困った! 紹介したい本が多すぎる(4冊紹介だ)
真藤順丈「宝島」
講談社
藤井誠二「沖縄アンダーグラウンド」
講談社
麻田浩・奥和宏 「聴かずに死ねるか」
リットーミュージック
末永史作品集「猫を抱くアイドルスター」
ワイズ出版
1ヶ月10冊以上は読んでいる数々の新作単行本。前回の直木賞の評判の沖縄を描いた真藤順丈著「宝島」(長いが面白い)を読んでいて、藤井誠二さんの「沖縄アンダーグラウンド」をぜひとも紹介したいと思った。辺野古軍事基地問題で沸騰の沖縄のもう一つの戦後「売春街」を丹念にルポルタージュした作品だ。日本とアメリカの狭間で翻弄され続けた沖縄の一断面を夜の世界を通じて描き出している。次はロック好きには見逃せない麻田浩さん・奥和宏さんの「聴かずに死ねるか」は小さな「呼び屋」トムスキャビンを立ち上げたロック界のレジェンドの呼び屋の舞台裏も実に面白い。トム・ウエイツを招請した伝説のプロモーターが明かす栄光と苦悩だ。末永史作品集「猫を抱くアイドルスター」の遺稿集のエッセイや小説も実に楽しめた。末永さんは漫画家でエッセイストだった。コミックにはほとんど興味ない私でも楽しく読めた本だ。特に小説がいい。(平野悠)