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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】54-71 (2003年8月号)- 現段階でのバンドの完成型を描出した蠱惑的作品

現段階でのバンドの完成型を描出した蠱惑的作品

2003.08.01

アメリカのライヴだろうがやることは変わらない

01_2.jpg──曲を作る時は、どのように?

川口:だいたい俺がベースを作ってって、ドラムと絡みを決めて、「何か乗っけとけよ」って。 佐藤:「やれ!」と。だから歌とギターは「へへ~」と。

──そういう力関係が…。

川口:それもよく出たアルバムです(笑)。リズム隊が真ん中押さえて、うわものが虫の触角みたいについてる感じ(笑)。

──でも曲によって歌い方が違ったり…。

佐藤:言われるままに、触覚の役割を(笑)。前衛部隊ですからね。

川口:探ってこい、と(笑)。

佐藤:そういう気持ちでやりました。

川口:ドラムの堀川(裕之)は、ギターとヴォーカルのことを、バカと挟って言ってるからねぇ。

──えっ、使いよう?

佐藤:(笑)でも、うわものって、どんなバンドでももしかしたらそんなもんかもしれないですよ。やっぱリズム隊のほうがクールで…ジーニアス…である必要が……すいません、破綻しました(笑)。

川口:リズム隊はリズム隊で、あそこまでバカになれないなぁ、と。あの2人は何なんだって。

──意外に判りやすいバンドですね(笑)。

川口:そうなんですよ。勘違いされやすい。

──私も、修行僧のような方達かと。でも、ライヴ後の打ち上げでいきなり裸になって、そのままコンビニに買い物に行かれたのを見て、どういう人達なんだと(笑)。

川口:それは、脱いでから何ができるかっていうのが、男としてはテーマじゃないですか。脱ぐことは誰でもできるんですよ、開き直れば。そっから何ができるかだから。

──それはさておき、ライヴでも表現方法が変わってきた気がしましたけど。

川口:この人(佐藤)の場合、悟っちゃったんじゃないですか? (退院後)メンバーから見て、考えない人になってましたね(笑)。

佐藤:毎日TV呑んで…いや違う、TV見て酒呑んでましたから。

川口:前は、深刻な顔して「生きるとは何ぞや?」みたいな感じだったのに。鬱陶しいなぁこいつ、って思ってたのに(笑)。でもメンバーとしては迷惑なんですよね。一人変わっただけなのに、「変わったよね」って言われる。実際このアルバムは、今までより難しいことやってるんですよ。それなのに「バカになったよね」とか(笑)。ドラムと2人でしょんぼりしてるんですよ。

──でも2人の存在感はスゴイじゃないですか。ライヴだと、ドラムは横向いてるし、ベースは後ろ向いてるし。何か秘密があるのでは、と。

川口:いや、秘密も何もないから、ああやってるんですよ。最初は、天の邪鬼な発想でやってたんです。モニター通 さないから、あれが音の通りはすごくいいんです。聴くべき人が、聴くべき音を聴ける。まぁ、ギターとヴォーカルは、別 に聞こえなくても(笑)。

佐藤:ヴォーカル、ホントに聞こえないですから。ちょっとギターがガン! って鳴ると「俺はどこにいるんだ?」って(笑)。

──聞こえないと声を張りたくなったりしません?

川口:そうすると、メンバーからボロカスに言われるんです。「一日何時間練習してるんだ、これぐらい判れ!」って(笑)。

佐藤:「ダセー」とか「死ね!」とか。まだ死にたくないから(笑)。

──(笑)生音って自分達でバランス作らないといけないから、大変じゃないですか?

川口:でも慣れちゃうとそれが一番いいですね。信用できるし。自分が間違ってなければ間違ってない音になるし。あと一番嫌なのが、「モニターが悪かった」とか、ライヴの後に絶対聞きたくない。

──逃げは打たない。男らしいですね。

川口:間違ってるんですかね、このご時世に(笑)。モニターつけたら「スゲーやりやすい」とかなったり(笑)。

佐藤:いきなりワールドワイドなバンドになったり(笑)。

──身軽だから米ツアーもラクだったのかな。

川口:向こうの日本人の人とか手伝ってくれたんですけど、「アメリカは厳しいよ、モニターもないし」とか言われて、「何言ってんの?」って感じで(笑)。

──ツアーの感想は?

川口:日本で最初にやりだした頃と、変わんないですね。取り立ててコケたってこともないし。変に年くっちゃって行ったせいかもしれないけど、やることは変わんないな、っていうのを確信した。

佐藤:どのみち飛び入りみたいな感じで行ったから、誰も自分達を知らないっていう状態で。

川口:逆に、トップクラスに行かないと、ホントに大したことない国なんだな、とも。ひどいですよ、まともに演奏できてるバンドがなかった。ていうか、ライヴハウスの環境が整ってなかったから、下手な人は何やってるか判らないような状態。PAとかないから、よほど曲がいいとかテンション高いとかってバンドじゃないと頭ひとつ出ないな、って。だから、その中で出てくるって、やっぱり凄いんだろうなと。

佐藤:その代わり、低いほうはホンットに低いっていう(笑)。

川口:限りなく低い(笑)。ホントに何もない…PA、照明…ヴォーカル・マイクがないこともあった(笑)。でも面 白かったですよ、行くまで何があるか判らない。

──ていうか、何がないかも判らない(笑)。打たれ強くなって帰ってきたわけですね。

川口:日本にいる時点でも、「帰れ!」とか散々言われてたから。

佐藤:「帰れやぁ!」って言われて、「もうちょっとだけやらせて下さい」って(笑)。

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