土曜の晩はイースタンユース、17年ぶりの野音。
選曲はたとえば「故郷」や「扉」、「いずこへ」「裸足で行かざるを得ない」「月影」という坂商時代のナンバーも惜しみなく披露されたオールタイムベスト大放出といった趣で、PA今井さんの手腕で今まで観た野音のあらゆるライブの中で一番音が良かった。
この場合の音が良いというのはあくまで個人的な趣味と実感で、つまりバカみたいに音がデカく、ゴツゴツと乾いた音がするという非常に好みの音だったということで、三者三様の音の粒が各々際立っていながら三位一体となった音の塊の爆発力はとにかく圧巻。それすなわち、爆音は正義。
17年前の野音はただただ寒かったこと、トイズからキングへ移籍してでっかい花火を打ち上げたんだなぁ、と感じたことしか覚えていない。
まだ坂商仕切りの頃で、マネージャーだった長森さん会いたさにとりとめのない話をしに行くのが幡ヶ谷から神泉に変わり、自分の職場も神田小川町から新宿百人町に変わった時期。
なんてことを、17年前にも同じ場所で聴いた「歌は夜空に消えてゆく」を聴きながらつらつらと思い出した。
あとやっぱり3曲目の「故郷」。あんなにも東京という街を、ビル群の谷間に挟まれた野音みたいな場所を想起させる曲だとは思わなかった。
そして「踵鳴る」や「スローモーション」といったあの時期の曲は、当時のいろんな思い出も相俟ってどうしても感傷気味になる。
スリーピースという最小限の編成で最大限の爆発を試みるというのは、音数がもっと欲しいと思うところをグッと堪えて引き算に徹する潔さも感じるし、三人だけの音なのになぜこれだけふくよかに感じるのだろうという驚きもある。
ライブハウスのような狭い空間ならいろいろとごまかしも効くが、野音のように開け放たれた野外ならそうもいかない。
イースタンユースを観て得られる感動はシェルターでも野音でも変わらない。そこが凄い。
ブッチャーズと並んで自分にとって血肉化している音楽だからと言ってしまえばそれまでだが、パンクロックを分母に置いた赤裸々な歌、生きている実感を否応なく感じさせる純真な表現にはやはりグッとくる。
おそらくそんな話を終演後、射守矢さんと二人で有楽町の酒場でしたはずである。
例によって呑みすぎて記憶は定かではない。
【イースタンユース 日比谷野外音楽堂2019】
01. ソンゲントジユウ
02. 夏の日の午後
03. 砂塵の彼方へ
04. 故郷
05. 扉
06. いずこへ
07. 雨曝しなら濡れるがいいさ
08. サンセットマン
09. 踵鳴る
10. スローモーション
11. 月影
12. 青すぎる空
13. 道端
14. 裸足で行かざるを得ない
15. 矯正視力〇・六
16. ナニクソ節
17. 街はふるさと
18. 時計台の鐘
19. たとえばぼくが死んだら
20. 荒野に針路を取れ
21. 夜明けの歌
22. 街の底
EN01. 歌は夜空に消えてゆく
EN02. DON QUIJOTE