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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】a flood of circle(2007年7月号)- 巡り往く輪廻の潮、夜を焦がす蒼きブルーズ。

巡り往く輪廻の潮、夜を焦がす蒼きブルーズ。

2007.07.01

ブルースを意識しすぎたらつまらなくなる

──こうして話を伺っていると、ブルースという枠に括られることに抵抗があるようですね。

佐々木:余りそっちばっかりを狙っていると思われるのもイヤなんですよ。スピッツやミスチルも普通に好きだし。

──では敢えて伺いますが、みなさんにとってブルースとは何ですか?

佐々木:引き抜いてはいけないものかな。ただし、ブルースを意識しすぎたらつまらなくなる。ブルースをやろうと思って曲を作ることはないですけどね。比較的恵まれた環境で日々生活している僕達に、黒人が魂を磨り減らして体現するブルースを奏でられるはずもないですから。でも、ブルースマンが自分の身を立てるためにその当時売れていたポップスをカヴァーしたりするのはいい話だと個人的には思うんですよね。

渡邊:辛いからこそブルースを奏でて楽しもうとしたと言うか、自分の心を解放させたという側面もあるわけじゃないですか。その楽しもうとした部分というのが僕達の感覚に似ているのかもしれない。

佐々木:逆に、歌詞はちょっと悲観的なところがないようにしていきたいと思ってるんですよ。今のところは。

──まぁ、ライヴを観れば一目瞭然ですけど、決してブルースに寄り掛かっているわけではないですからね。

岡庭:ロックとかジャズとかいろんな音楽を聴くけど、ブルースに通じるものを日々感じることが多い。それが何となく曲に表れているんじゃないかな。

佐々木:そうだね。ブルースのすべてを信頼しているかと言ったら、そうでもないですから。

──こうしてアルバムを録り終えてから臨んだライヴは、意識的な部分で変わってきましたか?

渡邊:レコーディングを経て、みんなの曲に対する考えがシンクロするようになりましたね。

佐々木:うん、共通意識が増えた気がする。

──以前は各パートごとで好き勝手にやっていた感じ?

佐々木:曲の焦点が漠然としていたのを再認識しましたね。前は前で具体的になっていると思っていたけど、いざやってみると…そこまでシンクロしていなかった。

──でも今は、フォーカスが絞れたと。

岡庭:新しい曲が出来ても、同じベクトルで進むやり方が判ったんです。成長できたなと思いますよ。

渡邊:話し合いをよくするようになったしね。

佐々木:スタジオでは俺と岡庭、リズム隊の2人が個別に話し合っている時間が結構あるんです。

石井:話し合って意識を保つと言うか。特にリズム隊はどう乗らせようかっていう曲の乗り方について細かく話し合っていますね。

渡邊:2人で意識しないと全然違う方向に行っちゃうから、その確認をするんです。

──今後の目標は何かありますか?

佐々木:大きいステージに立つことよりも、今は決定的な名曲を作りたいですね。

岡庭:バンドとしては、いつか武道館でライヴをやりたいですけど(笑)。

佐々木:それはシェルターの西村さん(店長の西村仁志)との約束なんです。「武道館でライヴをやった次の日にシェルターを空けておくから、武道館でいつもみたいに告知してくれ」って言われてるんです。

──そう、a flood of circleはシェルターのオーディション出身なんですよね。

岡庭:以前から大好きなライヴハウスだったし、このメンバーで一番最初にやったライヴもシェルターだったんです。

──店長からのライヴに対するアドバイスは?

佐々木:凄く簡潔ですね。「良くなった」とか「今日は良くない」とか(笑)。

──店長いわく、「最初にオーディションでa flood of circleを観た時から“ピン”と来た」そうですが。

佐々木:でも、最初はリアクションが全然なくて、絶対ダメだと思ったんですよ。次の週に電話したら「次もよろしくお願いします」って言ってくれて。

渡邊:オーディションの後、週末の昼間のライヴに出た時に「気に入ってます」って言われたんですよ。「久々に◎です」って宣言してもらって。

岡庭:それ以降、去年の8月くらいからシェルターには毎月出させてもらってます。

佐々木:1年掛かって、8月にはレコ発をやれることになったんですよ。a flood of circleの名前をタイトルにしたイヴェントは初めてなんです。

──シェルターで自主企画を始めたらいいじゃないですか。

佐々木:いやぁ…友達がいないんですよね(笑)。やるとしたらワンマンしかないんですけど、まだそれだけの度量も曲もないですから。ライヴも今は1時間が限界じゃないかな。

──ツェッペリンやクリームみたいに延々インプロヴィゼーションするとか(笑)。

佐々木:うーん…インプロを楽しめるバンドじゃないですからね。岡庭のギター・ソロだけになるのもシャクだし(笑)。個人的にジャムというものに興味を感じないんです。それよりもっと曲を凝縮して聴かせたい。自分達の曲に関しては絶対的な自信を持っているし、リアルタイムでこんなバンドはいないと言い切れる。だからa flood of circleを聴いておけば間違いないぞ、と言っておきたいですね。

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