下北沢へ出かけよう/下北沢へ出かけない
──それじゃ、フラカンはDVDと同時発売で「下北沢へ出かけよう/下北沢へ出かけない」というシングルを発売するということで、せっかくなんでちょっと下北の話もしたんですが、アツシさんは下北に来たりする事ってありますか。
アツシ:ここ五、六年かな、顔を上げて歩けるようになったのは(笑)。俺はやっぱり新宿系だからさ。下北はどうしてもおしゃれって思っちゃうんだよね。レピッシュとかブルーハーツとかジュンスカとかが飲んでるイメージだよ。
圭介:ロティカから見ると、レピッシュとかブルーハーツはおしゃれ系なんですか?
アツシ:そうだよー。だって飲み会やるなら新宿でしょ。なんで下北なのって感じだもん。そういうイメージ。新宿からなら自転車で帰れるけど、下北からだとタクシーで帰らなきゃとか色々考えちゃうもんね。ようやくここ何年かは下北のレコード会社からリリースしたりして、下北の飲み屋にも慣れてきましたけどね。
──圭介さんは下北との関係性が強いっていう感じですよね。
圭介:東京に出てきて初めてワーッて火が点いたのが下北だったんですよね。名古屋から東京にツアーに来たいと思って、でもテープ送っても聴いてもらえないと思って、車で渡しに来て、色んなところを廻ったんですけど結構冷たくあしらわれたんですよね。で、聴いてもらえたのが吉祥寺の曼荼羅と、四谷のフォーバレーと、下北沢のシェルターだったんですよ。シェルターって敷居が高いなって思ってたんで敬遠してたんだけど、行ってみたらその場で聴いてくれて。当時の畠山さんっていう店長さんがすぐにブッキングしてくれたんですよ。当時、下北のライブハウスが増えてきた時期だったんで、下北のライブハウスにはほとんど出ましたね。やっぱり居心地が良かったんですよね。
アツシ:密集してるもんね、ライブハウスが。行けば誰かしらいるっていうのがおしゃれなんだよな。
圭介:色んなライブハウスがあるから出会うこともあるんですよね。「今日ライブだったんだ」とか。
アツシ:それがすごいよね、下北は。新宿だと柴山さんに会って、G.D.FLICKERSに会って、アナーキーに会ってくらいしかないからね(笑)。
圭介:昔のロフトでは今言った人たちがいつも飲んでるっていうイメージですよね。
──やっぱり文化が生まれて来る場所って、そういうゴチャゴチャしてて人が集まってくる場所じゃないですか。新宿だとロフトだったりゴールデン街だったり、下北は街全体がそういう感じですよね。
圭介:そうですね、下北は普通に歩いてても誰かしら知り合いに会ったりしますからね。
アツシ:昔のロフトだと、あの辺にはロフトしかなかったからね。もうロフトに朝までいるしかないから。下北に住んでたら楽しいかもね。新宿のライブハウスも密集はしてるけどつながりないもんね。
──下北の再開発というのが今問題になってますけど、街がそういう風に変わって行くというのはどう思いますか。新宿でいうと、昔のロフトの立ち退き問題なんかもありましたが。
圭介:もしかして開発された後も面白い街になってるのかもしれないけど、とりあえず今のままが好きなんですよ。これくらいの下北が好きだから、変わっておかしなことになるのはイヤだなとは思いますね。
アツシ:俺は、昔のロフトがなくなるっていう時、反対はしたけど、どっちかというとしょうがないと思っちゃうタイプなんだよね。心の中にはまだ昔のロフトの思い出があるから大丈夫って思っちゃう。新しいロフトに移った時にも最初は、「新しい店員はわかってねえな」とか思ったけどね(笑)。でも、今はまた家族みたいに迎えてくれるんでありがたいしね。変わっていくのは仕方がないと思うけど。ただ、俺はそこまで下北に固執はしていないからわからないけど、好きな人からしたら、ここだけは壊しちゃいけないっていうのはあるんだろうね。
──まあロフトに関しては移転したとはいえ、まだ存続してますけど、下北に関しては今の商店街にある小さい店とかが残れる可能性は少ないですからね。
圭介:そういうのはなくなっちゃうでしょうね。
アツシ:あ、そんなに変わっちゃうの?
──駅前に幅26mの道路がズドーンと通るらしいですよ。
圭介:全然変わっちゃいますね。
アツシ:それはイヤだねえ。今、駅前を工事してるから、そこだけなのかと思ってたら、そんなに大きい道路が通ったら全然変わっちゃうよね。
圭介:難しい所ですよね。それはそれで便利なのかもしれないし、昔から住んでた人の中には立ち退き料をもらえるという事で、みんながみんな反対ではなかったりするみたいなんですよ。
──そういう簡単に良い悪と判断しづらい問題を、自分なりの表現として曲にしたんだと思いますけど。
圭介:曲に関しては、地元の人がどう思っているのかっていう所までは考えずに、単純に下北が好きだからっていう気持ちでつくりましたね。やっぱり下北って、ちょっと学生気分でいられる街なんですよね。甘いのかもしれないけど。学園祭ムードが常に漂ってるから、それが良くも悪くもぬるくって居心地が良いんですよね。
──それじゃ最後に、「俺たちいつでもロックバカ!」ツアーに向けて、一言づつお願いします。
アツシ:また新しい友達が出来たなって思ってるんで、ツアーは楽しみですね。仲良いバンドとツアー廻るのが一番楽しいしね。
圭介:ウチらはこんなにガッツリ同じバンドとツアーを廻った事ってないんですよね。だから僕も、もう思いっきり楽しみたいですね。もちろん色々勉強させてもらいますけど。
アツシ:俺は、フラカンとGELUGUGUが仲良くなってくれて、各バンドのお客さんが喜んでいただければそれで満足ですね。それで最後のロフトで美味しいお酒が飲めれば最高ですよ。出来たらまた来年とかも一緒に廻れたら楽しいかなと。単独のツアーも良いんだけど、やっぱり仲良しのバンドとやるツアーが一番好きかな。思い出作りってヤツか……俺の(笑)!