Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】髭(2005年1月号)-初のワンマン・ライヴを新宿LOFTにて遂に決行!!

初のワンマン・ライヴを新宿LOFTにて遂に決行!!

2005.01.01

愛嬌を持ちながら毒を伝えるのは難しい

──実は今回のインタビューで須藤さんを少しでも“解剖”出来ないかと思っているんです。制作過程も含め、ライヴでも“この人一体何考えているんだろう?”っていつも思うんですよね(笑)。そういう?マークを持った多くの人に代わって私が紐解きたいと思いまして。まず、同じバンドの中にいる斉藤さんから見た須藤さんってどんな人ですか?
 
斉藤:非常にナイーブな少年ですよ。
 
須藤:そんな言うほどでもないですよ。っていうか全然特別 な感じはしていないし(笑)。俺からするとバンドのメンバーも変なのが多いけどね。“ちょっと違うんじゃないの?”って。
 
──それも教えて下さい(笑)。
 
須藤:“社会不適応だな、みんな”って。俺は社会に適応できるタイプだから」
 
──おぉ! 自信満々に言いましたね。
 
須藤:俺はね(笑)。他のメンバーとかは“こいつほんとに無理だな”っていう人間が多いですよ」。
 
──いいんですか? そんなこと言われて。
 
斉藤:いるからね、そういう人。
 
──あ、自分じゃないんだ(笑)。
 
斉藤:須藤は須藤で俺から見れば変な人間に見える時もあるけど、みんなもあるからね。もちろん普通 の部分もあるよ。でも、やっぱり未だに判らないところもいっぱい。
 
──あと須藤さんがステージに上がった瞬間、会場が甘い。
 
須藤:うんうん、判る!
 
──あれは何でしょう? だってこういう話をしている時は甘くないじゃないですか。
 
須藤:選ばれちゃっているからかなぁ? 判りますもん、俺も。自分が出た時“甘いなぁ”って。
 
──あはははは。でも、その濃厚なところに加えてあのバンド力というか。会場に濃密な液体が流れるようなあの空間は他にないと思うんですよ。
 
須藤:俺もいろんなバンドの友達もいるし、いろいろな人達のステージも観るし、みんなそれぞれ独特な色を持っているけど、うちらはほんとに独特だなと。あれはなんだろうなぁ。俺、すごい紳士なんじゃないかなと思う。自分が好きだったロックとか、今まで好きだったアーティスト達っていうのはみんな刹那的で暴力的だったりするので、俺もすごいそういうものに憧れてロックやってて。でもそれだけのテイストだと俺っぽくないんだな、ってどっかで気づいた時があって。それで自然にやってみた時、多分ああいう風になったんだと思う。
 
──あれこそライヴの魅力だと思います。ちなみに自分達から見て髭のライヴの魅力とは?
 
須藤:やっぱ何かひとつのことを共有することだと思う。髭の音楽を共有することだと思うし、そういう共有感が楽しいと思う。実は僕らもね、結構判らないで物事をやっていると思うし、手探りだと思う。何も確信がないし。
 
──あ、それって意外。
 
須藤:ってよく言われる(笑)。でも何も判ってないし。
 
──すごい意外でした。自信を持って進んでいる気がしていたから。
 
斉藤:自信を持ってやったりするけど、それが一瞬のうちにもろくも崩れ去ったりする時もあるわけ。内面 的に。それがあるから“これが俺達の形だ”みたいに自信のみで突き進むほど完璧ではない。普通 の人間が誰でも持っているようなものを持ちつつ。
 
須藤:まぁ、要するに紳士なんですよ(笑)。
 
──そう言われると髭ちゃんっていうバンド自体が人間って感じがしますね。ところで、須藤さんが描く歌の題材になるモノってどんなものですか?
 
須藤:曲によっていろいろあると思うんだけど、例えばそれは自分に向かっていたり。だけど人が聴いて判るものがいいと思う。自分の頭の中にあるものばかりを発表すると、それは純粋度が高ければ高いほど伝わりにくくなるし、どんどんウソをついている自分に気づくというか。“そんな高尚なこと思ってないだろう”ということに気づき始めるから、本当の自分はちょっと妥協してでもみんなと気軽に共有したい。だから言葉遊びとかは多いと思うよ。それといつも忘れたくないなと思っているのはユーモア。ユーモアがなくなったら俺の場合は特にダメだな。
 
──ユーモアにも種類があると思うんですけど。
 
須藤:それは今まで通ってきたものがデカいかも知れない。どちらかというとブラック・ユーモアというかキッチュなものというか。20歳くらいの時にモンティ・パイソンか何かを観てものすごい衝撃を受けて。あとはビートルズで言えば、中期の『サージェント・ペパーズ』とか。ああいうモノもすごいバックボーンになっていると思う。全然違うじゃねーかよって言われたらそうかもしれないけれど(笑)。ピースフルだし、何かを寄せ付けない毒があるし。
 
──軽く毒をもった感じですかね。
 
須藤:そう。だから何でもかんでも中指だけっていうのは俺はあんまり好きじゃないんですよ。それは俺は簡単に出来るから。だから、難しいのはそういう毒がちゃんとみんなに愛嬌を持って伝わることだし。そういうクールな人間でいたいと思っていますよ。
 
──判る気がします(笑)。髭の歌の世界で迷える感じとかもそうですよね。きっと。
 
須藤:見方がひとつだけのものとか、あんまりよろしくないと思いますから。それを見た時にいろんな感情が人によって生まれたりして、またそれを歌っている俺も聴いている人とは違う感情でいるっていう。いろんな多面 的に見れるものを音楽を通してじゃなくても自分から発して行きたいと思ってますよ。
 
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