Text:絵恋ちゃん
皆さま、新年明けましておめでとうございます! 地下アイドルの絵恋ちゃんです。今年も、「今年からはしっかりする!」と1月に誓い、それだけでしっかりした気になって昨年と変わらない感じでやっていきましょう。
年末に大掃除ができなかったので、最近になってようやく大掃除という名のお部屋をかえって散らかす大散らかしをしていたら、昨年のお正月にファンの方にいただいた年賀状が出てきました。そこには「ルーフトップのコラム本当に大好きです! これからも楽しみにしてます!」と無邪気な応援メッセージが書いてあり、コラムかあ、そんなものもあったなあ…と思い出して申し訳なくなりました。そんな理由で、更新が止まっていたコラムと久しぶりに向き合っているわけです。今のところ大変しっかりした1年の始まりです。今年もわたしのしっかりした地下アイドル活動と、しっかりしたコラムをよろしくお願いします。
寒い日が続きますが、皆さまはどんなことでお体をあたためていますか? わたしはもっぱら、ゆずです。うちのお庭にはゆずの木があります。冬になると実ったゆずを使って自家製ポン酢でお鍋を食べます。冬至にはゆず湯に入ります。入っていたのです。一昨年までは。
一昨年の冬、いつものようにお鍋用のゆずをとりにお庭に出ると、例年より木に生っているゆずが減っているように感じました。そんな年もあるんだなと深く考えず過ごしていると、ある日、玄関のチャイムが鳴りました。なんか宅配あったっけ、とぼんやりドアを開けると、見知らぬ女の人が立っていました。女の人はわたしをまっすぐ見つめ、駄菓子を差し出して言いました。
「ゆずね、とてもおいしかったわ。ありがとう。」
一瞬なんのことを言っているのかわかりませんでした。そもそもわたしはこの人を知りません。そうです。ゆず泥棒です。ゆず泥棒がお菓子を持って直々にお礼を言いに来たのです。
「いただけません。うちのゆずを食べたということですか?」
そう聞くと、相手は突然大声を出しました。
「ずっとそのままにしてたらゆずがダメになっちゃうじゃない!」
ゆずの行く末を心配してくれたようです。だとしても泥棒です。ゆず泥棒は怒って帰っていきました。
そんなことがあったので昨年は警戒していましたが、やはりまたやられました。ある日家に帰ると、ゆずの木がもはや何も生ってないただの木になっていたのです。全部残らずです。相手にしてみれば、ご挨拶も済ませたし大胆にいくかという感じだったのかもしれません。いくらなんでも大胆すぎます。木の下にはきれいに折り畳まれたビニール袋が一つ落ちていました。ゆずを入れるつもりだったのでしょう。何枚持ってきたかわかりませんがやる気満々です。泥棒の域をこえて収穫です。
毎年楽しみにしていたゆずポン酢が作れないことにかなしくなり、殴り書きで玄関に「ゆず泥棒はおやめください」と張り紙をしました。でも、よく考えたらもうすべてのゆずはなくなっているのだから、ゆず泥棒はしばらく来ないと思います。そう気づいて、次の日に紙を剥がしました。
ゆず泥棒についてはコラムに書くかしばらく迷いました。もしゆず泥棒がこのコラムのファンだった場合、私信だ! と彼女を喜ばせることになってしまうからです。ゆず泥棒、読んでいますか? ゆず泥棒はおやめください。
このコラムは1年前の2022年の1月に書き上げていたものの、1年間ルーフトップに送ることを忘れていたものです。若手アーティストの「そんなもんかい? 紅白!」の煽りを見た時くらいお外が冷え切っている今日この頃ですが、皆さまはどんなことでお体をあたためていますか? わたしはもっぱら、ゆずです。昨年はゆず泥棒が来る前にゆずを収穫し、最近は大変しっかりした毎日を送っています。今年もわたしのしっかりした地下アイドル活動と、しっかりしたコラムをよろしくお願いします。今年からはしっかりします!
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