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COLUMN

7回「シンプル」

第27回「シンプル」

2021.12.08

異次元の常識 text by ISHIYA(FORWARD / DEATH SIDE)
 

地球を壊すのか壊さないのか? 同種で殺し合いをするのかしないのか?

 
 2021年10月に行なわれた衆議院選挙での争点のひとつに環境問題があった。
 与党である自民党の環境対策はお世辞にも褒められたものではなく、選挙日と同じ2021年10月31日から開催された、イギリス・グラスゴーでの「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議」通称COP26における演説で、日本の岸田首相は焦点である石炭火力については一切触れず、「火力発電がアジアにも必要だ」としてアンモニアや水素を石炭に混ぜて燃やす技術を開発すると強調したという。(しんぶん赤旗日曜版 2021年11月21日号)
 COP26では、COPの決定として石炭火力や化石燃料補助金の削減を加速させることを呼びかけたのにもかかわらず、日本は世界の流れとは逆行し、国際NGOから「化石賞」を送られてしまうなど、環境への配慮とは程遠い国であることを世界にさらけ出した。
 
 一方、野党共闘政党である共産党では、脱石炭火力によるCO2削減を訴え、最大のCO2排出量である石炭火力発電所維持政策の見直しを政策として掲げていた。
 脱石炭火力となると、どうしても原発推進になると考えてしまいがちだが、脱原発政策を掲げる共産党やれいわ新選組、社民党などの政党であれば原発を推進することは皆無であると信じられる。
 しかし現実的に、現在の電力使用においていきなり全てを自然エネルギーで賄うことは不可能であるだろう。即座に脱石炭火力となれば、原発に頼らざるを得ないのがこの日本という国がやってきたエネルギー政策なのではないだろうか。
 
 この地震大国・日本で原発はもってのほかであることは自明の理であるが、石炭火力発電も地球環境への影響が深刻な上に、自然エネルギーは実用にはまだ程遠い。徐々に自然エネルギーへの変更は必須であるが、自然エネルギーへ移行するまでの期間にはどうすれば良いのだろうか。
 2021年11月29日現在の東京では、やっと秋も深まり寒さを感じるようになってきてはいるが、筆者が子どものころより確実に気候や気温はおかしくなっている。
 一般市民レベルの感覚でも、つい先日の11月頭までは半袖で過ごせている程の高温であったし、近年の土砂災害を引き起こす豪雨などは、確実に気候変動の表れであると気づいている人間は多いはずだ。
 電力供給のエネルギー政策に対して、各政党の政策を知り、投票行為で意思を示すのは言うまでもないが、現実的に一般民間人が環境問題においてエネルギー問題を解決するのは困難である。
 
 ではどうすれば、一般民間人でも地球温暖化を防ぎCO2削減に貢献できるのだろうか。
 2021年3月25日にAFP通信が伝えたところによると、欧州連合 EUの共同研究センターである“JOINT RESEARCH CENTER”が主導した調査では、世界中で人為的に排出される温室効果ガスの3分の1は「食」に関係しているという。
 土地開墾、森林伐採、肥料の使用、家畜、食品廃棄物などが要因となり、世界77億人の需要を満たすための食料システムから温室効果ガスが排出されているようだ。
 食から排出される温室効果ガスの約半分がCO2であり、その中の3分の1がメタンガスである。牛のゲップや家畜の糞尿から排出されるメタンガスは、2019年度の日本のメタンガス排出量で見ても35%とかなりの比率である上に、一般民間人が環境問題の中で貢献できるのは、この分野が一番シンプルで効果が大きいと思うのは俺だけであろうか?
 地球上の陸地の25%、4分の1を占めるものが家畜の餌を含めた肉の生産であり、地球上でもっとも土地を使用しているのが工業型畜産である。この事実から見えてくるものが森林伐採であるのが明白だと分かっていただけると思う。
 家畜の餌があれば世界の貧困が救えるほどの穀物生産量であり、家畜を大量に育て消費することで起こる現実に目を向けてほしい。
 近年の土砂災害の多くは、異常気象による豪雨によるものであり、世界の森林伐採が気候変動に大きな影響を与えている。
 1kgのステーキには25kgの穀物と、約15,000リットルの水が必要であり、ハンバーガーひとつに必要な水の量は3カ月分のシャワーで使う水の量に匹敵する。
 大気汚染の原因が、上記の石炭火力や自動車の排気ガス、工場などによる汚染だと思われているが、実際には食物生産で排出されるPM2.5によって、アメリカでは年間約16,000人が死んでしまっているという研究結果が「米国化学アカデミー紀要」にも発表されている。
 この結果では、食物以外にも皮革、羊毛などの生産も大気汚染による死者数増加の要因として挙げられており、どれだけ家畜を育てることによって大気汚染と自然破壊があるかが分かるだろう。
 海洋プラスチック汚染問題でも、ペットボトルやレジ袋などが原因として挙げられているが、日本の経済産業省の調べにおいても海洋漂着ゴミの中で44.5%を占めているのが漁業に使われている漁具である。ペットボトルなどのボトル類やポリ袋、プラスチック製のストローやフォーク、各種容器を合わせても14%だというところを見ても、漁業における海洋汚染は深刻な問題だと分かってもらえるだろうか。
 そしてアメリカ疾病管理予防センターの発表では、新しく発生する感染症の4分の3が動物からであるという。そのうえ動物性たんぱく質の需要増加は、パンデミックを増加させる大きな危機だと、世界保健機関、国際食料農業機関、国際獣疫事務局が警告している。
 また感染症の大きな原因のひとつに、森林伐採がある。森林伐採により自然動物たちの生息地が減り、動物間の接触が増えた上に、工場制畜産の過密な動物飼育によって、感染症が引き起こされる要因となる場合もある。
 
 人間の「食」への欲望や欲求で、ここまで地球環境が破壊されている。欲望のために住処を破壊し尽くして、生命維持を困難にする地球環境の破壊を選ぶのか?
 俺はバカで学もない。だからバカでも分かるシンプルな理由でしか生きていけない。しかし感情があり、苦痛を感じるヒト科の動物である。
 今現在の俺は、同じ苦痛を感じる脳や中枢神経の通ったヒト以外の同種である動物を殺し、みんなの住む地球という星の環境を破壊する行為に加担するのを「極力」生活から排除している。
 幸い今のところ、飢えることもなければ美味しいという感覚も楽しんでいるし、寒いや暑い、おしゃれを楽しむといった衣服に関する感覚も全く我慢せずに生きている。
 同種の殺害行為や環境破壊をしないように極力気をつける行動をしているために、家庭から排出される環境汚染物質も自然と減らすことができている上に、身体も健康になっている。
 そのため医者や薬に頼ることも少なくなり、動物実験されている薬を使用することもほとんどない。
 あくまでも「俺はこうしている」という例なので、あとは各自がどうすれば良いか考え、実行するだけだ。
 地球を壊すのか壊さないのか? 同種で殺し合いをするのかしないのか?
 シンプルに生きたいね。
 俺は殺し合うよりも愛し合いたいよ。
 
JUDGEMENT.jpg
「シンプル」JUDGEMENT
 
ヘイあいつらも この狂った街でシアワセ探している
せっまい通りでハダよせシワヨセ 今日を探しているのさ
自分の仕事やコイビトのコトうじうじなやんでいるみたい
ぜんぶウソさ本当さウソさ 今すぐ笑いとばせ(だけど)
 
シンプルでありたいのさ
シンプルがあるだけなのさ
 
ああこの街の空の上 とうとうまばゆい光が
全ての生き物の命が 原子のチリに分解される時
その時もテンパッタあいつ うじうじなやんでいるみたい
その時もテンパッタあいつ 眠れず自分を探してる(だから)
シンプルでありたいね
シンプルがあるだけなのさ
シンプルでありたいね
シンプルに生きたいね
 
ex-愚鈍、ex-BASTARDのZIGYAKU、ex-DEATH SIDEのMUKA-CHINら結成されたJUDGEMENT。「シンプル」は2000年9月にHG Factから発表した『JUST BE...』に収録。本作のボーカルはex-LIP CREAMのJHA JHA(JHAJHA IWAKI)、ベースはex-SCREAMING HOGのさくら。
 
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。
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