レズ風俗キャストゆうの 「寝る前に、すこし話そうよ」
はじめまして、レズ風俗キャスト「ゆう」です。
レズ風俗という世界を知っている人も知らない人も、はじめまして。ゆうです。大阪にある「レズ鑑賞クラブティアラ」というお店のキャストです。
女性とデートをしたり親密なお時間を一緒に過ごしたりするコースのほかに、女性同士のプレイをいろんな方に観てもらうコースもあります。いろんな方というのは、女性単独、男性単独、カップル……ほんとうにいろいろですね!
私はこの仕事を12年間つづけています。ティアラというお店の歴史と、ほぼ同じです。そのあいだに出逢った人たち、体験したこと、感じたこと、そして現在の、これからのレズ風俗について思うこと……などを書きつづっていきたいと思います。眠りに落ちる前のほんのひとときを、私にください。おしゃべりしているような気持ちで読んでくださるとうれしいです。
* * *
まずは何からお話しようかなぁと悩んだのですが、「いつから女の子を好きになったの?」ーーこれからいきましょう。というのも、とてもよく質問されるのですよね。
私が女性を意識するようになったきっかけは、同級生の女の子からの告白です。
クラスは、違いました。すごく仲がよかったわけではなく、いつも一緒のグループにいるわけでもなく。ときどき言葉を交わす程度のつき合いで、親切な子だとは思っていました。学校にいるとき視線を感じてふり返ると、しょっちゅう目が合う。不思議だなと感じていました。
彼女は、物静かな女の子でした。人見知りする性格のようで、学校ではあまり目立たないタイプでした。ちょっと病弱だったのかな。
ある日、下校する私をその子が待っていました。
教室の前で「一緒に帰ろ」といわれたときは、ちょっと驚きました。私は彼女の家がどこにあるかを知らず、帰り道が同じ方向なのかどうかもわかりませんでした。でも「ちょっと話があって」といわれると、断る理由もありません。
きっと好きな男子の恋愛相談か何かだろうな、と思って私は並んで歩きはじめました。なんだか妙にもぞもぞしていたけど、恋愛相談だと思い込んでいる私は、あえていつもと同じテンションで話しかけました。
ひと通り何気ない会話をしたあと彼女は突然、「あのね。あのね」とくり返すようになりました。何なの? と聞いてみると、
「好きなの……」
と小さな声で伝えてきたんです。聞き間違ったかと思いました。いえ、本当はわかっていたんです。彼女の目は、ほかのクラスの女の子たちが好きな男の子の話をするときの目と同じでした。でも念のため、聞き返しました。すると、
「恋愛感情として、○○ちゃんが好きなの!」
と恥ずかしそうに告白してくれたんです。○○というのは、私の本名です。勇気を振り絞ってくれたのがわかりました。
そのとき私は、頭が真っ白になり、何も考えられませんでした。ただ、思ったことは、
(この子との友だち関係を終わらせたくない)
ということ。だから、
「私は友だちでいたいんよ」
と答えたんです。ほとんど、即答していました。
その子にとってそれは、告白を断られたも同然だったのでしょう。悲しい目で私を見て、笑いながら謝っていました。「ごめんね、ほんとごめんね」と。
……このときもっとじっくり彼女の話をきいてあげればよかった。いまではそう思います。私が即答しなければ、彼女はきっともっとたくさんのことを伝えてくれたはず。
*
そして月日が経ち、学生時代を終えた私は夢に向かって、夢だけを追って、がむしゃらに毎日を過ごしていました。友人たちが社会人になっていくなか、私にはどうしても叶えたい夢があったんです。それにできるだけ多くの時間を割くために、時給のいいアルバイトを常に探しました。ノルマのきついバイトや、ストレスの多い現場で働いたこともあります。
そんななか、いつの間にか忘れていた女性への関心を思い出すことになったのです。
当時私の周りにはなかなかいなかった大人の女性と出逢いました。歳は10歳ほど離れていました。
その夜、私はちょっと大人な気分を味わいたくて、知り合いとふたりで高級感のあるバーで飲むことにしました。お酒が弱かった知人は終電で帰り、私はひとりで心細くもあるけれどもう少し飲みたくて残りました。もう1杯、カクテルを注文しました。お金のない時期でしたが、ちょっと背伸びをしたお値段のカクテルでした。
そのとき少し離れたカウンターに座っていたのが、その女性です。ここでは彼女の名前を、仮にタカコさんとします。
……つづきは、また次の夜にここで逢ってお話しましょう。
ゆう:永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。 https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025