新宿のタワーレコードにて、ポール・ウェラーの新作『On Sunset』を遅ればせながら購入。
ついでに『ザ・コンプリート・ポール・ウェラー』なる書籍(シンコーの同期入社の奴が編集していた)と、『さらば青春の光』のBlu-rayディスクが僅か1,000円だったので購入。
ポール・ウェラーに関しては2008年発表の『22 Dreams』以来、瞬発的なアイデアから発したと思しき音のコラージュ・スケッチだけでアルバムを一枚完成させるような手法がずっと続いていて、たとえば『WakeUp the Nation』や『Sonik Kicks』とかはわりと聴き込んだほうだとは思うけど、個人的な興味はほぼ失くしていた。
ジャムの『Setting Sons』やスタカンの『Our Favourite Shop』やソロ初期の『Wild Wood』など非常に影響を受けた大好きな作品が多々あるにもかかわらず、ここ10年以上は従来のファンを裏切る手法を提示し続けるという実にモダーンズ(=MODS)な姿勢を貫くのがいかにもこの人らしくていいなと思ったものの、個人的にはどの作品も今ひとつの感が拭えず、ハイペースでリリースされる新作に一応お付き合いはするけれども一度聴いたらおしまいで、でもそれは単に好みの話なので別にどうでもいいやと思っていた。
で、今回の『On Sunset』。わりと良い。ちょっとオーケストレーションに頼りすぎかなとも思ったけど、メロディ重視で幹の太い楽曲がだいぶ戻ってきた感じ。
雰囲気としては大好きなアルバムだった『Heliocentric』の内省的な感触に近い気がするけれども、今回はがむしゃらにギターを掻きむしるような「HeavySoul」系のアッパーな曲は皆無。
その辺りで好みや評価が分かれるところだと思うが、考えてみれば我らがモッドファーザーもすでに還暦を超えているわけで、昔のように大人げない血管ブチ切れプレイをする歳でもないのだろう。
ルーツにあるソウルミュージックを良い塩梅でオーケストレーションと共存させた、年齢相応で自然体なアルバムとして受け入れる従来のファンが多い気がする、今回は。
個人的にはこうなると近年のエレクトロニックなテイストやクラウトロック的アプローチをもう少し織り混ぜて欲しかったと若干思うけど。
まあ、新作をひとしきり聴いた後に『Wild Wood』『More Wood』『Live Wood』(と、この時期のレア曲集の『Fly on the Wall -B Sides and Rarities-』)を聴いて安堵に浸るいつものパターンなので、リスナーとして自分はすでに終わってるんだろうなと実感。
そしてあの時期のポール・ウェラーが自分の中でピークだったのを新作が出るたびに感じて少し悲しい気持ちにもなる。
Has My Fire Really Gone Out?