13歳の時だった。むっちゃんという友達がいた。
近所のお金持ちの友達で、彼の家のプールで遊び、寝殿造りのような初代プリンスグロリアが彼の家の自家用車だった。
2階の彼の部屋で、彼の持っている高価な自動車のおもちゃで遊び、庭へ出てはとても高価な金属製のピストルで拳銃ごっこをして遊んでた。
ある日、いつものように2階の彼の部屋で遊んでいると、何事が起きたのかというくらいの足音を立てて、彼のお母さんが部屋に飛び込んできた。
「ケネディが死んだ!」と悲鳴をあげるような声で、むっちゃんと自分に、いまにも崩れ落ちそうな表情で悲痛な目を向けてきた。「そうか、あのみんなに愛されていたケネディ大統領が………」自分も言葉がなかった。
慌ててテレビをつけ、ニュースを見たような覚えがあるが、それはそれは大事件だった。三億円事件、ジョン・レノン暗殺、いろいろな事件が通り過ぎてきたが、よほどの大事件のとき、自分はどこにいたのか、何をしていたのか、昨日のことのように記憶しているものなのだなぁ…と最初に感じた大事件、それがテキサス州ダラスでのジョン・F・ケネディ暗殺事件だったのだった。