俺にとっては一番輝いてたシーンだから
──ロティカはパンクっていう方向性だったんだと思いますけど、フラカンって結成当初はどんな方向を目指してたんですか。
圭介:デビュー前まではエレファントカシマシとかがすごい好きで、ああいう感じを目指してたんですよ。エレカシが初めて邦楽の中でメンバーみんなが良いって一致したバンドだったんで。それまでは僕以外のメンバーは渋いブルースとかを聴いてて、洋楽好きの方が上、みたいな雰囲気出してましたからね。でも、ボーカリストは英語聴いてもっていうのもありますからね。
アツシ:俺もそうだよ。訳詩とか読んでも意味分からないからね。土曜の夜がどうのこうのとか、ベイベーとかなんとか……(笑)。
圭介:だから、ボーカルの人だけ邦楽をすごく聴いてて、バックは洋楽ばっかっていうバンドは多いんじゃないですかね。
アツシ:じゃあフラカンの他のメンバーにウチのCD送っとこ(笑)。聴いたことないかもしれないから。
──時期的に日本のバンドなんか聴いてるのは格好悪い、みたいな雰囲気もあったんじゃないですか。
圭介:イカ天の時期に、みんな髪の毛立てて、ラバーソール履いて、赤いズボン履いて……みたいな感じになってたじゃないですか。そういうのがチャラいなっていうイメージがあったんですよね、名古屋では。
アツシ:東京にもそういうのはあったよ。「あいつらは高円寺歩かせねぇ」みたいな(笑)。でも意外にああいうヤツらにもケンカ強いヤツらがいるんだけどねぇ~。「マジかよ~!?」って(笑)。
圭介:ロティカってその頃、名古屋にも来てましたよね。
アツシ:名古屋は芸音劇場とかでやってたんだけど、とあるライブハウスでケンカしちゃって出入り禁止になっちゃって……(中略)……でも、当時は名古屋が一番荒っぽかったかな、みんな酒飲んでシンナー吸って。
圭介:あの頃、僕は怖くってライブとかなかなか観に行けなかったですもん。何回か芸音劇場とかに観に行ったときには、本当に死ぬかと思いましたからね。始まった途端にグワーッて押されて将棋倒しみたいになってるし、靴なんて両方ともなくなっちゃったし、前の方から血だらけになった人が帰ってきたり(笑)。
アツシ:芸音は、もうステージ上も人だらけだったもんね。みんな上がっちゃって。
圭介:名古屋のパンクシーンはすごかったですよ。ラバーソール狩りとか本当にありましたからね。だから、普段は履いてても、栄に行く時にはみんな脱いで行くんですよ、狩られるから。
アツシ:やっぱりみんな格好つけたいんだよね。いっぱい酔っ払ってさぁ。でも、俺にとっては一番輝いてたシーンだからさ、パンクロックは。俺も友達のライブ行く時には酒飲んでいきがったりしてたしね。
圭介:今のパンクバンドやってる子たちは日常生活はパンクじゃなかったりしますけど、ロティカが若い頃一緒にやってたバンドっていうのは本当にド不良の人がやってましたからね。
アツシ:でも、そういう人たちも一緒にやると優しかったんだよね。……俺には今でも後ろに悪い人がついている、ウフフフ(笑)。
──アツシさんは昔のロフトの打ち上げで殴られた事がない男として有名ですからね。
圭介:それはすごいですね! 相当修羅場は見てるわけですよね。
アツシ:もめ事が始まりそうになると、さりげなく一歩二歩下がって「酒でも買ってこようかなぁ~」って(笑)。上手く逃げてたからね。でも俺としてはそういう所にいるっていうのが一番ステイタスだったからね。当時で言えば、六本木のマハラジャで踊ってるのと同じくらいのステイタスだと思ってたからね。
圭介:僕等はそういうのを噂でしか聞いてなかったんで、ロフトでARBの人とかアナーキーの人とかが夜な夜な飲んでるイメージがあるんですよね。だから俺、実は前のロフトって行ったこともないんですよ。怖くって行けなかった。
アツシ:へー。ライブもやったことなかったの?
圭介:ないんですよ。僕らは新しくなってからしかないんですよ。ロティカはバイオレンスなイメージはなかったですけど、ロフトで毎晩バカ騒ぎしてるんだろうなっていうイメージはずっとありましたね。しかも、ロフトで10DAYSとかやってたから、ロフトのハコバン的なイメージがありましたね。
アツシ:それは嬉しいな。
圭介:しかも、それだけのキャリアがあって、修羅場もくぐってるのに若い子たちのバンドをドンドン取り入れているのがすごいんですよね。楽屋とかでも全然重鎮面しないし、ドーンとしてないじゃないですか。むしろ腰が低すぎるくらいですよ。
アツシ:それが売れない原因かもしれないけどね(笑)。まあ、そう言われてすごく嬉しいけど、その取り入れている若手のバンドのひとつだからね、フラカンも。
圭介:ああ、若手ですかぁ~(笑)。