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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BEAT CRUSADERS(2004年10月号)- ビート・クルセイダースがただのお面をかぶった面白い人達だと思ってると痛い目あうからな!

ビート・クルセイダースがただのお面をかぶった面白い人達だと思ってると痛い目あうからな!

2004.10.01

 へんなお面をかぶっている謎の音楽集団。なのにやってる音楽は超一級品──99年にラストラムよりデビューした仮面 の楽団ビート・クルセイダースは、その類い希なるPOPセンスを武器にインディーズ界を席巻、インディーズの覇王になるのも時間の問題と言われていた。その矢先、昨年リーダーのヒダカ以外のメンバー全員が脱退し、一時は解散か? との噂まで流れたが、年末にはメンバーを一新して不死鳥の如く復活した。しかも、あれほどインディーズにこだわりを持っていたはずが、メジャーレーベルDefSTAR RECORDSと背徳の黒い契約を交わしあっさりとメジャー進出。人気ロックマンガ『BECK』アニメ化の主題歌を担当するなど、その勢いをさらに加速している。そうとう調子に乗っているのではないかと思われるロック界のサブカル将軍ヒダカ氏とその同志であるクボタ氏、タロウ氏に現在の心境と今後の戦略を語っていただいた。 (Interview:加藤梅造、椎名宗之)

ビークルがアンチテーゼになればいい

──ビート・クルセイダース(略してビークル)の最近の話題はなんといってもメジャーへの移籍ですが。
 
ヒダカ:まあ、俺たちブラックマネーが大好きなんで(笑)。
 
──でも、やってることはあんまり変わってないですよね?
 
ヒダカ:ぶっちゃけそうです。本人達に悪気はまったくないんでしょうけど、モンゴル800などがインディーズでミリオンヒットをガンガン出して以降、インディーズの概念が変わってしまったじゃないですか。やってる現場の僕らの気持ちは変わらないんですが、ユーザー側の捉え方はもう僕らが思っているようなインディーズじゃないだろうなと。それがいいことか悪いことか結論を出すつもりはないですが、僕らがインディーズ時代にラストラムでやってたことがメジャーのやっていることと変わらないんだったら、別 にメジャーでやってもいいじゃないかと思ったんです。あとは、友達であるアスパラガスとかザ・バンド・アパートとかが、もしメジャーに行ってもきっと俺たちみたいに器用に立ち回れないじゃないですか。でも僕はメジャーの音楽を聴く人達にも彼らの音楽を聴かせたいんですよ。だから、ただのおせっかいおばちゃんなんです。ビート・クルセイダースがメジャーにいることで、彼らみたいなバンドをうまく紹介できたらいいなぁと。ケミストリーや平井 堅さんが稼いでくれたお金を使ってそういうことができるんだったら、そんなにパンクなことはないじゃないですか(笑)。まあRooftopだからこんなこと言えるんですが。
 
──“僕らが思っているインディーズ”とは具体的にはどういうものなんですか?
 
ヒダカ:(先月のRooftopを見ながら)それこそアルケミーレコードですよ。ラジオでかかったら「なんじゃこりゃ?」ってなるような。でも今のインディーズはそういうものじゃないですよね。インディーズの現場でCDを出している人達でさえ、そういうものが何なのかよくわかってないと思うんです。別 に僕らはアルケミーを広めるためにやっているわけではないですけど、インディーズにはそういう流れがあってやっているということを忘れさせたくない。お客さんにも、やっている人達にも。だから、ビークルがメジャーにいることがアンチテーゼになればいいなあと。「泣いた赤鬼」の青鬼くんみたいなもんです(笑)
 
クボタ:僕はヒダカ君よりもうちょっと下の世代になるんで、スナッフィー・スマイルとか、ああいうのがインディーズのイメージですね。まずはライブに行って、よかったら7インチを買うみたいな。僕はインディーズ時代のビークルを外から見ていて、やってることがすごいメジャーっぽいなあと思ってました。
 
──夜中にCMとかガンガンうってましたもんね。
 
ヒダカ:ただ誤解してほしくないのは、僕らがやっていることは誰にでもあてはまることではなくて、みんなインディーズからメジャーにどんどん行こうぜって意味じゃないんです。これは単に選択肢の問題であって、道を作ろうという意志のある人がこういうことをやればいいと思う。まさにハイスタの「メイキング・ザ・ロード」ですね。あと、もう一つ危機感があるのが、地方のライブハウスの人に聞くと、若い人達にはヒップホップやレゲエの方が受けててバンドものはお寒い状況らしいんです。そりゃあ、なんとかせにゃあいかんだろうって。僕はもちろん打ち込み系も好きですけど、やっぱりバンドにはバンドにしか出せないものがあると思うんで。
 

80's感覚とメロコア以降

──ビークルはヒダカさん以外のメンバーが一新したわけですが、クボタさんはどういうきっかけでビークルに入ったんですか?
 
クボタ:僕はポップキャッチャーというバンドをやっていてビークルとは昔からつきあいがあったんですが、バンド以外にレーベル(CAPTAIN HOUSE)もやっている関係で、そこから新生ビート・クルセイダースのシングルを出そうという話になって。 
 
ヒダカ:そのついでにベースも弾いてくれと。そういうノリでしたね。
 
──なるほど。タロウさんはどういう経緯で? メンバー中一番若いと思うんですが。
 
タロウ:若いっていっても、もう29歳ですよ…痛て!(※ヒダカからビンタされる)
 
ヒダカ:メンバーというより完全に主従関係ですね(笑)。
 
タロウ:まあ犬ですよ。俺が誘われたのは不遇だったからですね。あいつ不遇そうだってことで(笑) 。
 
ヒダカ:メンバーを入れるとき、最初は若い奴を入れてリフレッシュ! って気持ちもあったんですが、全然知らない奴だと感情移入できないなあと思って。それよりも、前から対バンとかしてて、今はバンド辞めちゃったり解散しちゃったりしてるうだつの上がらない負け犬どもが4、5匹集まれば野良犬のチームができるかなと思って。気分はARBのデビューシングル「野良犬」ぐらいの気持ちでね。 
 
タロウ:あと僕以外はみんな30代だからリアルタイムで80'sを体験した世代だし、僕もギリギリ聴いてた世代なんです。 
 
ヒダカ:だから話が早いですよ。それこそBig Audio Dynamite(註:ミック・ジョーンズがクラッシュ脱退後に結成したバンド)みたいな感じでって言えば、それで通じちゃうから。
 
クボタ:キーボードのケイタイモは、モンハンというバンドのベースでもあるんですが、プレイヤーとしてもすごく幅広いですね。
 
タロウ:やっぱ、80's感を持った人のキーボードですよね…痛て!(※ヒダカからビンタされる) すいません、わかったような口きいて…
 
ヒダカ:80'sは基本にあるんですが、僕はもともとレーベルの仕事をしていたおかげでメロコア以降も一通り聴いてきたんです。それは今、強みになってますね。
 
クボタ:たぶん新生ビークルになってからの変化よりも、インディーズ時代のビークルの方が変化が激しかったと思うんですよ。
 
ヒダカ:そうですね。1stはかなりまじめにUSインディーな感じをやって、それ以降4枚目まで相当変化していきましたから。
 
クボタ:今は何をやってもOKな感じになってますね。
 
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