夢の中で、磐に囲まれた池のそばの芝生の上で、仲間たちと談笑していた。
そこへ通称、“陛下”と呼ばれている男も混ざり、しばし笑い合い、彼が焼き鳥セットをひと箱大事に抱え、黒塗りの大型車で帰ったところで目が覚めた。
友人たちは愛称で、“陛下”と普通に呼んでいるが、自分にはそれができない。
子分でもないし、親衛隊でも近衛兵でもないのに、おれにとってはただの友人であり、そんな大層ではないものに頭を下げたり“陛下”などと呼べはしない。少し前であれば首が何個あっても足りないくらいなんだろうが、コスプレして、“陛下”だ、“閣下”だと遊んでいる奴らはどうでもいいとして、もし映画の中とかであるなら、グレゴリー・ペックではないが、あくまでも役者として、“YOUR MAJESTY”と言えるのかもしれないが、現実の頭脳警察の誕生には大きく関わってくる話でもあり、ただこれも墓場まで持っていかねばならない話であるのが残念でならないが……。