昨日、やっとあなたの年齢に追いつきました。7年かけてようやく。
まあ、実年齢ではそうなっても、あなたの広すぎる背中はまだまだずっと遠くにあり、この距離が縮まることは永遠にないでしょう。
写真は2009年12月か2010年1月か記憶が定かでありませんが、キングレコードのスタジオでの『kocorono完全盤』のマスタリング作業を撮影したものです。
正式な取材ではなく、「『kocorono』のリマスターをしてるから来なさい」とメールで呼び出されたので馳せ参じたのでした。
このとき、マネージャーの渡邊さんに「ツアーのタイトルどうします?」と訊かれたあなたは、「『無題ナノダ』でいいよね?」となぜかぼくに同意を求めてきました。
29歳で生み出した名作のマスターテープを43歳になって抱えるという写真は、ぼくが持ってくださいとポーズをお願いしたのではなく、マスターテープを持ったあなたが不意にぼくの前に立って無言で撮影を促したと記憶しています。
そんなふうに、ぼくらのやり取りはいつもどこか遠慮がちでぎこちなく、だけどその距離感がとても居心地好かったことを覚えています。