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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】怒髪天(2004年12月号)- 『握拳と寒椿』──耐えて咲かせる華もある

『握拳と寒椿』──耐えて咲かせる華もある

2004.12.01

息も白い冬枯れの景色に紅色八重咲きの花を平開させる寒椿。花色の紅を冬の力として蓄え、その能力を高めてきた寒椿はこの凍てつく季節に力量 を充分に発揮して色鮮やかに咲き誇る。それまではただひたすらに堪え忍ぶのだ。増子直純(vo)、上原子友康(g)、清水泰而(b)、坂詰克彦(ds)の4人から成る怒髪天もまた、そんな寒椿同様"耐えて咲かせる華"である。結成から20年、今のメンバーになって16年、クラウンから出たメジャー・アルバムから13年、そしてあの劇的な活動再開から5年。寂寞として痩せた荒野で愚直なまでに種を蒔き、堅実に畑を耕し続けてきたひとつの結果 が、メジャー復帰作『握拳と寒椿』として今回ようやく実を結んだ。この問答無用の充実作を携え、彼らが大輪の華を咲かせる日はそう遠くはないだろう。男樹に咲き乱れる男花の萌芽はまさにこれからであり、怒髪天と彼らを追い掛ける我々ファンの想いはただひとつ、「俺達の旅はまだ終わらねェ!」のである。(interview:椎名宗之)

信頼できる仲間が一番大事

01_masuko.jpg──何はともあれ、メジャー復帰おめでとうございます。

増子:ありがとう。まぁ、またメジャーでやるって言っても、これまでやってきたことと地続きだからね。勿論、有り難いことではあるけど、単純にイイ歌を作ってイイライヴをやり続けること自体は以前と何ら変わってないから。

──このタイミングでのメジャー移籍の意図するところは?

増子:クラウン盤(1991年8月発表の『怒髪天』)のディレクターだったTさんが、もう何年も前から声を掛けてくれてて、“じゃあやろうか!”っていう。

清水:そう、命懸けのアプローチをしてきてくれたTさんが一言、“お待たせしました!”って言ってくれて。

──他のレコード会社からの誘いもこれまで多々あったと思いますけど。

増子:うん。メジャーだからどこでもやるっていうわけじゃなくて、あくまでテイチクだから、その担当がTさんだからっていうのが大きい。音楽を続ける上で何が一番大事かってことを、俺達は今までずっと見極めてきたからね。それは何かって言えば、やっぱり“信頼できる仲間”なんだよ。そんな仲間達と一緒にやっていくのが一番大事だと。

──今回発表された『握拳と寒椿』は、いわばバンドとスタッフが一丸となって果 たす13年越しのリヴェンジという向きもありますが、そんなドラマ人間模様を抜きにしても、また凄まじくいいアルバムに仕上がりましたね。

増子:絶対イイよ! 良くないわけないもん。“良くないものは作らん!”って堂々と言えるようになったよ。

上原子:うん。今回はジャケットも含めて、凄く納得のできる入魂の一枚になったと思うね。

増子:俺の中では前作『リズム&ビートニク』(2004年5月発表)からの三部作として考えているんだけど、季節感というものを織り交ぜようとしてるんだよね。東京へ出てきてから何年も経って、今やっと街の中で季節を感じることができるようになったのかなって思う。北海道から出てきた俺達にとっては、雪も余り降らない東京の冬はちっとも冬らしく感じられなかったんだけど、東京の冬も四季の中のひとつとしてやっと実感できるようになったからね。

──サウンドの質感も微妙に変化してますよね。1曲目の「悪の華」ならぬ 「男ノ華」から今まで以上に躍動的かつ肉感的なサウンドが全開で、グイグイと全体を引っ張っていくような…。

増子:それはホラ、ねェ坂さん?。

坂詰:(料理と酒に夢中)え? …ああ、サウンドが、全体的に…そうですね。全体的にみんな成長してる、みたいな。

増子:まーたオザナリなこと言って(笑)。やっぱりね、ドラムの音が全然違うからだと思うよ。坂さんが実は今回初めてドラムセットを買って。ねェ?。

坂詰:最初はシモンズ(六角形のエレクトロニック・ドラムス)を買おうと思いまして…。そんなに力を込めなくてもイイですから。

増子:そんなちょっとの力を節約してもしょうがないから(笑)。坂さんがドラム叩くのに力込めたくないって全国の誰もが判ってるし(笑)。

──レコーディング現場監督の友康さんとしてはどうですか?

上原子:確かにドラムが変わったのは大きいね。1曲ごとにドラム・チューンを変えたりして凄くこだわったし、その結果 ドラムの存在感がかなり際立って、説得力のある音になったと思う。今まではギター・ダビングをすることによってドラムの音を埋もらせてた部分があったから、極力ダビングは控えるようにもしたしね。だから音の質感が変わってきたって言われるのはよく判る。

増子:全体のバランスが、自分達の意図するところにだいぶ絞れてきた感じはするね。俺達にしかできない音っていうのがやっぱりあって、それがよりできるようになってきたんだよ。『リズム&ビートニク』はシミの弾くフレーズが全体を引っ張っていく“ベースのアルバム”だったけど、今度のはよりバンドとしてのまとまりができてきた。

清水:今回はドラムの音が変わって、どうやったらドラムの音と馴染むベースの音になるかを一番神経使ったね。いつもは割と各パートが好き勝手な音を出すという感じだったけど、今度のはドラムの音がまずあって、そこに全部を合わせた。だからよりバンド感みたいなものが出てると思う。(坂詰に)ね?。

坂詰:(相変わらず料理と酒に夢中)……そうですね。

増子:坂さん、シミの話を肴に呑んでるだけだからね(笑)。でもまさか坂さんがラディックのビスタライト(透明アクリル・シェルのドラムセット)でくるとは思わなかったよね。

坂詰:(箸を止めて)……うん。

清水:“うん”で終わりだ(笑)。

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