私は、女性が好きなんだ、と気づいてすぐにレズ風俗でお仕事をはじめたわけではありません。レズ風俗という世界があることも、まだ知りませんでした。そこからどうしてキャストとなり、12年もお仕事をつづけることになったのか……についてはまた別の機会にお話しましょう。
それよりも、レズ風俗では毎日どんなことが行われているのか、気になりますよね!? 私が所属する「レズっ娘」グループでは、デートコースとビアンコースが基本です。デートコースは文字どおりですが、ビアンコースって? ホテルなどでふたりで過ごし、裸になって、ふれ合う時間のことです。
レズっ娘グループのお客様は、女性同士でふれ合った経験がない方のほうが多いです。男性との経験がない方もいらっしゃいます。その方の“はじめて”に、私たちのお店を選び、私を指名してくださったことをとても光栄に思います。
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女性の体にふれてみたいーー女性なら誰でも一度は、そう思うのではないでしょうか。自分と同じかたち、やわらかさ。ふれてみたい、感じてみたいと望むほうが自然だと私は思うのです。
女性にふれることは、同じく女性である自分の体を知ることでもあります。人と人は、常に対極にいるもの。相手を知ってこそ、自分を知ることができる。そんな気がしています。
女性同士でふれ合うのはレズビアン、ふれ合わないのはノンケという話になりがちですが、そうした垣根のようなものを作るよりもずっと手前にある欲求であり、好奇心ではないかとも思います。
そう思い予約をしてみた……まではいいのですが、実際その場になるとどうしていいかわからない、という方が大半です。
はじめてお逢いするときは、私も緊張しています。待ち合わせ場所に向かう道のり、あなたはどんなことを思って逢いにきてくれるのだろうかと想像します。そして、あなたを見つけます。心臓が破裂しそうなほど速く打っているのが、その姿からもわかります。
そこからホテルにいくあいだ、お話をします。外でも会話できる程度の内容について言葉を交わしながら、10分から15分ほど一緒に歩きます。少しでもあなたのことを知りたいのです。このあとの時間を、あなたにとって最良のものとするために。
ホテルに到着して部屋に入ったら、室内を整え、落ち着いてもらうためにドリンクを注文して、またお話をします。言葉やちょっとした仕草から伝わってくるあなたの人柄を、つかみ取りたいと思っています。
どうして、ここへたどり着いたのか?
いま、どんな心境なのか?
予約するときに「伝言欄」というのがあり、何をしたいのか、どんなプレイを求めているのか、またはどんなことはしたくないのかを事前に伝えてもらうことができます。たくさん書かれる方もいれば、空欄という方もいらっしゃいます。
どちらにしろ、いざベッドに入ると、何をしていいかわからず固まってしまいます。恐怖すら感じているかな、という面持ちで。
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それも当然だと思うのです。知らないから、体験したことがないから、知りたい、体験したいと思って、今ここにいるのです。それは緊張しますよね。未知のことを前に固まっている姿は、愛おしくもあります。見ていると私のなかに、あなたの恐怖を取り除きたい、そして愉しんでもらいたい、という欲求がふつふつとわいてきます。
なので、私から手を取り、誘導していきます。
「こうやって触ってみるね」「こっちは、こんなふうに」
心身の緊張をといて、一緒に感じてもらうために、ゆっくりと。
時間をかけるのは、大事なことを見落とさないためです。やさしくふれ合うことの喜びを、はじめてのあなたにもじっくりと味わってほしいんです。
徐々に熱くなっていくのを感じます。
体も心も、ほぐれてきたということですね。
言葉は交わさなくていい。
体での会話を愉しんでいきます。
お客様は、不思議がったり、びっくりしたりされたりの連続です。
こんなふうに触るんだ!
こんなにやさしくふれられたことない。
……感じたことをダイレクトに伝えてくれます。
そして、「私にもできる気がする」と、自分が"ふれる"側になることに興味を持ちはじめます。
これが、第一歩なんですよね。
キャストはひとりひとり、どんなプレイならOKなのか、NGなのかをお店HPのプロフィール欄でお知らせしています。道具などを使ったオプションの有無も書いてあります。その範囲内で、思うようにふれてみてください。
レズビアンの世界は、「タチ」「ネコ」「リバ」といった用語があります。詳しくはまたいつかお話したいと思うのですが、私のプロフィールは「中性リバ(タチ寄り)」となっています。ルックスは中性的で、ベッドでは攻めるのも受けるのもどちらもできるけど、どちらかというと攻めるほうが得意、という意味です。
自分がどちらなのか……絶対に決めなければいけないということはありませんが、ふれ合うなかで方向性は見えてくるかもしれません。お客様にとってキャストとのふれ合いは、自分自身を確かめる大事な通り道になるのだと思います。
もちろん、最初から「女性に触ってもらいたかったです!」「ふれてみたかったです!」と積極的なお客様もいます。好奇心全開という感じで、とてもすてきです。
どんな形でもいいのです、一度利用してあなたが探しているものを見つけにきてください。
……つづきは、また次の夜にここで逢ってお話しましょう。
ゆう:永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。 https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025