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編集無頼帖

明日の行方を誰が知ろ

2020.08.11

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総合的に判断してもはやお盆の帰省は難しいと思っている。いわんや札幌をや。まあ、どうせ仕事なんだけど。
このままだと秋の義母の三回忌にも参加できそうにないかも。
地方の声。東京から来る人とは接触したくないとか、気持ちはわかるけど言われると悲しいもんだよ。
夜の街と言うけれど、じゃあ昼の街や満員電車やオフィスワークに感染源はないのか? 職場の新宿ばかり叩かれるけど、渋谷や六本木や池袋は無視なのか?

東京、新宿、ライブハウス。三重苦。
偏見や差別は外にも内にもある。
疫病の弊害は感染自体はもちろん、他者への差別意識、不寛容、同調圧力だと思う。
まあ理解してくれよなんて微塵も思わないけど。
はなから理解とは無縁のところでこんな堅気でない仕事を好き勝手にやってきたわけで、それを四半世紀近く続けられたのはラッキーとしか言いようがない。
止むに止まれず編集の仕事をやめた人たちを何十人と知っているし。

ダメならダメで、そこまで。
その時はその時でまた考える。
衣食住とは無縁の娯楽の世界でどうにかこうにか生きてきて、もはやこれまでかという危機も今まで何度かあった。
ずっとそうやって生きてきたんだし、コロナだろうが何だろうが別に今に始まったことじゃない。

昨夜はこの世界の大先輩、札幌市南区出身の中込智子パイセンに仕事のような、そうでもないような、その半生を伺いつつ肚の据わり方について聞いてきた。
パイセンは覚悟を決めてどうこうとか壮大な決意があるでもなく、ごくごく自然体で、あるがままに生きてきたらここまで来たという感じだったけど、掌中に片道切符しかない人間の生きるヒントみたいなものをユーモアを込めて教えてくれた気がする。

そう、大事なのは笑えること。
差別や偏見をぶん投げてくる奴らにはへらへら笑ってやり返す。死なない限りは何とでもなる。なるようになる。行けるとこまで行く。

PROFILEプロフィール

椎名宗之(しいな むねゆき):音楽系出版社勤務を経て2002年1月に有限会社ルーフトップへ入社、『Rooftop』編集部に配属。現在は同誌編集局長/LOFT BOOKS編集。本業以外にトークライブの司会や売文稼業もこなす、前田吟似の水瓶座・AB型。

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