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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BEAT CRUSADERS(2002年10月号)- 変態お面集団が織りなすロック博覧強記

変態お面集団が織りなすロック博覧強記

2002.10.01

RUDE BONESとのスプリット・シングル『DIGGIN' IN THE STREET』から間髪いれずに通 算4作目のアルバムをリリースするBEAT CRUSADERS。ニュー・ウェイヴやパワー・ポップのツボを的確に押さえ、消化しきったhidaka節は本作でも不変。araki、thai、umuのヴォーカル曲も収録するなど滋味に富んだこのアルバムについてあれこれ訊こうと思いきや、案の定、ビークル1軍メンバーによるarakiの欠席裁判、エロと妄想が入り混じった与太話と相成ったのであしからずご了承下さい。(interview:椎名宗之)

緊急事態発生! arakiがテニス肘で負傷!しかしバンドは絶好調!

──今度の新作『SEXCITE!』の手応えみたいなところからお訊きしたいんですが。

hidaka:
柔らかかったですね。温かくてマシュマロみたいに柔らかい…ボインのようであり、ボインでないような。MY BLOODY VALENTINEの曲にですね、曲名は忘れたんですけど“雪のように柔らかいけど中は熱い”って曲(「Soft As Snow (But Warm Inside)」)があったんですよ。オレの中ではそんな感じですね。

──何でもドラムのarakiさんが“テニス肘”というアクシデントに見舞われて、全面 的には参加していないとか。

hidaka:オクワキ(ex. CAPTAIN HEDGE HOG)とモリヤス(SHORT CIRCUIT)にヘルプをお願いして。その結果 、リズムが素晴らしく安定して良かったですね。っていうか、“テニス肘”っていう言葉を初めて聞いたんですよ。身の周りにそんなケガをした奴いなかったし、テニス部の友達だっていなかったし。

──arakiさんがいないことによってアルバム制作がはかどったと。

hidaka:そうですね。バンドっぽかったし、何より演奏がしやすかったですね。

──それに逆ギレしたarakiさんがヴォーカルを取る「arakism」なる珍曲が最後に収められてますが。

hidaka: オレたちがブースで歌入れしてる隙に、オレが貸した8トラックのハードディスクをアイツがロビーでガチャガチャいじってたんですよ。宅録ならぬ “ロビ録”をシコシコやってて、『ローズマリーの赤ちゃん』みたいな曲が生まれちゃったんですね。

umu:高い木にあるバナナを猿に棒を使って取らせるみたいな、言ってみれば動物虐待ですね。arakiだから許されてるだけの話で。

hidaka:縁起が悪いから、一番最後の13曲目でちょうどいいかなって。この曲を入れれば収録時間が30分を超えるしね。

──今回の聴きどころは?

hidaka:「arakism」以外は全部かな。あと、今回は曲が長いです。3分以上のが結構ありますよ。頑張りましたよ、今回。ミスター・チルドレン不在の間に“追いつけ! 追い越せ!”で。

umu:ミスチルにあやかりたい!

hidaka:そしてモテたい!

──お面を被ってると難しいんじゃないですか?

hidaka:本物を見られるともっとモテないですからね。

umu:お客さんに幻想を抱いてほしいわけですよ。

hidaka:でも、arakiはお面も素顔も気持ち悪いですからね。素顔は目がちっちゃいんですけど、お面 は直径3センチくらいの丸になってるんですよ、目が。

umu:草食動物みたいに目が凄い離れてるんです。

hidaka:馬とか鹿みたいなんですよね。ナゾの形なんですよ。

──そこまでボロクソに言われて、arakiさんがビークルにいる意義はあるんですか?

hidaka:ないんじゃないですか? なんでいるのか、オレたちも不思議なくらいです
よ。

──今回の収録曲は、大量のデモ・テープの中から厳選されたそうですが。

hidaka:デモはたくさんありましたよ。今回、人生で一番曲を書いたんじゃないですかね。……すいません、ウソです。出来上がった曲から順番に録っていきました。

──そうだと思ってました。その割には1曲1曲がよく練られてますよね。

hidaka:日本人離れしてますよね、BEAT CRUSADERSは。でもオレは本来純粋な邦楽主義者で、普段は東儀秀樹とかの伝統音楽しか聴かないんですよ(笑)。歌謡曲的な展開は音楽として余り興味がありません。

──確かにビークルの音楽には和風な湿り気具合が感じられませんね。

hidaka:だけど白人は嫌いなんですよ。独善的だし、そもそもブッシュが大バカ野郎ですからね。まさにarakiみたいな連中ですよ。araki=白人説があるんです。

umu:アイツはアボリジニのルックスをした白人なんですね。

hidaka:まぁとにかく、日本で音楽をやるからには日本人の方はもちろん、世界中の方にも判って頂けるようなメロディを心がけて今回練りに練ったというわけです。それが“東儀ズム”ですよ。これで布袋(寅泰)の“ギタリズム”にも並んだわけです。

──おっしゃる意味がよく判りません。hidakaさんの音楽アンテナに引っかかる基準は何なんですか?

hidaka:例えばエルヴィス・コステロとトイ・ドールズがどちらもいい曲を出した時に、そこには何の共通 点もないじゃないですか。まぁ、共にイギリス人ってことくらいで。でも、オレは両方好きなんですよ。両方やりたい。要するに聴いた時のパンチ、破壊力ですかね。だから「arakism」も許して入れてあげる。破壊力だけはあるんで。あれには脳ミソや細胞が確実にヤられると思いますから。小さい時に聴いたら恐ろしいトラウマになりますよ。

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