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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】Good Dog Happy Men(2007年9月号)-様々な角度からのラブソングを綴った三部作の第二章、 『the GOLDENBELLCITY ep2』

様々な角度からのラブソングを綴った三部作の第二章、 『the GOLDENBELLCITY ep2』

2007.09.01

“間”に魅了される感覚

──ところで、10月12日には新宿ロフトでワンマンがありますが、これは『the GOLDENBELLCITY ep1』、『the GOLDENBELLCITY ep2』の収録曲をメインにやられる感じですか?

門田:ep1、ep2をやることによってGood Dog Happy Menで表現していることはないんだなということをはっきり表現させたい。俺たちは世の中の混沌を鏡として表現しているから、『Most beautiful in the world』だけではそれが伝わらないんです。ep1、ep2を並べた時に何も考えてないんだなとか、プロモーション的なことを気にしてこうしているわけではないということを感じてもらえたら嬉しいですね。

──表現者の表現者たるべき姿ですよね。こんなに彩り豊かに行間を歌えてるバンドってなかなかいないですから、ライブは五感をフル回転させないともったいないですよね。

門田:行間が教えてくれる大切さを表現したいですね。ライブではすごく出しやすいですから。“間”に魅了される感覚っていうのを音楽で魅せたいですね。

──CDで想像させる楽曲の世界があって、ライブでは聴覚も視覚も楽しませてくれるんですけど、演奏している側はどんなことを考えてステージに立ってるんですか?

門田:ライブはいつも自信がないです。いつも自分が正しいことをやっているという感覚を持てなくて、いつも揺らいでるんです。その揺らぎっていうのを共有しようで誤魔化さないんです。ブライアン・セッツァーのライブを見るのとCDで聴くのは全然違って、存在の巨像が大きくなれば大きくなるだけギャップがあるんです。エルヴィス・プレスリーは俺にとってロマンチックな存在だけど、ライブ映像を見てるとそうじゃないんです。自分が一人で音楽を聴いている瞬間と、会場で感じる誤差を自分でもすごく感じているんです。そこに関して、ライブならではのことをしたくないって思っているんです。俺は物事を共有しようぜって生きてきたわけじゃないから、ライブでそれをやるのは難しいんですよ。だけど共有したくなってしまうときがあるんです。それは誠実でいたいと思いますね。ライブは単純に楽しもうって思っていて、そこの部分が感動になってくれればそれだけでいいな。感動の持ち方が100通りあるだけで、それぞれ感動はできるから、俺たちの場合は揺らいでもがいている自分をポーズとして出すのではなくて、どっかで出ていたらそれはそれでいいなって。

──そういう部分は自ずと滲み出ますからね。

門田:ライブって難しいですよ。曲を作ってるときとパフォーマンスをしてる時って同じ感覚では出来ないですもん。俺は曲を作ってるときに世の中に俺しかいないって状況じゃないと作れないです。電話も違う部屋に置いて絶音状態にして、それってすごく反対の方向にありますからね。

──曲作りの最中にライブが入るとしんどいですよね。

門田:しんどいですね…(苦笑)。

──今はもう『the GOLDENBELLCITY』第三章の曲作りにも入っているんですか?

門田:はい。でも、手が震えちゃって詞が書けなくなるんです。出てきたと思ったことがはっきりと自分の中にあるのに、それが書けなくてどうしたらいいんだろうって。家で歌の練習をしていても、ある一点でどうしても歌えなくなっちゃって、それがレコーディングで歌えるのかっていうのがすごく心配。声が震えて歌えなくなっちゃうんです。そんなことは初めてだから。

──のっかるべき言葉が、その言葉じゃないんですかね。

門田:“結”の部分にさしかかっちゃうんじゃないかっていう恐怖感。俺って言う存在に“結”をつけてしまうんじゃないかっていう恐怖感があって、それ以後生きていけるんだろうかという恐怖感と毎日戦っています。だけど、創作・表現ってギリギリのところまで言ったらすごく気持ちよくて、この中毒になってしまったら俺はバンドをやれなくなっちゃう。自分の精神状態ギリギリのところでやりたくないですね(苦笑)。その感覚になってダメになる人っていっぱいいると思うんです。だから、自分は曲を作っているっていうモードに入らないほうが良いのかもしれないですね。パフォーマーの部分って1人で制作活動をしているとどうしても忘れてしまいますからね。でも、次のCDの曲はアイディアがいっぱい浮かんできているんですよ。第三章も楽しみにしていて下さい。

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