ゲストの基準は“自分達のやりたいことをやっているバンド”
——メンバー自身としてはどうですか、一番印象深い回というのは。
平松:うーん、ひとつ選ぶのは難しいなぁ…。
大地:僕はですね、2度目のワンマンだから『Husserliana』のレコ発の時かな。あの時にヤスコちゃん(NAHT)が出てきてくれて。彼女にインカムを借りて“オ~、ソ~レ、ミ~ヨ~”って谷口健と僕が2人で唄うっていう設定で、照明がドラムのところに当たってないから、お客さんが不思議そうな顔してるんですよ。“どっから聴こえてるんだ!?”“誰の声だ!?”みたいな感じで。自分のなかではジョン・健・ノッツォばりのテノールを聴かせたつもりだったのに(笑)。その後に音がピタッと止まって「fOULの水」に入って、アタマのベースが“デデデデデデ…”って始まった時には凄い鳥肌が立ったんだけどね。“ヤッベェ!fOULスッゲェ恰好いいよ!”って(笑)。
——長森さんは事務方サイドとしてどうですか?
長森洋:“砂上”で言えばやっぱり最初のワンマン、fOULのライヴってことで考えれば金沢VANVAN V4でやった時。eastern youthと一緒に廻った時で、みんな酸欠でブッ倒れたライヴ。健ちゃんがチューニングを完璧に外したんだけど、それを学がコードを見事に変えてお客さんに判らないように演奏したんだよ(笑)。
平松:ああ、なんかクソ暑いなかでやったのは覚えてるけど…。
長森:fOULとの付き合いは“極東”の2回目からなんだけど、あれは20000Vから初めてSHELTERに移った時だから“極東”の4回目かな。吉野(寿)に「オヤジ、後は任せた!」って言われて初めてこっちが仕切り始めて。その時に、fOULが「黙示録/apocalypse」を演ったの。俺のfOULはすべてその曲から始まってっから。そこから『A FOULFUL OF...』とか『Dostoevsky Groove』に繋がっていく感じかしら。
平松:じゃあ、近々「黙示録」を演りますよ(笑)。
川上:僕はブッチャーズとやった回が記憶に新しいところですね。そこに居た全員の一体感たるや凄いものがありましたし。
大地:ブッチャーズの時のフライヤーは俺も大好きなんだよね。ブッチャーズとはスプリット盤を出したことがあるにも関わらず、“砂上”で一緒にやるタイミングがずっとなかったんですよね。仲のいいよしみで出てもらうわけじゃないですから。
谷口:僕はフライヤーを自分で描いたりもしてるし、色々と思い出があるんですが…54-71との出会いはなかでも大きいですね。それは川上さんのお陰なんですよ。「こんなバンドがいるよ」って紹介してもらって。“砂上”に新しい息吹を吹き込んでくれた象徴的なバンドだったと僕は思うんです。始めてから10回目くらいからは自分達に自信が出てきて、“砂上”らしいバンドをより強く意識してゲストに出てもらうようになりましたね。
——“砂上”の面白さのひとつとして、ゲスト・バンドの妙というのが欠かせない要素だと思うんですよ。
谷口:そういうふうに取って頂いたら有り難いですね。ゲストにお招きしたどのバンドも本当に自信を持ってお薦めできますし。
大地:ゲストに関しては、谷口健がいろんなライヴに足を運んでるんですよ。そこから音源を聴かせてもらって決めることが結構多いのかな。あとはツアー先でたまたま対バンをして、手応えを感じて出てもらったり。word finderとかそうだったよね。
平松:手水とかロレッタ(セコハン)もそうだよね。これまでに出てくれたどのバンドも絶対的な自信を持ってますよ。他にも、タイミングがうまく合わなくて出演できなかったいいバンドがたくさんいるんですけどね。
——健さんのアンテナに引っ掛かるゲストの判定条件はどんなところなんですか?
谷口:そうですね、自分達のやりたいことをやっているバンド…みたいなところでしょうか。
川上:皆、音楽性はバラバラだもんね。でも、今まで出演してきたゲスト・バンドの音楽性すべてをfOULが内包してると僕は思うんですよ。
谷口:嬉しいこと言ってくれますね(笑)。こうして振り返ると、出演して下さったバンドの皆さんとはやはり何かのご縁だと思うんですよ、これまで全部。
平松:あとやっぱり、SHELTERの西村君であったりこのRooftopであったり、俺らを凄く支えてくれる力があってこその“砂上の楼閣”だと思うんですよね。