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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE NEATBEATS(2005年5月号)- ニートビーツ暦1971年、不動のR&Rと初期衝動への回帰

ニートビーツ暦1971年、不動のR&Rと初期衝動への回帰

2005.06.01

 ニートビーツ暦もいよいよ1970年に突入した昨年、70年代のロック・スター然としたド派手な装いとその音楽性の進化が大きな物議を巻き起こしたザ・ニートビーツ。2代目ドラマーとして朝原"MR.SHALLOW"啓介を正式メンバーに迎えた今年、彼らはその加勢を得てシンプルかつストレートなロックンロールへの回帰を果 たし、自分たちの音楽を純粋に楽しむ余裕とバンド初期衝動をも取り戻したかのようだ。それほどまでに、通 算9枚目のオリジナル・アルバム『BIG BEAT MIND!!』で聴かれる不動のロックンロールはどこまでもソリッドで逞しく、そして何より瑞々しさに溢れている。常に我々聴衆の期待や予想をたおやかに裏切り、レコーディングでもライヴでもそれ以上の実りある成果 を必ずや提示し続ける彼ら、この先どこまでフルスロットル全開で突っ走っていくのか、ますます面 白いことになってきた!(interview:椎名宗之)

テクニック云々よりも「何か面白いこと喋れ!」

──今年に入ってからのニートビーツのビッグ・ビートならぬビッグ・ニュースは、何と言っても朝原“MR.SHALLOW”啓介さんが加入して、再び4人組のコンボとして活動をスタートさせたことですね。
 
真鍋“MR.PAN”崇(lead g, vo):そうですね。啓介のことは最初全然知らなくて、知り合いに紹介してもらって。一緒にスタジオに入ってわずか30分間、プレイして20分くらいで決めましたね。
 
土佐“MR.LAWDY”和也(2nd g, vo):それまでに他の人ともセッションをしてみたんだけど、今ひとつシックリこなかったんですよ。
 
真鍋:“ATTENTION PLEASE!! TOUR”が終わった後、新木場のSTUDIO COASTでライヴ(“FM FESTIVAL GREATEST MUSIC "LOUD MINORITY SPIRIT!"”)をやることだけは先に決まってて、ドラマーは相変わらず決まってなかったんですけど、THE HIGH-LOWSやRHYMESTERなんかも出るし、大きな会場だから出てみようと。ドラマー? これから探せばいいじゃん、みたいな(笑)。
 
──去年1年間はずっと、クハラカズユキさん、奥野真哉さんの両名をサポートに迎えてライヴ活動をされていましたからね。
 
真鍋:うん。キュウちゃんや奥野君とのコンビネーションは抜群だったし、バンドとしてもいい経験になったんだけど、今年はドラマーを固定したパーマネントな感じでやりたかったんです。で、啓介を巻き込んだ。最初は俺、彼のことを“岩”って呼んでた(笑)。演奏してる姿がとにかくガッチガチで固かったから(笑)。
 
──朝原さんは、ニート加入前はどんなバンドをやっていたんですか?
 
朝原“MR.SHALLOW”啓介:下北のclub Queに出てるような…いわゆるギター・ポップ系のバンドというか。俺、ニートのことはほとんど知らなかったんですよ。何かの雑誌で写 真を見かけたくらいで。で、以前から知り合いだったキュウちゃんに「こんな面白いバンドがいるんだけど…」って紹介されて、興味を持った。
 
真鍋:啓介は、キツツキ・ヘアにフレア・パンツな去年の“カラフル・ニート”にピンと来て立候補してくれたんだけど、ご覧の通 り2005年のニートは従来のニートに近い“モノクロ・ニート”だから、スーツもみんなで新調して、髪の毛もリーゼントでアップにまでされて…。
 
朝原:見事にダマされました(笑)。でも、実際に一緒にやってみて思ったのは、今どき珍しいくらいにバンドらしいバンドだな、と。ここまで信念を持って活動を続けながらも、凄く自由度の高いバンドなんですよ。だからは今は凄く楽しいですね。
 
土佐:それは褒めすぎ(笑)。いつも悪いなと思うのは、啓介は酒が一滴も呑めないんです。みんなで酒を呑んでも当然割り勘だから、毎回彼だけ高く付く(笑)。
 
真鍋:前のドラマーのMR.SHEENも下戸だったし、ドラムは酒が呑めないっていうのはニートの伝統なのかもな。
 
三浦“MR.ROYAL”誓山(b, vo):同じリズム隊としては、最初に音合わせをした時から手応えはありましたよ。ニートのドラムはただ巧いだけじゃなく、跳ねるようなリズムを生み出せないとダメなんです。
 
真鍋:俺は啓介に対して技術的に高い欲求をしたことないもん。そんなことよりも、ライヴで間が空いた時に「何か面白いこと喋れ!」とか、このバンドではそっちのほうが重要だから(笑)。
 
土佐:それ、俺たちにも言われてるような気がするな(笑)。
 
──じゃあ、春に行われた“BEAT EXPRESS”“MAJESTIC SOUND NIGHT”の両ツアーは、新生ニートの地ならし的な意味合いもあったわけですね。
 
真鍋:うん。それとファンに対するお披露目の意味も含めて。春のツアーでだいぶバンドの一体感が強まってきたし、今はかなりいい感じになってると思いますね。
 
──ということは、今回リリースされる9枚目のオリジナル・アルバム『BIG BEAT MIND!!』は、朝原さんが加入してすぐに制作に取り掛かったということですか?
 
真鍋:そういうことです。啓介が正式に加入してひと月も経たないうちにリハーサルを始めて。曲なんて全然出来ていないのにアルバムを作る、しかも2枚組を作るぞ! って(笑)。
 
──その上、前作の『ATTENTION PLEASE!!』からわずか約7ヶ月という恐ろしいスパンの短さ。
 
真鍋:『ATTENTION PLEASE!!』の半年前には、ベスト盤(『NEAT-AT-BEST』)も出してますから。新曲が出来ない割に、やりたいことのアイディアだけは後から後から無尽に湧いてきますから(笑)。今のストーンズみたいな世界の至宝クラスのバンドは5、6年新譜が出ないのは当たり前だけど、60年代のビート・グループは3ヶ月に1枚は必ずシングルが出るハイ・ペース振りだったから、ああいうスピード感で駆け抜けていきたいと思ってるんですよ。
 
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