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トップレビュー割礼 / PARADISE K(パラダイス・カッパ)

割礼 / PARADISE K(パラダイス・カッパ)

2010.01.01   MUSIC | CD

PCD-18611 2,800yen (tax in) / 1.20 IN STORES

 思わず快哉を叫びたくなるリイシューである。昨年11月に新宿ロフトで開催された“DRIVE TO 2010”でもその健在振りを示した割礼が1987年に発表したファースト・アルバム『PARADISE K』が、宍戸幸司(vo, g)による選曲の貴重なボーナストラック5曲を追加収録して紙ジャケット仕様で完全復刻されるのだ。リマスター作業も実に丁寧で、オリジナル盤に欠けていた低音域を増幅したことによって現在のニュー・ウェイヴ、ゴスパンク・リヴァイヴァルにも呼応した今日性の高い作品として蘇っているところが素晴らしい。めくるめく至高のサイケデリック・ロックが堪能できる名盤として発表当時から評価の高い作品だったが、同時期のレア音源が加味されたことでコンプリート・パッケージされた感がある。宍戸自身が「これでやっと完成した気がする」と言うだけのことはあるし、これはひとえに制作サイドによる愛情の賜物と言えるだろう。10分を優に超える『溺れぱなし』(シークレット・トラックがまたいい)のうねるような超絶フィードバック・ノイズはただただ圧巻。また、『光り輝く少女』のドゥーミーな不穏さとキラキラ輝く光の粒が交錯するかのような音像、吐き捨てるような不安定なヴォーカルは何度聴いても息を呑んでしまう。『ゲーペーウー』のオリジナルとスロー・ヴァージョンの比較も割礼の多面性が理解できて面白い。ゆらゆら帝国辺りが好きな若いリスナーには是非一度聴いて欲しい一枚である。(Rooftop編集長:椎名宗之)

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