これは偶然じゃなくって必然なんだよ
──そんな2バンドが初めて一緒にやったのはいつなんですか。
圭介:6年前のeggsiteですね(2001年7月8日)。ちょうどウチらはメジャーとの契約が切れるっていう時で、アルバムを出すあてもなく、レコード会社の人から曲だけ作ってこいって言われてて、ライブもやらずに曲だけひたすら作っては聴かせに行くっていうのを半年くらい続けてて。バンドもすごくテンション落ちてたし、動員も下がっちゃって、僕のプライベートもメチャクチャで、一番どん底の時期でしたね。で、もうこのまんまじゃダメになるっていうのでグレート(マエカワ)がブッキングしてきたのがそのライブなんですよ。
アツシ:でもその時は打ち上げ、別々のテーブルだったからね。ちょっとね、俺からするとおしゃれ系だなっていうイメージがあったんだよね。
圭介:おしゃれ系かなぁ~(笑)? でも、こっちからは近づけなかったですよ。ロティカのテーブル、異常に人が多いし、男も女もウワーッてなってるし。とてもじゃないけど入っていけないですよ。僕らは関係者のみで地味に飲んでたから。
──楽屋とかでも話さなかったんですか。
圭介:楽屋にアツシさんいないんですもん。
アツシ:仕込みでずっとアンプの後ろに隠れてたの、スイカマンの格好で(笑)。
圭介:いないなーと思ってたら(笑)。でも、すげーなーって思いましたよ。ライブ始まったらスイカマンの格好で飛び出して来たんで(笑)。
アツシ:でも、意外とお客さん驚かなかったんだよね(笑)。あんだけガマンして隠れてたのに。
圭介:でも、芸人魂を感じましたよ。
──それから本格的に交流が始まったのはいつ頃からなんですか。
アツシ:全然最近だよ。去年の夏くらいから……。「松健aniki祭りスペシャル」(2007年7月10日、11日、13日)っていうイベントで神戸と松山と大分の三カ所を一緒に廻った時からだよね。で、フラカンはここ何年か自分たちで全部やって色々がんばってるって聞いてたんで、やっぱりこういうバンドと一緒にツアーやらなくちゃダメだなぁ~って思ってて、それの打ち上げで(グレート)マエカワさんにツアーやりましょうって誘ったの。そしたら「うん、考えとくよ」って。おいおい、先輩に対して考えとくよかよ~って(笑)。
圭介:彼は敬語を使わないですね。僕なんかは先に年齢を聞かないと話せないんですけど、グレートはそういうのはイヤらしく、意識的になるべくタメ口を使うんですよ。
アツシ:でも、それで違和感ないよねマエカワさんは(笑)。でも、実はオッケーしてくれないかなって思ってたんだよ。だから一緒に廻れる事になって嬉しかったな。しかも、一緒のツアーが決まった後に上手いことにロフトから今回のスプリットDVDの話が来たんでビックリしたんだよね。
──DVDのオファーをした時にはツアーがあることは全然知らなかったですからね。
アツシ:だから、これは偶然じゃなくって必然なんだよね……まあ江原さん的には(笑)。でもすごいなって思った。こんな事ってあるんだなってすぐにメンバーに電話したからね。
──マエカワさんは洋楽派って事で、ニューロティカの事はそんなに……。
圭介:あんまり知らないと思いますね。
──一緒にライブをやるようになってから、バンド内でのニューロティカの評判ってどうだったんですか。
圭介:やっぱり、一番多いのは酔っ払ったときの話ですね(笑)。
アツシ:俺がワイルドカードかと思ったら、もう一枚あったでしょ!
圭介:アツシさんがすごいのかと思いきや、ダントツにスゴイ人が他にいたんですよね。ぶっ壊れる人が……。もうね、あそこまでとは思わなかったですよ。
アツシ:まあウチのドラムのNABOの話なんだけど(笑)。
圭介:ホントね、松健で廻った時に、 カタルさんとシズヲさんは真面目に飲んでるじゃないですか。 ふたりがワーッとなるじゃないですか。 で、アツシさんはワーッとなると言えども、普段通りというか、ライブでもワーッとなってるから予測の範囲内なんですよ。でもNABOさんはもう……(笑)ああなるとは思わなかったですね。俺、正直もう、打ち上げの時にNABOさんがウワーッて真っ赤になって側に来ると怖かったですもん。ものすごく鼓動が早くなって「来るなー!」って思ってましたからね。
アツシ:でも、昔はもっと元気だったからね。
圭介:まず顔が変わるんですよ。垂れ目が異常に垂れ目になって、左右のバランスが崩れてくるんですよ。デッサンが狂っちゃって(笑)。色んな噂も聞いてましたからね。それ聞いて、みんなで「ヤベー! そんなスゴイバンドなんだ! 打ち上げはかなり覚悟しておかないとヤバイね」って言ってましたから。
──フラカンって、それまでそういう荒くれ者とは一緒にやってなかったんですか。
圭介:僕らはバイオレンスなシーンに全く足を突っ込んでなかったんで、本当に箱庭育ちみたいなもんなんですよね。いわゆるパンク系のバンドともやってなかったし。まあ、ワーッ騒いだり、カラオケで裸になるくらいの事はありますけど、店を壊すくらいの勢いでメチャクチャやったり、全裸で外を走ったとかはないですからね。
アツシ:やっぱりNABOちゃんもロフト育ちだからね。
──それもロフト文化なんですかぁ~!?
自然なライブがそのままDVDになってる
──今回、そんな二バンドでのスプリットDVDが発売されますが、お二人は普段あんまり自分のライブ映像なんかを観ないらしいですね。
アツシ:観ないねぇ~。
圭介:今回もチェックではちょっと観ましたけど。
──それは、どうして観ないんですか。
圭介:観るとガッカリしちゃうの。自分の中ではすごい決まってるつもりでやってるんだけど、ビデオ観ちゃうと全然違うんで、それが身になるというよりはテンションが下がっていくばっかりなんですよね。反省ばっかりして次に勢いがなくなっちゃうんですよ。
アツシ:ミー・トゥー! 本当にそうだよね。
圭介:やっぱり無心でやってる時が一番良いんですよ。自分だけは決まってると思ってやってるのが良いのに、「この間観たら全然決まってなかったなぁ~」って考えちゃうと……。
アツシ:同じだー。
──本人が観たくないっていう物を売ろうっていうのもどうかっていう話もありますけど(笑)。でも今回のDVDは、販売する予定も全然なく撮っておいた素材を編集してるんで、撮られてるっていう意識がない自然なライブが収められてるんじゃないかと思いますね。
アツシ:それはそうだね。
圭介:DVDになると思ってやるとちょっと意識しちゃいますからね。そういう意味では自然なライブがそのままDVDになってると思いますよ。
アツシ:普通そんなことないもんね。