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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ひょうたん(2004年8月号)- 結成から十余年、待望の公式音源を遂に発表!!  

結成から十余年、待望の公式音源を遂に発表!!

2004.08.01

素直になれず天の邪鬼なバンドの個性

──今回発表するミニ・アルバム『ひょうたん』は、活動を再開されてからの曲が殆どですか?
 
二宮:半々くらいですね。〈僕が笑う向日葵のように下品に〉〈宇宙の傍らで〉〈月のことだま〉がまたバンドを始めてからの曲です。
 
奥平:持ち曲自体がそんなにないんですよ。だからこのアルバムに関してはやれるものを詰め込んで。
 
林:でも“きちんとしよう感”はこれまでで一番だったんじゃないかな? やる気がないとかそういうんじゃなくて(笑)、引っ込み思案度が高すぎるんですよ。でも今回はようやく人に聴いてもらいたいと思って意識して作りましたね。
 
二宮:確かにそろそろそういう意識が必要なタイミングではあると思いますね。もう12年も経つし(笑)。
 
──作曲は全員で?
 
二宮:曲は基本的に3人で作ってます。誰かがネタを持ってきてくれるって感じですけど。歌詞は僕が書いてます。
 
──レコーディングはかなり変則的に録られたという話ですが。
 
二宮:練習スタジオに機材を持っていって全部自分達で録ったんですけど、なかなかこういう性格なもんで、一旦上に重ねるもんだったりの作業が平気で1ヵ月くらい空いてしまったりとかして。アップアップになってましたね。
 
奥平:最後の〈月のことだま〉以外の5曲は、リズムはその日のうちに録り終えたんですよ。〈月のことだま〉だけはかなり期間が空いてから最近録ったんです。
 
林:他の5曲を録っているうちは曲として完成してなくて、最後の最後に完成したんで、『じゃあアルバムに入れようか?』って。最初は5曲収録の予定だったんですけど、急遽6曲入りに(笑)。
 
──噂に違わず、本当にマイペースなバンドなんですね(笑)。
 
二宮:そうですね(苦笑)。でも、無理矢理状況を追い込むようには心懸けていました。
 
──誤解を恐れずに言うと、パンクを通過した人、あるいはパンクな心意気を持ち合わせた人が奏でるティン・パン・アレイ的音楽という印象を受けたんですよ。ちょっとフュージョンっぽい佇まいもあり。
 
二宮:特にティン・パン・アレイ辺りのものを意識したつもりはないですね。それに限らず、特に何かを意識するとかもなくなってきてますし。今まで自分が聴いてきたり通 ってきたものが反映しているとは思うんですけど。
 
──ドラムとベースの粘っこい絡み合いに、ソウル好きなニノさんの嗜好が出てると思ったんですよ。
 
二宮:そうですね。スライ(&ザ・ファミリー・ストーン)とかカーティス(・メイフィールド)とかの、あのヤラシイ感じが好きで。ああいうグルーヴを入れたいと思って。
 
──2曲目の〈潮騒〉に顕著ですけど、メロディの転調、展開の激しさに特徴がありますよね。最終的には“いい歌だなぁ”という気持ちが残るんだけれど、ひねりのあるメロディがフックになっていてクセになるというか。
 
林:サビが素直すぎる方向に行くと絶対にイヤだなぁって思うんですよ。一筋縄では行かないところがひょうたんの個性なのかもしれませんね。
 
二宮:余り強引にならないようにはしてるんですけどね。ホントに天の邪鬼なもんで…。
 
奥平:昔はもっと天の邪鬼だったと思いますよ。それをもうちょっと素直な曲にしようっていうか、もっと皆に聴いてもらえるものにしたいと思ってるところなんです。
 
二宮:でも、どうしても素直になってしまえないところが今もあると思うんです。その中でできるだけやってますね。
 
──どれだけ素直じゃなくても、アルバムに収められた曲はどれも恐ろしくキャッチーじゃないですか。
 
二宮:難解で一筋縄で行かないことをやりたがる傾向が多くてですね、メンバー自身もよく判らなくなってることがあるんですよ。それじゃ聴く人は益々よく判らないだろうし、面 白くもないだろうし。それがあって、もっと音楽的なものをやりたいと思うようになったんですよね。
 
──結成から12年経って、やっとその境地に達したわけですね(笑)。
 
二宮:ホントですね(笑)。バンド名を変えた辺りから少しずつそんな感じになっていったんですよ。〈宇宙の傍らで〉はそういうのを意識して作りましたし。
 
──ところで、アルバムが先行発売されるシェルターのライヴなんですが、持ち曲は足りるんですか?(笑)
 
二宮:一応、今までに作った曲はまだいっぱいあるんですよ。それをライヴでできるように。
 
──カヴァーを織り交ぜてみたりとかは? 個人的に是非、キング・クリムゾンをやって頂きたいですが。
 
二宮:やりたいですけどね(笑)。昔、カヴァーしたのは〈Red〉っていうインストなんですけど。
 
林:初めて〈Red〉の音合わせした時はアゴはずれたよね(笑)。
 
長森 洋(坂本商店・代表):じゃあ、シェルターの1曲目は〈Red〉にしようよ。
 
奥平:インパクトありますよね? (二宮に)やろうよ。
 
二宮:そんなことしたらブッ倒れるよ(笑)。…まぁ、前向きに善処します(笑)。
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