先日、TV番組『旅猿』を観ていたところ、メキシコ訪問中の東野さん&岡村さん(2人とも適度にイジワルなのがこの番組の醍醐味!)の眼前にマリアッチ(メキシコ特有の祭りや結婚式、記念日などで演奏する小楽団)が登場し、懐かしの名曲「ラ・バンバ」を熱唱していました……ヒスパニック系ロックンローラーのリッチー・ヴァレンスの大ヒット曲ですが、同名映画がヒットしてからは、カヴァーしたロス・ロボスの代表曲として認識されていますね……というわけで今回は、個人的にも注目度の高い南米音楽をルーツに持つロス・ロボスを考察してみましょう!
LAのハイスクールに通うメキシコ系アメリカ人の同級生によって結成された彼らは、そのルーツに準じたトラディショナルなメキシコ音楽……アコギと共にマンドリンもかき鳴らす陽気なマリアッチ的お祝い楽団……だったのですが、メジャー・デビュー前にプロデューサーとして関わったT・ボーン・バーネット(自身もミュージシャンとしてボブ・ディランのバックを務めたり、ロイ・オービソン、エルトン・ジョンなど数々のアーティストのプロデュースも手がける)の助言もあって、マリアッチ・スタイルにロックンロールをミックスすると……これがまた当時、商業的な音楽ばかりでうんざりしていた80年代の音楽業界人に異常に受けて、まずはマニアックな支持や、ミュージシャンズ・ミュージシャンとしての評価を確固たるものにするのです。そこへタイムリーに、前述のリッチー・ヴァレンスの伝記映画『ラ・バンバ』が公開され、主題歌を手がけたロス・ロボスは世界中で大ヒット! ここ日本でもいまだにTVやラジオで頻繁に聴かれるぐらい、ワールドワイドな成功を手にします。
普通ならここで成功のプレッシャーに負けてバンド崩壊か、似たような曲を連発して飽きられるのですが……ロス・ロボスは音楽的チャレンジの手を緩めませんでした。新たにプロデューサーとしてミッチェル・フルームを招聘……スザンヌ・ヴェガやバングルスなど主に女性アーティストのプロデュースで成功していた彼は、どちらかと言うと暗く生々しいサウンド作りに長けていたので、ロス・ロボスとのコンビネーションがどうなるのか疑問が持たれていましたが……結果は大成功! ロス・ロボスの持つアコースティックなテイストがより生々しく、そして祭りの後とでも呼ぶべき哀愁、ハレとケを巧みに使い分けた楽曲は新たな魅力を発揮し、ワールドワイドにセルアウトしてしまったというロス・ロボスの印象を一変させ、再びマニアックなファンを呼び戻すことにも成功したのです! 今でこそリッキー・マーティンやシャキーラなど南米のアーティストは世界的に知られていますが、その先陣を切ったロス・ロボスのチャレンジ精神は、今後より高まるでしょう。
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/