2月24日から28日にかけて髭の連続ワンマン5デイズ『Countdown to 37 〜37,I'm on the way!!〜』が下北沢SHELTERで行なわれる。各日が特別なコンセプトで行なわれるこの5日間にかけられた真意を、須藤寿(v,g)にメールインタビューで訊いた。(interview:平野風)
2013年を振り返って
── はじめに、去年を振り返るとアルバム『QUEENS, DANKE SCHON PAPA! 』のリリースや、そのアルバムでは踊ってばかりの国の佐藤謙介さん(ds)を迎えたトリプルドラムに挑戦したり、新たな「髭」の面白さを表現出来たかと思います。須藤さんとしては2013年の活動を振り返ってどんな年でしたか?
須藤:2013年はアルバム制作&リリースや、ツアーもあって充実した1年でした。アイゴンの脱退についても夏の終わり頃から話し始めていて、年内までこの体制でやっていこうと話しました。なのでバンド活動、動きに一体感があったと思います。
── 川崎"フィリポ"裕利さんが脱退するという重大発表について、読者は凄く気になっていると思います。私個人としては、今後の髭のドラム形態が非常に気になるところですが、3月からのライブはどのような形態で行なって行くのですか?
須藤:フィリポの脱退に関しては、アイゴンとはまったく別の経緯で13年の秋頃から話が進んでいました。突然の発表になってしまった事、ファンを悲しませてしまった事を本当に心苦しく思っています。はじまりはきっと『QUEENS, DANKE SCHON PAPA!』の制作時にバンドに新たなドラマーを呼んできたことが大きな原因のひとつかと思います。ひとつのバンドにドラマーを3人在籍させることによって、自分のバンドに対する音楽的欲求を満たす事が出来たかもしれないけれど、同時にドラマー3人には辛い思いをさせることもあったかもしれない。フィリポはその中で自身がメインでドラムを叩くバンドに専念する意志を固めたのだと思う。自分はその意向を受け止め、全面的に応援したい。髭の今後は佐藤謙介、または正式に入ってくるであろうドラマーをメインにもっとシンプルなリズム・アプローチに向かっていくと思います。とにかくフィリポにはありがとうと伝えたいです。
── 14年間バンドを支えてくれたフィリポさんの存在というのは凄く大きかったと思います。メンバーに彼がいたからこそ出来た事は何ですか?
須藤:フィリポがいたから、出来た楽曲は多いです。彼と2人でスタジオに入って作った楽曲『Are you ハッピー??』は2人でリズムを合わせるうちに出来上がった楽曲です。楽曲のみならず、彼は髭の精神的支柱でした。彼はいつでも大きな心で、自分がドラムを叩かない楽曲でもリズム・アレンジに真摯に取り組んでくれました。また、たくさんのバンドが出演するイベントのバックヤードでもムードメーカーとなり、たくさんの人を僕に紹介してくれました。今でも彼と一緒にいるといつも面白いです。1番初めにスタジオに入った時のことを鮮明に覚えています。
『Countdown to 37 〜37,I'm on the way!!〜』
── 今月シェルターで開催される5デイズイベント『Countdown to 37 〜37,I'm on the way!!〜』(2/24〜2/28)はどこから生まれたアイデアですか?
須藤:フィリポの脱退は当初予定になく、初めは純粋に自分のバースデー・カウント・ダウン・ライブの予定だったんです…(笑)。髭のリリース10周年にかけて何か面白い事がやりたいね、というのが始まりでした。ゲストのフルカワユタカは自分と同じ誕生日(2/28)なので一緒に前夜祭をやろうと決めたり、ゴメスは自分のソロでも参加してくれている気心の知れた優秀な鍵盤奏者なので、歌モノの日に参加してもらえることになりました。毎日、違うコンセプトを持ったライブにして、自分達自身も楽しむのが一番の目的です。
── 様々なイベントコンセプトのある5日間の会場にシェルターを選ばれた理由にはどんなところがありますか?
須藤:ステージとフロア、お互いの息づかいが聞こえるようなライブハウスとしてシェルターを選びました。実は、シェルターはオーディションも受けたことのある思い出深い、ゆかりのあるライブハウスなんです。
特別なコンセプトで行なわれる5日間
── 5日間の内容を詳しく教えてもらえますか?
●2月24日(月)"DECADEアンケートDAY"
── インディーデビュー10周年に伴いアンケートから人気曲を披露する1日となりますね。やはりこの日のセットリストのラインナップは普段と違うことかと思います。須藤さん的に「この曲が選ばれてた」と驚いた曲やアンケートの結果でどのような事を感じましたか?
須藤:当然なんですけど、思った通りの楽曲と意外な楽曲があって、選曲はライブに来てからのみなさんの楽しみにとっておこうと思います。アンケートの印象としては、髭のナンセンスな側面よりも情緒ある歌詞の際立った歌ものが選ばれていると思いました。2/24にみなさんの前で演奏できるのを楽しみにしています。
●2月25日(火) "アンプラグドDAY" (guest musician ゴメス)
── 普段の演奏形態とは異なったセットになることかと思いますが、今までにアコースティックだけの1日に拘ってライブをしたことはあるのでしょうか? また、須藤さんとしてはこの日に対してどのような楽しみがありますか?
須藤:ライブで何曲かだけ、アンプラグドで演奏したことはありますが、ライブ全編をアコースティック・コンセプトでやったことはまだ一度もありません。70年代のフォーク・ライブのようにゆっくり話をしながら、歌に寄り添い、みんなと楽しい時間を過ごせたら良いな、と思っています。機材セットは完全アンプラグドは難しいですが、いつもよりソフトであたたかな髭に触れてもらえると思います。
●2月26日(水)"インディーズDAY"
── インディーズ時代の楽曲のみを演奏する一夜となりますが、「久しぶりにこの曲をやりたい」等ありますか?
須藤:毎年4/1はインディーズ楽曲をやるエイプリル・フールDAYという日があるのですが、それは自分達の選曲によるところが大きいんです。今回は2/24もそうですが、DECADEアンケートがあるので、それを基に自分達では手の届かないインディーズ楽曲に触れて、みなさんに喜んでもらえたらと思います。
● 2月27日(木)"須藤寿&フルカワユタカ生誕前夜祭" (guest musician フルカワユタカ)
── 須藤さんとフルカワユタカさんが同じ誕生日だったということに驚きでしたが、コラボもあるということでお互いのファンならば必見の日になりますね。やはりファンの方はフルカワさんが楽曲提供した『フェアウェル』をやるかも! と期待しているかと思います。須藤さんとしてはどのような1日にしたいですか?
須藤:まず『フェアウェル』は良い形で演奏したいです。彼と僕を音楽的に繋ぐ、唯一の架け橋ですから。すでに彼とは今回のライブについて、何回か連絡を取り合ってますけど、髭の楽曲、フルカワの楽曲、お互いが好きなカヴァー楽曲、または2人でMCしたりと様々な角度から彼と接触していきたいと思います。彼は面白いので。
● 2月28日(金)"須藤寿生誕祭&フィリポ・ファイナル"
── 5日間の締めとなる須藤さんの聖誕祭と、フィリポさんの脱退ライブとなる重大な日ですね。スペシャル企画があると発表されていますが、どんな日になるのですか?
須藤:この日はお祝いです。髭の10年を祝う、須藤の37回目の誕生を祝う、フィリポのこれからを祝う、髭の「ここまで」と「ここから」を総括する祝祭です。この日の企画に関しては、SNSで発表していくので今後の髭のニュースを楽しみにしてもらえればと思います。
これからの髭
── これからの活動として、今年はどんな「髭」を目指して行くのですか?
須藤:とにかくライブをしていこうと思います。その中で新曲を育てていきます。ライブで楽曲を育てていくうちに実験を重ね、来年再来年のスタジオ・レコーディングに繋げていきたいです。
── 須藤さんからフィリポさんにメッセージをお願いします。
須藤:これから新しく始まっていくフィリポのバンドが本当に楽しみです。どこかのイベントで共演できたら面白いね。頑張ってください。いつでも応援しています。
── 最後に、5日間のイベントを観に来てくれるお客さんにメッセージをお願いします。
須藤:フィリポ脱退という、バースデー・カウント・ダウン・ライブ以外の意味も生まれてしまいましたが、今思うと、これも単なる偶然じゃないのかもしれません。どんな日になるかは、まだ僕にも分かりませんが、今はただ、このスペシャルな5日間をみなさんと過ごせるのが本当に嬉しいです。いつもありがとうございます。『Countdown to 37』をよろしくお願いいたします。