今も変わらぬ アナログ盤へのこだわり
──今さらですけど、“BIG side”“BEAT side”“MIND side”“!! side”とそれぞれ分かれているのは、昔の2枚組アナログ盤のA、B、C、D面 を模しているわけですよね?
真鍋:そうです。まぁ、軽いシャレなんですけど、各面 にそれぞれテーマ性を持たせた曲を並べて。俺たちはデビューする時も「“CD”を出したい」のではなく、あくまで「“レコード”を出したい」というのが目標だったので、昔のレコード、つまりアナログ盤へのこだわりは今もずっとあるんですよ。
──7月にはこの『BIG BEAT MIND!!』の2枚組アナログ盤もリリースされるし、「ハーフ・パイント・ブルース」のオルタナティヴ・ヴァージョン、「黒いジャンパー Part.2」、「THREE FIVE-O」が7インチ・シングルとして順次発表されていくというのは、アナログの生音をこよなく愛するニートビーツらしい試みですよね。しかも、シングルはすべてモノ・ミックスという、コレクターズ・アイテム性が非常に高いのがニクい。
真鍋:60年代のビート・グループがリリースしていたモノラル盤、あの音が俺はやっぱり凄く好きなんですよね。同じレコードでもステレオとは全く音の質感が違う。ビートルズの『PLEASE PLEASE ME』のモノ盤なんて、今聴くともの凄くパンキッシュで、ステレオ盤とはまるで音が違いますからね。60年代当時のステレオは、無理やり音を分離させたようなしょぼい感じがまたたまりませんけど。
──携帯電話から新曲が簡単にダウンロードできたり、iPodのような携帯音楽プレーヤーが爆発的にヒットしたりとデジタル音楽配信が幅を利かせている今の時代だからこそ、パッケージにこだわったレコードそのものの価値が復権するようになればいいなと思うんですけど。
真鍋:そうですね。俺自身、iPodの利便性は身をもって感じていて、プレイヤーとリスナーの狭間で揺れる葛藤はありますよ。今は、音源の貸し借りをするにもMDやCD-Rに落として受け渡しするという、何とも味気ない感じですよね。俺は未だにLPの貸し借りとかするし、アートワーク込みのパッケージとしての魅力があってこそレコードは面 白いのになと思うんですけどね。今や“ジャケ買い”という言葉すらもあまり聞かなくなったけど。
──LPをダビングするにも、カセットテープに落として、曲目もレタリングしてキッチリやるとかなら好感持てるんですけどね(笑)。
真鍋:そうそう。46分の生テープに23分ずつ曲を振り分ける感じでね。今度出す7インチ・シングルに関しては、仮にレコード・プレイヤーを持っていなくても、部屋に飾るインテリアとして扱ってくれてもいいんですよ。そのために、ジャケットにもちゃんとこだわってますから。アナログのほうは、差し当たってライヴ会場とごくごく小さな輸入盤屋でのみの販売にしたいと思ってます。
──レコ発のツアーも、今月末のロフトを皮切りに32本、9月末までビッシリ入ってますね。
真鍋:9月以降も、まだまだツアーを続けるつもりでいますから。でも、これくらいじゃニートビーツのライヴ本数としては少ないほうですよ。以前は、ライヴの合間にレコーディングを3日間集中してやって、7インチ・シングル、フル・アルバム、ミニ・アルバムと3ヶ月連続でリリースを敢行したこともありましたから。
──それこそ、一発録りを基本として一日でレコーディングしたビートルズの『PLEASE PLEASE ME』みたいに。
真鍋:ええ。60年代のビート・グループは大抵そんな性急なレコーディングのやり方をしてるでしょう? 俺たちもやればできるんじゃないかと思ってやってみたんですけど、実際あれはなかなかキツかったですよ(笑)。
──それと、『BIG BEAT MIND!!』の発売日にはロフトプラスワンでスペシャル・トークショーも開催されますが、内容は決まってるんですか?
真鍋:これから考えます。何が起こるかは…当日、その時間になってみないと判らないですよ。
土佐:前にプラスワンでやった“居酒屋ロック”の時は、ラジオの録りか何かで真鍋君が途中退席したからね(笑)。
真鍋:今度はちゃんと最後までいますから(笑)。まぁ、何をやるかは当日までのお楽しみです。ここでしか観られない映像やプレゼントなんかも用意するので、期待していてほしいですね。
土佐:ゲストも現在、絶賛交渉中なので。
真鍋:啓介のコーナーを単体で作らないとね。その人となりが遂に暴かれる、という…。
朝原:…………………………(顔が強張っている)。
真鍋:酒が呑めないとかなりシンドイ場かもしれないけどな(笑)。まぁ、ツアーに関しては未だ行ってない地方にもドンドン出かけていくつもりなんで、楽しみにしていて下さい。赤字だろうが何だろうが、そこに1人でも2人でも待っていてくれるお客さんがいる限り、今年は年間ライヴ100本を目指してまだまだ突っ走っていきますから!