本誌最新号も昨日無事納品され、定期講読者の皆さんへの発送も完了して、と。毎月、納品直後に取りかかるのはこの作業。読者あっての本誌なので、掲載されているバンドの関係者よりも必ず先に封入・発送します。親愛なる全国の読者の皆さん、あとちょっと待っててね。今週中には必ず近くの配布箇所に届くはずなので。
今月号も数多くの関係者の皆さんのご尽力の元に取材を取りまとめることができました。この場を借りて改めて感謝です。インタビューさせて頂いたバンドの皆さんは今月もいつになく濃い顔ぶれ。
まず、キノコホテル。今年2月号に次いでの表紙巻頭。とある休日、渋谷でのライブリハ後に近くの喫茶店でメンバー全員集合。メーカー担当氏によると、他誌は支配人ピンで受けるケースが多いというので、それならウチは是非メンバー全員でと打診。とかく支配人の独裁下で運営されていると思われがちなキノコさんたちですが(まぁ確かにそういう一面はあるけど)、3人の従業員の発言と間合いが現場の対話で小気味良いアクセントになって支配人の語りに絶妙な効果を及ぼすので、全従業員インタビュー参加は必須なのです。結果、読み通りに4人のバラバラな個性が上手く出た記事になったんじゃないかなと自負しております。余談ですが、インタビュー時に支配人がお召しになっていたキャプテンEOのシャツ、着こなし抜群でキュートでした。
マックショウは熱意に溢れたレーベルのA&R、K氏から「フリーペーパーはRooftopのみで、インタビューは是非椎名さんで」とご指名を受けたのですが、有り難く感じつつも凄まじいプレッシャー。K氏の意気に応える以上の成果をしっかりと出さなければならないし、何よりも今度発表される新作は全編ノー・デジタル、アナログ・テープ一発実演録音という気迫のこもった逸品なのです。コルツ然り、このマックショウ然り、以前から岩川さんの徹底して細部にわたりこだわり抜く姿勢には個人的に共感する部分が多々ありまして、後で泣く泣くイイ話を削ることばかり。それは今回もまた然りで、「ヴァーチャルなものは所詮ヴァーチャルでしかない」「本物のロックンロールはプロツールスなんかじゃ録れない」とインタビュー早々にキメ台詞連発。アナログ・テープは資源に限りがあってコストもバカにならないし、一発で仕留める以上はそれ相応の演奏スキルも要求される。はっきり言って分の悪いことばかり。でも、やる。何故なら、真に迫るロックンロールをモノにするにはそれ以外の方法がないから。偉大なるロックンロールの先人たちは皆そうやって録っていたのだから。プロツールスを初期の段階から導入し、デジタルの音作りを分析し尽くしたロックンローラーの言葉は説得力が格段に違うし、重みがあります。ロックンロールに人生を決定づけられた岩川浩二の退路を断った男気と創作に向かう狂気、そして何より音楽に対する深すぎるにも程がある愛情をひしひしと感じるアルバムなので、是非聴いてみて下さい。特に胸を締めつけるロッカ・バラッドの『100メートルの恋』、泣けます。広島県民ならなお泣けるはず。
それと、ROCK'N'ROLL GYPSIES。最近iPodで鬼のように聴いてる『III』について、先日のまさかのルースター“Z”再結集について、新宿ロフト近くのアマンドで花田さんと下山さんに根掘り葉掘り訊いてきました。当方、ルースターズに関しては単なるミーハーなせいか、ついコアなネタに走ってしまいがち。話がルースター“Z”のラスト・アルバム『FOUR PIECES』に及んだ時、「キミみたいなのが当時のレコード会社とかにいれば、もう一枚くらい作ったかもね」と下山さんに言われ、ちょっぴり苦笑。以前、大江さんからは「キミみたいな人がいるから僕らは未だに迷惑するんだ」と言われましたけど(笑)。いやはや、中高生の頃の憧れの方々からそんなふうに言ってもらえるなんて、ただただ恐縮するのみです。ただ純粋に音楽と接していた十代の感覚に立ち返りつつ、訊く側と答える側で一線を引いて緊張感のある対話ができた濃厚な時間を過ごせました。花田さん、下山さん、そしていつも献身的な働きっぷりのGATE40 高橋さん、どうもありがとうございました。
そんなこんなの本誌最新号、今月もご愛顧の程何卒よろしくお願い致します。浜辺に佇む支配人のポップアート風情な表紙が目印です。
あ、あと全然話が逸れますが、先週末は校了直後にAsagaya / Loft Aで久松史奈さんのデビュー20周年記念プレミアム・トークライブの司会をやらせて頂きました。平日にも関わらずご来場下さった皆さん、久松さんとスタッフの皆々様、どうもありがとうございました。ろくな進行もできたもんじゃないですが、司会業もやっぱり楽しいもんです。不定期ではありますが、また懲りずにこんな仕事も増やしていきたい所存なり。
そして今宵の一献のお供もやはりジプシーズの『III』。噛み締め過ぎた余り旨味が溢れて仕方ない深淵なるロックンロール。これからもこんな音楽を少しでも多く皆さんに伝えていきたいと思うほろ酔い加減です。