煩悩放出 〜せきしろの考えたこと〜
喫茶店や居酒屋などで近くの席の会話が聞こえてくる。
当の本人たちは笑いながら話しているが、こちらはまったくおもしろくないことがある。
逆に誰も笑っていないが、おもしろいときもある。
おもしろい、おもしろくないは人それぞれなので、特に言及すべきことはない(あるとしたらおもしろいと思わないことを話す人は声が大きく、付随する笑い声も大きいということくらいか)。
ただある日、ふと「笑い」について考えた。
それは1,000円カットの順番を待っているときだった。厳密にはQBハウスだったので1,000円ではなく1,200円なのだがそんなこと今は関係なく、どんな感じに切ってもらおうか考え、それを正確に伝えられるように頭の中で何度も復唱し、そうしているうちに別の髪型にしようかとも考え始め、どんどん収拾つかなくなってきて、もう何も考えずに「どのように?」と訊かれたときに考えていた髪型にしようと決め、他のことを考え始めたわけだが、その際「笑い」について考えたのだ。「笑い」と言っても賞レースに関してとかネタがどうだとかバラエティ番組がどうだとかではなく、「人類は最初に何で笑ったのか」についてである。
人類はどんなとき、何を見て、あるいは何を聞いて初めて笑ったのか?
文献も残っていないだろうし、タイムマシンでもない限り調べようがないので私は順番が来るまであれこれ想像した。
今回はそのとき考えたことを記しておこう。
人類は最初に何で笑ったのか──
①マンモスの形態模写
子どもの頃は先生のモノマネで爆笑したものだ。その感覚が祖先にもあるとしたら、誰かがマンモスのモノマネをして笑ったと考えられる。
②大きな落とし穴を掘ったのに落ちたマンモスが小さい
マンモスを捕獲するために大きな落とし穴を掘ったのに、落ちたのは小さいマンモスだった! そんなギャップで笑ったのではないか。
③落とし穴が小さくてマンモスが素通りした
先ほどとは逆で今度はマンモスが大きく穴が小さいかったパターン。②もそうだが緊張と緩和がそこにある。
④槍がまったく効かない
槍を作って張り切ってマンモスに向かっていったが、まったく効かなかった! 「これは無理、無理!」とあまりにもマンモスが強すぎて笑ってしまったのだろう。
⑤マンモスの肉を焼くとき、火が燃え移って大慌て
今だと笑いの対象にはならないが、原始時代は火が服や髪、髭に燃え移って慌てふためく姿を見て笑いそうだ。
⑥マンモスを焼いたときの匂いが次の日もする
前の日の夜に焼肉を食べて、次の日も匂いがしても現代では笑いの対象にはならないが、原始時代は「次の日も匂いがするぞ!」と笑った可能性もある。
⑦マンモスの肉がなかなか噛み切れない
「おまえ、まだ肉噛んでるのか!」と笑ったとも考えられる。笑って、おさまって、まだ嚙んでることを知って笑って、おさまって……という波があったとも推測できる。
⑧マンモスの骨や牙で作った装飾品が似合わない
似合っていなくて笑ってしまうのは今も昔も同じなのかもしれない。「子どもなのにその装飾品か!」という笑いなどが想像できる。