PANTA(頭脳警察)乱破者控『青春無頼帖』
表参道の石垣にはいろいろ思い出が詰まっている。いろんなブランドが入る有名な石垣だが、BIGIが入っていたとき、石垣の上にビニールハウスのようなカフェが作られ、当時のモデル、カメラマンなどファッション関係の溜まり場と化していて、自分もその一人だった。
そしてそのまたある日、なんかのデモで機動隊とさんざんドンパチやった後、清水谷でデモは解散。友人と二人で肩から黒ヘルメットを担ぎ、赤坂警察の視線を無視し、右翼だろうとヤクザだろうと何が来ようとお構いなしの意気が上がりすぎた高揚感で青山通りをひたすら歩き、表参道を右折、BIGIのカフェに着き人が囲むようになっている大テーブルにメットを置いてコーヒーを注文、斜向かいの綺麗どころと一緒にいたちょっと見知ったカメラマンが、君たちはさあ、と言った途端に自分の口から飛び出した言葉は、「うるせえ!」。それから静かなカフェに戻ったある日のカフェBIGIを思い出していた♬
1972年2月、浅間山荘事件と重なり頭脳警察1stアルバムはプレス前に発売禁止、急ぎスタジオ録音に切り替えた2ndアルバムは、イスラエルリッダ空港の日本赤軍銃撃戦とぶつかり発売したにもかかわらず個別回収せよ&発売中止勧告。今度は歌詞を、自分が見てもこれはあまりにひどいだろうと書き換えレコ倫に提出、チェック後、原詩でレコーディングを敢行した「ふざけるんじゃねえよ」。そして逆境を逆手に取ったその年、レコード会社からヒット賞を授与されることとなる頭脳警察3rdアルバム。頭もギターも左利きの自分が麻丘めぐみと並んで一緒にヒット賞とは、いかに時代のイタズラとはいえ、洒落が効きすぎてる「わたしの彼は左きき」だったのだ。