるの。その人を例に出されるのよね。「大学辞めて音楽やる」って言ったら、「○○ちゃんを見てみなさい! 大変やないの」って。何であんなやつおったんやろうってちょっと恨んだけど(笑)。

枝松:うちの家系にはそういう人がいないから、今すごく僕は異端児なんです。

奥野:注目度ナンバー1や(笑)。

枝松:(笑)よく見ればそうなんですけど。

奥野:音楽は就職してるわけやないからな。続けていくためにがんばっているのを見てもらうしかない。

枝松:いいもん作って元気にやれてますよ、っていうのを親に見せていれば安心できると思うんですけどね。

奥野:いいマスタリング(レコーディング)最終作業やなってわかる親やったらいいけど(笑)、そんなんじゃないやん。テレビ出てるとか雑誌載ってるとかそういう話やろ?

枝松:それがわかんないのに、ダメ出しはしてくるんですよ。「お前の楽曲には和の要素がない! 津軽三味線とか入れろ!」って(笑)。

奥野:それ趣味やんな(笑)。メンバーは大学の時に集まったの?

枝松:はい。とにかく俺がオリジナル・バンドを早く組みたくて、同じクラブの友達から気の合いそうなやつを集めた感じです。

奥野:仲はいい?

枝松:大学時代ほど遊んだりはしないですけど、悪くはないですね。

奥野:バンドは大勢でひとつのものを作るから、どこで妥協するかだと思うねんけど、妥協を妥協と思わない気の持ち方…自分のやりたいことを我慢するじゃなくて、他人のいいところを自分に取り込むって見方を変えないと、絶対崩れていくから。1人以外で作るというのはけっこう大変やね。

枝松:最近、今おっしゃったようなことがわかりかけているんです。昔とはメンバーに対する見方も変わってきているし、最初は俺がやるって感じだったけど、最近はいいところを取り入れていいものを作り上げていくって、昔できんかったことやなと思って思います。

奥野:お互い信頼でき合う関係っていうのがいいよね。

スタッフ:中川さんの奥野さんに対するステージ上の信頼関係は以前に増してすごいですよね。

奥野:人間的にすっごい合わないんやけど(笑)、お互いそういう部分は知ってるというか、40も過ぎたら性格をがらっと変えるのは無理じゃない。でも何で繋がってるかと言えば、お互いミュージシャンとして尊敬し合ってる。こいつに歌わせたらすごいとか、ミュージシャンとして付き合えているというのは、20年やって分かり合えた。いろんなことあったけどね。人間、いい意味で距離を置くことが長続きの秘訣やと思う。あんまり干渉し合うと離れてくと思う。ミュージシャンってみんな我が強いわけやん。それで人間として付き合って、いいもの作っていくというのは、関係も新しいものを作っていかないとダメだし。でも、同年代だったらやりやすいんちゃう?

枝松:同じように成長しているなっていうのはわかるから、差はあるにしろ同じ尺度で成長していけてるっていうのはわかりやすいかもしれない。

奥野:人それぞれどう感じるかわからへんけど、メンバー同士で喋らなくなるというのは避けた方がいいよ。お互い何を考えてるか理解し合っとくっというのは大事かな、今思えば。

スタッフ:奥野さんは自分のバンド以外にも、いろんなバンドで弾いてますしね。

奥野:バンドをやっていて良かったと思いますよ。レコーディングとか、どんな現場でも一時的にそこのメンバーになれる。時々全然違う現場とかあるけど(笑)。どう考えても俺のプレーを知らずに呼んでるやろっていうのがたまにありますね(笑)。「もうちょっとモーツアルトみたいに弾いてくれないかな」って。でも、ポリシーとしてスケジュールさえあえばどの仕事も断らないって思っているから。バンドをやってキーボードを始めてるし、スタジオ・ミュージシャンみたいな人もおるわけだけど、技術というのは誰でもやっていたらついてくるものやから、センスとかアイディアが一番大事なのかなって思いますよ。もうひとつは人間関係。人間関係を広げるのは、ツアー回っていろんな人と出会うわけで、どんどん知ってもらうこと。いろんな刺激を受けると思うし。出会って知っていけば知っていくほど面白いからね。

枝松:興味がなかったわけじゃないけど、ふさいでいた時期があったんです。でも、今は人に興味があるというか、人間っておもしろいなって思えるようになった。人の体の中にすさまじい量の歴史が詰まっていて、そういうのを考えると人間ってすごいなって。ジョン・レノン・ミュージアムにも行って、ジョンは素晴らしいって改めて感じましたね。

奥野:ジョン・レノンとかボブ・ディランとか友達だったら絶対やなやつだと思う。音楽を聴いて発言を読んだり映像見てる分にはすごいと思うけど、絶対友達にはなりたくない人だと思う。だいたい人間はうまいことなってないと思うよ(笑)。

枝松:それ言われてちょっと納得できた部分がある(笑)。

奥野:持論やけどボーカリストはやなやつでいいと思う。自分自身を一番出す職業だと思うから、他人にどう思われようが関係ないぐらいのパワーがないと魅力が出ていかないと思うし、悪い人になれとは言わないけど、ちょっと癖がある方が面白い。

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