Text:絵恋ちゃん
「SNSに疲れたらどうしたらいい?」
もう何年も会ってない、学生時代のお友達からの突然のLINEでした。くわしくお話を聞くと、お友達はどうやらバイト先でアイドル店員のような立ち位置にいて、SNSの運用をまかされているそうです。そんな中で、「いいね」の数が気になって頻繁に確認したり、些細なことで悩みすぎてしまって、地下アイドルをやっているわたしに相談してきたようです。お茶でもしたほうが気分転換になるだろうと思い、「今どこに住んでるの? 行くよ」とすぐに会いに行くことにしました。
彼女は東京の外れに住んでいて、わたしが住む千葉県ニャンニャンランドからは少し遠かったのですが、不謹慎ながら急な小旅行に胸が躍りました。「わたしがやばい時はいつも駆けつけてくれるね」と言われ、たしかに学生の頃、彼女が失恋したと泣いて電話をしてきた日にも同じようにいきなり押しかけ、ただ一緒にラーメンを食べたことがあったなあ、と思い出しました。わたしは「そんなの当たり前でしょ、友達なんだから!」とかっこよく返信して、本当はアクシデントに目がなく、この状況にわくわくしてしかたがないということを悟られないようにしました。
久しぶりだったので多少緊張感もありましたが、会って話せばすぐに学生時代のノリに戻り、楽しい時間を過ごしました。お茶するだけの予定が、わたしが初めての場所にはしゃいでしまい「あっちも行ってみていい!?」とあちこち歩きまわりました。もの珍しさでSeriaでプラ板を買ったりしましたが、よく考えたら千葉にもあります。そんなこんなで夢中になって散策していると、ショッピングモールの一角に雑貨屋さんの在庫処分市を見つけました。
「見て! ゴミばっかり!」「ほんとだ! こんなのいらないよ! さすが売れ残り!」
わたしたちは盛り上がりながら一点一点見てまわりました。その時です。わたしはハッとして、乱雑に積み上げられたゴミの山から一つを手に取りました。不思議そうな顔でお友達がこちらを見て「どした?」と言いました。
「これ、わたしのグッズだ………。」
さっきまでの笑顔が消え、空気が変わりました。売れ残った絵恋ちゃんのオリジナルグッズと再会してしまったのです。デザインもかわいく、アイドルファン以外でも使いやすいと評判だったトートバッグです。なぜこんなところでOPP袋にも入れてもらえず、大量のゴミの中でしおれているのでしょうか。バッグにプリントされている「普通が遠い」と泣き叫ぶイラストが、いやに説得力を持ってしまっています。お友達は気を遣いすぎたのか「わたしが買おうか?」と謎の提案をしてくれました。こちらも気が動転して「いや、いいよ。わたしが買うから」と言い静かにレジに持って行きました。
SNSも、グッズも、誰かの思いが乗っかって日々生み出されています。誰かにとってはゴミに見えても、誰かにとっては宝物なのです。売れ残りコーナーでゴミみたいな商品を見かけても、いらねえ〜と笑ったりするのはやめましょう。良くないです。わたしはしません。そして、その日以来、お友達のSNSをわたしはこっそり特定して、時々見ています。一つ良かったのは、オリジナルグッズがゴミ化した人間を目の当たりにしたことで、自分の悩みなんてたいしたことないとお友達が元気を取り戻してくれたことです。わたしは逆に、「いいね」やフォローの数を気にする人もいるんだなあと気付かせてもらいました。わたしは気にしたことがないですし、とくに気にする必要もないと思います。
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