電子コミック『夫のためにレズ風俗に行きました』出版を記念し、原作者である「夫婦仲相談所」の三松真由美さんと、本作の取材協力をしたレズ風俗ティアラ大阪店キャストゆうさんのスペシャル対談の場を設けさせていただきました。
(今回、レズっ娘グループスタッフの逢根あまみが、進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします!)
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──最初に、三松さん、ゆうさん、それぞれ自己紹介をお願いします!
三松:こんにちは。夫婦仲相談所で、結婚生活に“不機嫌なシーン”が多くなってきた方々にアドバイスをしており、特に寝室問題を専門としています。直近では、あらゆるジャンルの専門家が、セックスレスにフォーカスした相談に答える、女性専用の匿名相談サイト『オトナのお悩み保健室』というサービスを立ち上げました。また、フジテレビ系ドラマ『あなたがしてくれなくても』の原作コミックの取材協力をしました。
ゆう:こんにちは、ゆうです。三松さん、お久しぶりです! 出版記念の取材を設けていただき光栄です。私は、レズ風俗レズっ娘グループの「ティアラ」の現役キャストです。2025年の時点で17年目を迎えました。講習などのスタッフ業務も兼任しています。
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──早速ですが、今回出版された電子コミック『夫のためにレズ風俗に行きました』の中で、「セックスレス」がテーマのひとつになっていますよね。「セックスをしていない」状態であることは認識しているのですが、定義はあるのでしょうか?
三松:日本性科学会が1994年に定義したところによると、「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアルコンタクト(キス、ペッティング、裸でのベッドインなども含む)が1カ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」を「セックスレス」といいます。
最近になって、30年ぶりに定義が改変され、「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交やセクシュアルコンタクトがいずれも1カ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」とされました。
ゆう:仕事や生活で忙しい人には、難しい場合もあるかもしれませんね。
三松:毎日新聞の医療プレミア特集では、日本性科学学会の阿部輝夫先生が「1カ月セクシュアル・コンタクトのないカップルは、3カ月経ってもしない方が多い」とおっしゃっていて、この意見に賛同します。むしろ、1カ月ないのなら、5年ないと言っても過言ではないと感じています。
ゆう:時間がないこと、忙しさとは別のお話なんですね。
三松:セックスレスは心の問題だけでなく、身体の問題も含まれます。産婦人科や泌尿器科の先生方と勉強会をしながら、メディカル面からも対策を伝えています。もう25年以上相談所を続けていますが、時代が移り変わっても、寝室問題の悩みの本質は変わっていないと感じます。
──『夫のためにレズ風俗に行きました』の作中でも、主人公が抱える心身の悩みが描かれていました。セックスレスによる夫婦仲トラブルの解決、そしてトラウマを乗り越えるためにレズ風俗の利用を決意しましたよね。実際、ゆうさんとお会いするお客様で、セックスやセックスレスに悩んでいる方や、解決のために利用する方はいらっしゃいますか?
ゆう:私の体感としては、パートナーがいるお客様の半分くらいが、セックスレスやパートナーとのセックスがうまくいかないといった悩みをお持ちですね。ここまで多くの女性が、セックスの悩みを抱えているとは思っていなかったです。パートナーとのよりよいセックスのために、カップルコースでお二人で来られる場合もあります。キャストと女性のお客様がプレイするところを男性に鑑賞していただきます。キャストたちのプレイをカップルで鑑賞する「カップルコース2」というのもありますよ(いずれも男性は鑑賞のみ)。
夫婦仲を良くしたいという思いから利用されてるんだと知れば、俄然力が入ります。「よし、この夫婦をなんとかしてあげたい!」と気合いも入りますよ。
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──パートナーがいる人の半分くらいが、何らかの悩みを抱えている……ということで、その後、悩みが解消されたという報告をお聞きすることもありますか?
ゆう:何度か逢いに来てくださり、その後の経過や結果報告、自分の変化なども伝えてくださる方もいますよ。お互いの素性をほとんど知らない間柄で、普段出逢うことがない、そして女性同士だからこそ、伝えやすいのかもしれません。秘密の友だちみたいな、遠いようで近い“ナイショの関係”だからこそ、全てをさらけだすことができるのかもしれませんね。三松さんの相談者で、レズ風俗をはじめ女性用風俗を利用されている方はいらっしゃいますか?
三松:相談者さんではいません。女性用風俗(※男性セラピストによる女性への性的サービス)も活性化しているように見えますが、ハードルが高いと思っている女性はまだまだいます。「『ジョフウ』っていうドラマで観たから、わたしも予約しよう」とはなかなかならない。
ゆう:三松さんから見て、セックスに悩む女性が、レズ風俗を利用することのメリットはどんなところにあると思われますか?
三松:セックスは気持ちだけではできません。気持ちと連動させてカラダも動かす。「セックスでご機嫌になれる!」そんなカラダは、意識しないと作れません。ご機嫌なカラダを作る応援をレズ風俗キャストさんはしてくれます。もともと、男性に対して苦手意識がある方もおられると思います。レズ風俗はそんな方の気持ちにも、ゆうさんがおっしゃられたように「女性同士」ならではの波長で寄り添い、問題解決の一助になってくれるのかもしれません。
セックスやセクシャルコンタクトに対して「怖い」「痛い」「汚い」など、ネガティブなイメージを持っている方は、「気持ち良くない」「つまらない」「こんなことするパートナーを嫌いになりそう」となっていきます。つまり、パートナーのために「仕方ないからする」という、本来の目的からかけ離れたセックスになってしまいます。まず、怖い・痛い・汚い・つまらないというマインドを塗り替えなければ、パートナーをもっと好きになるようなラグジュアリーなセックスを体感することはありません。
セックスをせずに生きてゆくのか、上質なセックスに改変するのか。その選択は個人の自由です。ただ、夫婦仲相談所に来られる、あるいはわたしの著書や記事を読んでしまうという時点で後者が気になっていると推測できます。
ならば、自分の性の世界観を広げたほうが、パートナーとの関係性も良くなるだけでなく、自分もハッピーになれると思います。世界観を広げるという意味で、レズ風俗は心強い味方になってくれます。
男性に対して苦手意識のある方、セックス自体に興味がない方こそ、その世界観を思い切って広げるためにも、レズ風俗という女性同士の秘密の時間を持ってみてもいいのではと思います。
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──カップルコースのようにパートナーと一緒に利用される場合はあるかと思いますが、パートナー公認で女性のお客様単体で利用される方もいらっしゃいますか?
ゆう:自分だけで楽しみたいという方ももちろんいて、「旦那に言ってきたよ〜」とか、彼氏・彼女に伝えてるんだっていう人もいます。最近耳にする、オープンリレーションシップですね(※パートナーがいるが、そのパートナー以外の人と恋愛関係や性的関係を持つことをお互いに合意している関係のこと)。「ちゃんと伝えてるんだからやましいことはしてない!」って胸を張って逢いに行けるという点では、ある意味で安心なのかもと思いますね。秘密は持っててもいいけど、大切な人にバレたあとに何か大変なことになったら、取り返しのつかないことになってしまったら、私も悲しいので……。
三松:風俗の利用をオープンにすることによって、そのジェラシーでマンネリを防ぎ夫婦関係に刺激を与え、QOL(Quality of Life)が上がるのは良い点です。
しかし、男性と女性でその感覚は違います。外のパートナーが夫よりもラグジュアリーなセックスをしてくれると、恋愛感情を抱いてしまい、心まで持っていかれることがあります。女性用風俗でも「お客がセラピストにガチ恋してしまう」というアクシデントは少なくありません。そうなると、一時的なマンネリ防止にはなりますが、夫が嫉妬深い性格だった場合、外のパートナーを憎んでしまう。日々の暮らしの中で「憎い人」を増やすことは精神面でよくありません。
マンネリ防止で刺激を与え、QOLが上がったとしても、「憎い人」が増えるとQOLは下がる。どのバランスを重んじるか。そのバランスの取り方をわたしは「セックスライフバランス」と名付けました。
オープンリレーションシップを試みる場合、予測可能なリスクを回避することが重要です。オープンリレーションシップの相手がレズ風俗(女性同士)なら納得できるのか? 「相手は女性だから、ヤキモチ妬かないでね」というセリフがどこまで通用するのか? そこは、個々の持つセックス観によるので、正解はない気がします。
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──最後にお二人に質問です。「セックスレスにレズ風俗は有効ですか?」
三松:セックスにネガティブな印象をお持ちの方には有効です! ああだこうだと、行かない理由を並べ立てるより、まずは体験してみることが大事だと思います。体験数が増えるほど自分の性の世界観は広がります。性についての体験は、チャレンジ精神が必要とは思いますが、「百聞は一見にしかず」という素敵なことわざが我が国にはあるではありませんか!
ゆう:とても有効だと思います。肌と肌でしっかりと確かめ合える場所や、相談できる場所、教えてくれる場所としてレズ風俗は必要だと思います。現在も、教えてほしいと夫婦やカップルで逢いに来てくれるお客様は絶えません。それほど深刻な悩みなんだと思います。
だから、いつでも相談できる、話しやすい場所として、もっと気軽にレズ風俗を利用していただけたら嬉しいですね。利用しない理由より、利用する理由をたくさん作ってみてください。
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原作・三松真由美先生、漫画・白井くま先生による電子コミック『夫のためにレズ風俗に行きました』(KADOKAWA)は、コミックシーモア、めちゃコミ、まんが王国、Kindleなど各電子書籍サイトにて好評配信中です。
本作では、レズ風俗レズっ娘グループ代表の御坊と、ティアラ大阪店在籍の現役キャストゆうが取材協力をさせていただきました。
作品の詳細はこちらをご覧ください。
【ゆう プロフィール】
永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025